カーセンサー本誌にて、車を自由に使いこなす遊びの達人たちを特集した連載「俺たち遊戯三昧」からの転載。 今回はプロダクトデザイナーの角南健夫さんが乗りこなす、ホンダ ビートに注目!

▲プロダクトデザイナー。家具、家電、ロボットなど、幅広い工業製品を手掛ける。分解組み立てが可能なモジュール構造をもち、製造コストの低減にも考慮した新発想の自転車「MINDBIKE」をデザイン(今夏発売予定)。他にアウトドアブランド「MONORAL」も主宰▲プロダクトデザイナー。家具、家電、ロボットなど、幅広い工業製品を手掛ける。分解組み立てが可能なモジュール構造をもち、製造コストの低減にも考慮した新発想の自転車「MINDBIKE」をデザイン(今夏発売予定)。他にアウトドアブランド「MONORAL」も主宰

自転車と同じ感覚で乗れるオープンカーが好き

頑丈なフレームに太いタイヤを装着したMTB(マウンテンバイク)は、険しい山道でも軽快に走れるのが魅力。スピードとバランスを操りながら、刻々と変わる自然の中で風を感じ、自由を謳歌する醍醐味を、角南さんは高校時代から味わってきた。

▲フレームを塗り替えて、シマノのクラシックなメカで組んだMTBを愛用 ▲フレームを塗り替えて、シマノのクラシックなメカで組んだMTBを愛用


「乗り物は好きだけど、そのために資格を取るのが面倒で、ずっと自転車一筋でした。ただ、山で遊ぶうちに自分好みのアウトドア道具を作るようになり、それが仕事にもなってからはキャンプ場に通う機会が増えて、ようやく重い腰を上げて車の免許を取ったのが3年前のことです」

現在、3台の車を所有する角南さんだが、今回はその中からホンダ ビートを選んで取材場所に来てくれた。軽自動車、それも 2人乗りのオープンカーにMTBを積んでいるところが、なんともすごい。

「 これでも最新のホンダ S660よりは収納力があります。自転車はキャリアを替えれば2台積めるし、2人でキャンプにも行ける。そもそもこの車を選んだ理由の一つは、幌を開けたときの視界の良さ。ずっと自転車に乗ってきたので、屋根付きの車だと死角が多くて不便に感じるんです」

▲脱着式のキャリアにMTBを固定。工夫すれば何とか積めるものなんです! 脱着式のキャリアにMTBを固定。工夫すれば何とか積めるものなんです!


しかも、ビートは安かった。「 総額で約40万円。膨大な部品数なのに、高性能自転車と変わらない値段に惹かれました。でも、やっぱり古い車はそれなりに維持費がかかりますね…...」。エンジンのタイミングベルトとウオーターポンプを2度交換し、コンピュータも交換。

さらにエンジンバルブを破損してオーバーホールしたものの、路上でエンジンブローして、結局丸ごと交換。エアコンやオーディオも修理し、好みに合わせて足回りや内装品を交換した結果、これまでにかかった費用は100万円に達したとか。

「プロダクトデザイナーとして、いつかメッサーシュミット(※)みたいな楽しい車を作るのが夢なので、そのための授業料と思って楽しんでます」。中古車の楽しさ、そして道具や積載方法を工夫してミニマムに遊ぶ楽しさを、角南さんは身をもって教えてくれる。

※メッサーシュミット:ドイツの航空機・自動車メーカー。文中での“メッサーシュミット”とは、独創的な設計の超小型3輪車、「KR200」(1955~ 64年)のこと。

▲交換したステアリングとコラムの間に挟むボス(銀色の部分)はアルミで自作 ▲交換したステアリングとコラムの間に挟むボス(銀色の部分)はアルミで自作
▲これまでにレッカー車を呼んだこと3回。トランクには万が一に備えて工具を積んである ▲これまでにレッカー車を呼んだこと3回。トランクには万が一に備えて工具を積んである
▲山の駐車場でキャンプして、翌朝からMTBで走るという角南さん。写真は愛用のキャンプ道具。椅子(左上)はディレクターを務める「NEUTRAL OUTDOOR」のもので、その右が自身のブランド「MONORAL」の焚き火台。いずれも展開や撤収が簡単な小型・軽量ギアばかりだ ▲山の駐車場でキャンプして、翌朝からMTBで走るという角南さん。写真は愛用のキャンプ道具。椅子(左上)はディレクターを務める「NEUTRAL OUTDOOR」のもので、その右が自身のブランド「MONORAL」の焚き火台。いずれも展開や撤収が簡単な小型・軽量ギアばかりだ

▼検索条件

ホンダ ビート(初代)
text/櫻井香
photo/見城了