BMWがカタログモデルとして販売していたストレッチリムジン ▲BMWがカタログモデルとして販売していたストレッチリムジン

7シリーズの運動性能はそのままにリムジン化

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年3月9日に発見したのは「BMW L7」です。旧々型7シリーズの最上級モデルである750iLのホイールベースを250mm延長したストレッチリムジンで、BMWのカタログモデルとしてラインアップ。年間生産台数はわずか300台と発表されていました。

旧々型7シリーズがデビューしたのは1994年のことですが、L7は1997年に追加されたモデル。新車時価格は1690万円で750iLよりも340万円も高かったんです。個人的には当時、「750iLとZ3買った方が幸せかも」なんて思ったものですが、年を重ねてつくづくL7の魅力に気づかされます。

メーカーのカタログモデルですから内外装の完成度はメチャメチャ高いですし、ストレッチリムジンメーカーでは通常、成しえない走りのチューニングも施されていました。当初は、340万円の差額を「高い」と感じていましたが、各種パーツは専用設計され、ストレッチリムジンとて7シリーズらしい走りを味わえるのはメーカー“純正”ならでは。もはや、ありがたみがあります。

旧々型7シリーズは旧々々型のM・ベンツ Sクラスと比べひと回り小さく、車としての性格も異なっていました。7シリーズはスポーティさを、Sクラスはリムジンっぽさを今以上にウリにしていたんです。そういう意味では、後席需要をしっかり満たすために「これでどうだ!」という勢いでL7を投入したのかもしれません。

なお、海外の自動車サイトなどでは「2016年頃、L7の復活があるかも」という噂が流れています。Sクラスにマイバッハが投入されたり、Sクラスのストレッチリムジンであるプルマンが登場したり、何かとライバルに動きがあります。フルサイズセダンのロングホイールベースモデルは各社が投入していますから、真偽はともかく、抜きんでるためにL7の投入は絶好のタイミングと言えるのかもしれませんね。

ハードウエアや装備面は、750iLに準じています。そもそも750iLの装備が充実していますから、ストレッチリムジンになったからといって加えるものもなかったのでしょう。シンプルといえばシンプルで、嫌味がないとも言えます。また、「あえて4名乗りになっていることが贅沢ぶりを象徴している」という解釈もできます。

▲フロントシートは750iLと変わりません。シートやドア内張りはもちろん、ダッシュボードやコンソール部分にまで本革が採用されています ▲フロントシートは750iLと変わりません。シートやドア内張りはもちろん、ダッシュボードやコンソール部分にまで本革が採用されています
▲シートのリクライニング機構や、アームレスト内に備えた各種スイッチ、リアシート用左右独立型エアコンなどは750iLと同じです ▲シートのリクライニング機構や、アームレスト内に備えた各種スイッチ、リアシート用左右独立型エアコンなどは750iLと同じです

当該中古車、写真を見るかぎり内外装ともにキレイな状態が保たれているようです。経年劣化でウィンカーレンズのオレンジが色焼けしたり、塗装面の光沢がなくなったりするものですが、それが見当たりません。この個体が室内保管されてきたことをうかがわせます。もっとも、ストレッチリムジンを青空駐車している方が珍しいかもしれませんが(笑)。

この手の車は送迎車として走行距離が伸びがちですが、当該中古車は珍しいほど走行距離が少ないです。ここぞというときだけに乗られてきたのでしょう。車両本体価格158万円は同型の7シリーズの中古車相場と比較すると高めに設定されているように感じます。しかし、L7を7シリーズと考えるのではなくストレッチリムジンと捉えれば、この価格にも納得できるでしょう。

しかもストレッチリムジンではありますが、現行モデルでいうとベントレー ミュルザンヌよりも全長は短いんです! ファミリーカーとして、高級フルサイズセダンとして、L7を乗り回すって個性派で面白いと思います。誰も158万円だとは予想だにしませんよ!

▲旧々型7シリーズの最上級モデル、750iLを250mmストレッチしたものがL7。とはいえ、現行ベントレー ミュルザンヌより短いんです ▲旧々型7シリーズの最上級モデル、750iLを250mmストレッチしたものがL7。とはいえ、現行ベントレー ミュルザンヌより短いんです

■本体価格(税込):158.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:3.0万km ■年式:1999(H11)
■車検:無 ■整備:別 ■保証:無
■地域:北海道

text/古賀貴司(自動車王国)