車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

▲別荘の近くで雪が降るため、12月になるとその準備を始めるという田島さん ▲別荘の近くで雪が降るため、12月になるとその準備を始めるという田島さん

別荘へ行くための冬支度

田島基晴さんは東京にある自宅周辺が紅葉の時期になると、愛車のタイヤをスタッドレスに交換する。

別荘のある八ヶ岳周辺は、関東が紅葉の時期になると雪が降り始めるからだ。

「向こうでは妻とゴルフをしたり登山に行ったり。冬はスノボーをしたりしてして過ごしてます。こぢんまりとした別荘ですが、自然が豊かだから何もしないっていうのもアリです」

ゴルフは2人の共通の趣味。登山は最近始めたそうだ。

「妻が最初にハマって、絶対に楽しいからと誘われました。そんなに言うならと思ってやってみたら思いのほかつらくて。最初の登山のあとはもう絶対に登らないって思いました(笑)」

奥さまに登山靴をプレゼントされてしまった手前、やらないわけにもいかず天候の良い日に2人で山に登るそうだ。

つらいと思いながらも登ってしまえば登頂の満足感はあるし、趣味のカメラも楽しめる。

そんな時間を支えているのが、愛車のミニ クロスオーバーだ。

▲ゴルフが夫婦共通の趣味。登山は奥さまの趣味だったが登山靴をプレゼントされ、田島さんも一緒に楽しむようになった ▲ゴルフが夫婦共通の趣味。登山は奥さまの趣味だったが登山靴をプレゼントされ、田島さんも一緒に楽しむようになった

本当はレンタカーでも事足りるって思うところはある

田島さんは広島県出身。東京に来て10年になる。

「東京に来るまでは車がない生活は考えられませんでした。毎日の通勤を含め、どこかに出かけるのは常に車という生活です」

東京に来て家の近くである程度のものが手に入り、電車もバスもいつでも利用できる環境になった。

▲別荘へ行った際の落ち葉が足元に残る助手席。日常と週末の特別な時間をつなぐ役割を担っている ▲別荘へ行った際の落ち葉が足元に残る助手席。日常と週末の特別な時間をつなぐ役割を担っている

「必要かと言われたら、不要だと思います。週末の遠出もレンタカーを使えばいい。でも車を持っていることで、いつでもどこかに行ける感じがするんです。気持ちの問題かな」

愛車のミニは塗装がマット加工のため、手洗いでしか洗車をすることができない。

以前、所有していた車はガソリンスタンドの洗車機に入れるだけだったが、時間をかけ手で洗うことで愛着が増してきた。

「洗う時間も結構かかるし本当に大変。でもなくなるなんて考えられないですね」

効率だけを考えたら不要と思えるものかもしれないが、それが田島さんの人生の素敵な味付けになっているのだ。

▲洗車機で洗うと傷がついてしまう特殊な塗装のため、手洗いで洗車をしている。自宅近くに手洗いできる環境がないため別荘に行った際に洗っているという ▲洗車機で洗うと傷が付いてしまう特殊な塗装のため、手洗いで洗車をしている。自宅近くに手洗いできる環境がないため別荘に行った際に洗っているという
▲移動の効率だけを考えたら、確実に来て圧倒的に安い電車がよいという田島さん。愛車には実用性だけで語れない価値がある ▲移動の効率だけを考えたら、時間に正確で圧倒的に料金が安い電車の方がよいという田島さん。愛車には実用性だけで語れない価値がある

どんなクルマと、どんな時間を?

日常と非日常をつなぐMINI

ハッチバック、コンバーチブル、クラブマンに続く第4のミニとして用意されたSUVモデルのミニクロスオーバー。ハッチバックよりも120mm高い全高や、高い位置に設定されたシートポジション、シリーズ最大のボディサイズなどにより、自由度の高いキャラクターが与えられている。外観はMINIらしさを受け継ぎながらも、独自のキャラクターとなっており、大きなウインドウと4枚のドアが備えられている。

田島さんのモデルは、クリーンディーゼルを搭載したクーパーSD ブラックナイトという限定モデル。マット加工の外装に加え、内装は黒を基調とした各種オプションが装備されている。
 

▲お金のことだけを考えたら要らないものかもしれないが、それ以上に得られるものがあるから”要るもの” ▲お金のことだけを考えたらいらないものかもしれないが、それ以上に得られるものがあるから”いるもの”
▲マット加工がされた塗装だから、といっても手洗いの洗車は非常に大変。そんな手間を惜しまず行っているオーナーの車に対する愛を見習いたい。車の愛着を深めるには直接触れる時間を増やすのが効果的なのは間違いないようだ。そしてその愛は、必ず車にも届くだろう ▲マット加工がされた塗装だから、といっても手洗いの洗車は非常に大変。そんな手間を惜しまず行っているオーナーの車に対する愛を見習いたい。車の愛着を深めるには直接触れる時間を増やすのが効果的なのは間違いないようだ。そしてその愛は、必ず車にも届くだろう
text/今泉翔太(編集部)
photo/小林 司