▲釣りにおいては「機能とおしゃれの両立」はなかなか難しい。しかし釣り車にミニ クラブマンを選んでみることで、問題はある程度解決できるかもしれない ▲釣りにおいては「機能とおしゃれの両立」はなかなか難しい。しかし釣り車にミニ クラブマンを選んでみることで、問題はある程度解決できるかもしれない

ウエア類は極めていくと釣りバカ日誌のハマちゃん的になる?

釣り趣味の世界へと実際に身を投じる直前は、多くの者が「できるだけおしゃれであることを心がけよう」と決意する。いわゆる、ポケットのいっぱい付いたベストを着てキャップを被り、ゴム長靴を履くという「ハマちゃんスタイル」ではなく、気の利いた海外ブランドのしゃれたアウトドアウエアを着こむことで「おしゃれな釣り人」たろうとするのだ。

▲特に若い人は最初、左の人物のようなしゃれたウエア類を着て釣りをやろうと思いがちだが、気がついてみると右のなんとなく「ハマちゃん」みたいな、いかにも釣り人っぽいウエアを着ていることも…… ▲特に若い人は最初、左の人物のようなしゃれたウエア類を着て釣りをやろうと思いがちだが、気がついてみると右のなんとなく「ハマちゃん」みたいな、いかにも釣り人っぽいウエアを着ていることも……

しかしそれは大抵の場合うまくいかず、結局はハマちゃんスタイルに落ち着くことも多い。

おしゃれ釣り人計画がしばしば頓挫する理由は2つある。ひとつは、いざ実際にやり始めるとより多くの釣果を求めたくなるため、デザインうんぬんよりも「機能性」を重視したくなるということ。そしてもうひとつの理由が「自分の命を守るため」だ。

安全柵が設置された海釣り公園のようなところでやるファミリーフィッシングも盛んだが、それと同時に「ここから落ちたらヤバい」というような場所でやる本格的な釣りも盛んだ。というか、どちらかといえば後者の方が主流だろう。そしてそういった場所で釣りをやっていると、たいてい一度は「あっ、ヤバい!」とヒヤッとする瞬間を経験する。かくいう筆者も一度波にのまれそうになり、かなり肝を冷やした。

そういった経験をするうちに釣り人は「おしゃれよりもまずは身の安全だ!」と思うに至り、しっかりとライフジャケット(ハマちゃんが着ているようなベスト)を着用するようになる。そしてデザイン性よりも「靴はとにかく滑らないこと!」「冬場のウエアはとにかく体温を低下させないもの!」「車は荷物がいっぱい積めて、できれば車内泊もできるやつ!」という観点で様々なモノを選ぶようになるのだ。

▲筆者が過日購入した、防波堤などから滑って転落しないための釣り用シューズ。おしゃれの観点から言うと茶系が良かったのだが、黒系しか在庫がなくコレに。身の安全のためには色なんかにこだわってられない? ▲筆者が過日購入した、防波堤などから滑って転落しないための釣り用シューズ。おしゃれの観点から言うと茶系が良かったのだが、黒系しか在庫がなくコレに。身の安全のためには色なんかにこだわってられない?

こればっかりはいかんともしがたい現実であるため、当初はおしゃれアングラー(釣り人)を目指した筆者も、今ではどちらかといえばハマちゃん寄りのウエア類を着用して釣りをしている。また、あまりにも格好ばかりにこだわるのは正直いかがなものか……と思うようにもなった。

しかし、やはり現代人たるもの、ある程度は美観というかビジュアルというか「おしゃれ」にも気を使うべきではないか? という思いは依然としてある。機能重視は結構だし、もちろん何よりも安全第一でいくべきなのだが、それなりにはおしゃれでありたいというか、ビジュアル無視の姿勢も「ある一線」を越えてはならないと思うのである。「釣りってカッコいいね、ステキだね」と、より多くの人に思ってもらうためにも。

以上の観点からどんなウエア類を選択するかは、各自の趣味嗜好に基づく判断と専門誌などからの提案に任せたいが、こと車に関しては筆者からの提案がひとつある。

釣り車に「ミニ クラブマン」を選んでみてはどうだろうか?

▲2007年10月から2014年11月まで販売されたミニ クラブマン。小ぶりなシューティングブレークだ ▲2007年10月から2014年11月まで販売されたミニ クラブマン。小ぶりなシューティングブレークだ

ミニ クラブマンは「機能的」でありながら超絶「おしゃれ」

ミニ クラブマンは、BMW製の2代目ミニをベースに作られた小ぶりなステーションワゴン(※クラブマンをステーションワゴンと言い切るのは微妙だが、ここはひとつ便宜上そういうことにさせていただきたい)。ミニの全長を240mm、ホイールベースを80mm延ばして後席と荷室を拡大し、後席右側には「クラブドア」と呼ばれる小さなドアを設置。そしてリアハッチには観音開きのスプリットドアを採用している。要するに「ちょっと広く/長くなったミニ」なのだが、これが機能的なだけでなく妙におしゃれなのだ。

演出家のテリー伊藤さんはミニ クラブマンが登場した8年前、どこかで「今これを買っておけば向こう5年間は周囲から超絶おしゃれな人だと思われますよ!!!」と大絶賛していた。あれから5年ではなく8年がたった今も、クラブマンに乗っている人は超絶おしゃれに見える。不思議だが、とにかくそうなのだ。

で、繰り返しになるが「要するにちょっと広く/長くなったミニ」であるから、ほどほどの量の釣り道具を積載する分には十分なサイズであり、それと同時に、釣りのポイントへと向かう狭い田舎道などでも邪魔にならない。燃費もカタログ値で12.4~20.5km/L(10・15モード)となかなか優秀だ。

そしてここで勧めているのは中古車ゆえに「適度にボロい」という、筆者が提唱する“道具グルマ”の条件にも合致している。「最高の釣り車」とするかどうかは人それぞれだが、少なくとも「かなりいい感じの釣り車」だとは言えるだろう。

▲荷室の容量は最大930L。決して広大ではないが、大荷物を使わない釣りに使うなら十分以上 ▲荷室の容量は最大930L。決して広大ではないが、大荷物を使わない釣りに使うなら十分以上

そんなこんなで超絶おしゃれであり、なおかつ優秀な“道具グルマ”でもあるミニ クラブマンだが、その最近の中古車相場は思いのほかお手頃だ。

具体的には車両価格130万円から160万円あたりでも、まずまず好条件な1台が探せるはず。けっして激安ではないが、その全体的なクオリティとおしゃれっぷり、そしてちょっと前までの高値安定だった中古車相場を考えれば「お手頃な価格」といえるのではないだろうか。

輸入車であるという点で、主に整備面での不安を覚えるアングラーもいるだろう。実際は、昨今の輸入車はそこを不安視する必要はあまりないのだが、まぁ水掛け論をするつもりはないので、輸入車はどうしても嫌だという人に無理に勧めようとは思わない。が、もしもそこにさほど抵抗がないのであれば、中古のミニ クラブマンは今、機能性とおしゃれっぷりとを見事に両立できるステキな釣り車のひとつだ。

▲観音開きのリアハッチはおしゃれなだけではなく、何かと使いやすくもある ▲観音開きのリアハッチはおしゃれなだけではなく、何かと使いやすくもある
text/伊達軍曹