【連載クルマ“女子”き(くるまずき)】自動車に移動手段以上の価値を見出し、時間もお金も費やする、いわゆる「車好き」はほとんどが男性である。ゆえに大変貴重な「女性の車好き」、しかも男性顔負け(?)の偏愛ぶりを見せる女性を取材する企画。カーセンサーは車好き女子を、応援しています!

【連載:クルマ“女子”き(くるまずき)】
自動車に移動手段以上の価値を見いだし、時間もお金も費やする、いわゆる「車好き」はほとんどが男性である。ゆえに大変貴重な「女性の車好き」、しかも男性顔負け(?)の偏愛ぶりを見せる女性を取材する企画。カーセンサーは車好き女子を、応援しています!

高校時代のアルバイトが運命を変えた

2019年にもなって男女差別的なことを口走るつもりはないし、そもそも思ってもいない。

だが昭和生まれの自分としては、心のどこかに「とはいえ車趣味ってのは主に男のモノでしょ?」との考えもうっすらあることは、否定できない。

だが最近は、そんな思い込みを「今そこにある現実」でもってあっさり否定してくれる女性も多い。

例えば、6MTの現行型スズキ スイフトを新車で購入してビシビシ改造し、そしてつい先日まで「某ディーラーで整備士をやっていました」という23歳、藤岡千晶さんだ。

▲都内にお住まいの藤岡千晶さん ▲都内にお住まいの藤岡千晶さん
▲こちらが、愛車の「スズキ スイフト スポーツ(4代目・現行型)」 ▲こちらが、愛車の「スズキ スイフト スポーツ(4代目・現行型)」

伊達軍曹
伊達軍曹

このスイスポ(スイフト スポーツ)、派手にいじってあってカッコいいですね。カスタマイズはこれでおおむね完成ということですか?

藤岡さん
藤岡さん

えーっ、まだぜんぜんですよ!

サイドスポイラーも付けてないですし、他にもまだいろいろ理想がありますし。

伊達軍曹
伊達軍曹

なるほど。車を「洋服」とかに置き換えてみても同じかもしれませんね。車好きになったきっかけは?

藤岡さん
藤岡さん

高校生のときにガソリンスタンドでアルバイトをしたのがきっかけですね。

コンビニより時給が高いという理由だけで決めたんですが(笑)、そこで「車ってなんかいいな」と思いはじめ、社長さんにお願いしてタイヤ交換とかオイル交換とかを教えてもらったんです。

伊達軍曹
伊達軍曹

で、高校卒業後は整備の学校へ。

藤岡さん
藤岡さん

はい。そこで勉強して国家資格を取って、某国産車メーカーのディーラーにメカニックとして就職しました。

この春から訳あって別業界に転職したのですが、つい最近まで現役の整備士だったんです、実は。

伊達軍曹
伊達軍曹

そうは見えませんけどね。

藤岡さん
藤岡さん

そうですか? そんなこともないと思いますけど……?

Photo:阿部昌也
伊達軍曹
伊達軍曹

このスイスポが最初の自家用車ですか?

藤岡さん
藤岡さん

最初の車は中古で買った3代目のスバル インプレッサ(GH8)です。それも今のスイスポと同じでMTでした。

6速じゃなくて5速でしたけど。

伊達軍曹
伊達軍曹

男かどうの、女がこうのと言うつもりはいっさいありませんが、単純に珍しいですよね?

藤岡さん
藤岡さん

……わたし、ランエボVIのトミー・マキネンエディション(※三菱 ランサー エボリューションVIの、有名なラリードライバーの名を冠した特別仕様車)に憧れてたんです。

で、中古でランエボIXを買おうと思ったんですが、ちょっと高くて。

なので、同じWRC(世界ラリー選手権)つながりで4WD+MTのインプレッサにした、という次第です。

伊達軍曹
伊達軍曹

そこから現行スイスポに乗り替え、しかもバリバリにカスタムするようになった流れは?

藤岡さん
藤岡さん

インプレッサの車検時期と、前々から気になってた現行スイスポの登場タイミングが重なったんです。インプも少しいじってましたが、パーツの種類が少なくて……。

でも新しいスイスポはアフターパーツメーカーさんもかなり気合が入ってると聞いてましたので、「これは買うしかないな」と、登場前に注文を入れたんです。

伊達軍曹
伊達軍曹

で、納車と同時にカスタマイズを?

藤岡さん
藤岡さん

まぁ「どんなパーツが出てくるのかな?」っていうのを見きわめがらですが、気に入ったのが登場したら買って付ける、みたいな。

伊達軍曹
伊達軍曹

車高下げると、普段使いのときにちょっと不便だったりもするじゃないですか?

そのあたりは気にならないんですか?

藤岡さん
藤岡さん

うーん、「好き」という気持ちと「愛着」があれば、特には気にならないものですよ!

Photo:阿部昌也
伊達軍曹
伊達軍曹

この黄色いスイスポの、普段の使い方を教えてください。

藤岡さん
藤岡さん

仕事が休みの日にひとりで遠出しますね。

伊達軍曹
伊達軍曹

箱根のワインディングロードとか?

藤岡さん
藤岡さん

いえいえ、主に新潟です。

親戚が新潟にリゾートマンションをもっているので、宿泊費はタダになるんです。なので、休みの前日夜に都内を出発して、途中で車中泊して……。

伊達軍曹
伊達軍曹

ちょっと待ってください! 今「車中泊」って言いました? ……スイスポで?

藤岡さん
藤岡さん

はい(笑)。わたし小柄なので、スイスポの後部座席で横になれちゃうんです。

快適ですよ。だからスイスポにはブランケットをいつも載せてます(笑)。

伊達軍曹
伊達軍曹

な、なるほど……

藤岡さん
藤岡さん

で、新潟でおいしい海鮮を食べて、ゆっくり温泉につかって、そしてACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を活用してのんびり快適に東京に戻ってくる……みたいなことが多いですね。

あとは、3月までは通勤にも使ってましたし、オフ会に行くこともけっこう多いですし。

伊達軍曹
伊達軍曹

充実してるというか、なんか楽しそうですね。

藤岡さん
藤岡さん

わたしは正直、大勢の人と一緒にいるのがさほど得意ではないので、「自分ひとりの空間である」という部分でも、車が好きなんだと思います。

あと車って、いろいろなところへ自由に行けますし、カスタマイズを通して「自分らしさ」みたいなものも出すことができる。

……同性のお友達にはなかなか理解されませんが(笑)、この趣味はずっと続けていきたいですね。そしてせっかく2台続けてMT車でしたから、今後も「生涯MT!」みたいな勢いで(笑)。

Photo:阿部昌也

ふた昔前は、車をいじってる女性というと「ちょっと特殊」みたいな感じの人も少なくはなかったと記憶している。だが藤岡さんはあくまで自然体で、どちらかといえば(いわゆる)女性らしい雰囲気と感性を強くおもちでありながら、しかしバリバリのカスタマイズも楽しんでいる。

時代が変わったということなのか、世の中が成熟したということなのか、筆者にはわからない。

だが少なくとも「ま、それっていいことだよな」とは、確実に思うのだった。

文/伊達軍曹、写真/阿部昌也

伊達軍曹(だてぐんそう)

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。