マニアなら2台持ちは当たり前!? スチャダラパーBoseが奥深きレパードの世界に驚愕
2016/11/29
人気を二分する前期型と後期型。その違いがわかる?
日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Boseが中古車情報誌『カーセンサー』にてお届けする人気連載「Bosensor」。カーセンサー本誌で収録しきれなかったDEEPでUNDERGROUNDな話をお届けっ!!
今回はカーショップフレンドにお邪魔した記事(関連リンク参照)の後編です。
Bose:前編では知られざるF31型レパードのマニアックな世界を教えてもらいましたが、いったいレパードにはどんな人が乗っているんですか?
統括工場長・渡辺明彦さん(以下、渡辺さん):その前にもうちょっとレパードのことを説明しましょう。F31レパードで一番人気があるのは前期型の3Lです。Boseさんは前期型と後期型の違いはわかりますか?
Bose:えっと……。どこだろう(笑)。
渡辺さん:細かい違いはいろいろありますが、最も違うのは顔つきです。
編集部ゆきだるま(以下、ゆきだるま):前期型がかなり四角い感じなのに対して、後期型は少し丸みを帯びているんですね。
渡辺さん:前期型は絶壁グリルと呼ばれたりします。インテリアも絶壁ダッシュボードなんて言われますよ。
Bose:僕が思うレパードといえば前期型の顔だな。後期型はかなりツルンとしたんだね。
渡辺さん:前期型は『あぶない刑事』で主に使われたことが人気の要因です。面白いのは、後期型のファンは前期型には見向きもしないこと。両者が完全に割れているんですよ。
Bose:うわっ、前期型のこのメーター、めちゃめちゃカッコいいじゃん! こういう立体的なデジタルメーターってこの時代ならではだよね。たしかソアラもデジタルメーターじゃなかったっけ。
渡辺さん:この液晶メーターは新車時からのオリジナルです。今は年月が経ってしまっているので当時より色が薄くなってしまったものが多いんですよ。
Bose:レパードはインパネまわりのデザインがカッコいいね。エアコンのボタンを隠す作りになっているのも当時の高級車っぽくて好きだな。
渡辺さん: F31レパードで最も人気のある装備がサンルーフです。『あぶない刑事』で大下刑事(柴田恭兵)と鷹山刑事(舘ひろし)がサンルーフからいろいろなことをやるので、ファンには欠かせないものなんですよ。一方でサンルーフ付きのレパードは台数が圧倒的に少ない。そのためサンルーフがある車は相場が100万円は高くなります。
Bose:100万円!! サンルーフ付きの中古車が高いっていうのは知ってたけれど、そんな差になるっていうのは初めて聞いたよ。
渡辺さん:うちでは希望があればサンルーフがない車にサンルーフを付けたりもしています。
ゆきだるま:えっ! サンルーフって後から付けられるものなんですか? 私、前に先輩から「サンルーフは後付けできないから相場が高くなる」って聞いたことがあるんですが……
渡辺さん:普通は後付けはしません。うちでは天井のパネルをそっくり載せ換える形をとっています。
Bose:パネルの載せ換えって……プラモデルみたいな話だ(笑)。
渡辺さん:うちの職人がそういう技を身に付けたんです(笑)。
お店が本気で仕上げた車ほど街を走らない?
Bose:渡辺さん、そろそろ教えてくださいよ。カーショップフレンドで扱うようなスペシャルなレパードにはどんな人が乗っているんですか?
渡辺さん:やっぱり年齢は40代以上になりますね。若い人はレパードを知らないというのもあるし、これだけの値段が付いた車だと正直言って若い人には買えないですから。
(ここでお店に来訪者が)
お客さん:すみませーん、レパードを引き取りに来たんですが……。
Bose:レパード引き取りに来たって……ここにはレパードしかないんだからどれだかわからないよ(笑)。
渡辺さん:彼は陸送屋さんです。これから九州のお客さんのところまで納車をお願いしていまして。
Bose:九州! やっぱりお客さんは全国にいるんだ。だってここでしか買えない車だもんね。日本中から注文が来るはずだよ。
渡辺さん:今回はお客さんが他で買ってうちが仕上げました。
Bose:このお店でしかできないこともいっぱいありそうだもんね。やっぱりお客さんはお医者さんとか会社経営者とかが多いんですか? この企画の取材でお店に話を聞くと、やたらとお医者さんの話を聞くんですよ(笑)。
渡辺さん:もちろんそういう方もいらっしゃいますが、ほとんどは一般的な職業の方ですよ。それでも好きだから必死にお金を貯めて買ってくださる方が多いです。中には2台手に入れて1台は新築した自宅のリビングに飾る人もいます。車を眺めながらお酒を飲む時間が楽しいって。
Bose:そこが面白いよね。お店が完璧な状態に仕上げるほど逆に買った人は走らない。街で滅多に見かけないわけだよね。もはや車というより1/1のガレージキットの世界だもん。しかも2台持ち。レコードやおもちゃだと2つ買って1つは保存用っていう話はよくあるけど。さっきのサンルーフの話もそうだけど、やっぱり乗っている人は『あぶない刑事』の世界観が好きだったりするんですか?
渡辺さん:そういう人は多いでしょうね。お客さんの中には大下勇次と同じ衣装を持っている人もいますよ。
Bose:究極のコスプレ(笑)。
渡辺さん:Boseさん、こちらも見てください。このワインレッドのレパードはものすごい希少車で、ほとんど出回っていません。
Bose:ワインレッドって一時期どの車にも設定されていたよね。僕、ワインレッドがかなり好きだったんだよ。
渡辺さん:Y31のセドリックやグロリア、シーマにもありましたね。これは汚いからよく見えないけれど、磨けばいい感じになりますよ。
Bose:渡辺さん、何言ってるんですか! 十分キレイですよ。これが汚い部類になっちゃうの??
渡辺さん:汚いです。撮影で使用してそのままなんです。撮影時に雨に降られてそのまま。実はこれ、社長の愛車なんです。
Bose:社長もレパード乗りなんだ! それってファンは嬉しいですよ。しかもこれ、BBS履いているじゃないですか。当時憧れたなあ。
渡辺さん:今はこのBBSも廃番になってしまいました。だからみんなオークションで手に入れてリビルトしているんです。
全国にいるお客さんにとっては大事なお店
Bose:あらためて1980年代の名車を見ると、やっぱりいいなあ。本当に贅沢に作られているよね。レパードはグリルに付くマークもレパード専用のものだし。お店もレパード専門店としてスタートしたときとやり方が変わってきたというのがおもしろいよね。
ゆきだるま:お店がレパードを楽しむ“価値”を生み出したんだなって感じました。
Bose:こういう楽しみ方を提案するお店が日本にここしかないんだから。不思議なお店だよ。そこにはいろんな要素が絡み合っているんだよね。『あぶない刑事』が流行らなかったらレパードはここまで盛り上がらなかっただろうし、このお店がレパードの専門店に変わらなかったら、もしかしたら状態のいいレパードを楽しむという文化は生まれなかったかもしれない。そして文化が生まれたからこそ、レパードが30年経った現在でも残る意味が生まれた。もしかしたら相手にしているお客さんの数は日本に100人くらいしかいないかもしれないけれど、その人たちにとってはここがなくなったら死活問題になるだろうね。
渡辺さん:うちはお客さん同士が顔見知りになっていますからね。うちでミーティングを開催すると全国からお客さんが足を運んでくれます。
Bose:こういうミーティングに集まる人のためのお店っていう感じがあるもんね。特殊な需要だけれど、これからも専門店を続けていってほしいな。
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