僕たちが免許を取って間もないあの頃に憧れた ハイパワースポーツカーたちがついに激安価格に! やはり気になるのは今の性能。かつての走行テストさながらに 滑走路特設コースとサーキットに持ち込み あの中古車たちのポテンシャルを徹底検証した
LANCER EVOLUTION II
三菱 ランサーエボリューション  GSR II(1994年)
ラリーでの勝利を目指し進化を遂げた2代目エボ
 WRCへの勝利を目的に作られたエボリューション。1994年に登場したエボ?は、マフラーの改良やターボの過給圧アップなどで260aに。またクラッチや足回りを変更、機械式リアLSDも採用した。新車時価格は290万円。現在の平均相場は40万円で、テスト車は6年式、7.7万km、42.9万円
初代モデルから10psのパワーアップを果たした名機4G63エンジン
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MR2
トヨタ MR2 GT-S Tバールーフ  (1989~1999年)
国産MRスポーツの代表格さらに走りを磨いた2代目
 ボディを拡大し、よりスタイリッシュになった2代目MR 2。2L直4ツインターボと2L直4NAを搭載した。足回りは4輪ストラット式で、前後でサイズが異なるタイヤを採用。新車時価格は265万円(GT-S Tバールーフ)。中古車の平均相場は65万円。テスト車は5年式、7.4万km、48.9万円
上級モデルに搭載される2L直4DOHCツインターボは225ps/31kg-mを発生
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基本性能テスト by 斉藤慎輔
■0~400m ■急制動 ■パイロンスラローム
LANCER EVOLUTION II
三菱 ランサーエボリューション  GSR II
エンジンは今もなおとても元気だが足回りの劣化で新車時と異なる挙動に
 かなり手が入っている車で、前ユーザーは相当走りを楽しんでいたことがわかる。第一印象としては、まずエンジンがとてもイキイキしているということ。すでに7万kmを超えているが、まだまだ絶好調だ。足回りに関しては、購入後の交換が必須だろう。もともとアンダーステアが強い車なのだが、スラロームではすぐにリアが出てしまう。サスを替えれば本来の走りを取り戻せるはずだ。それとブレーキも気になる部分。ブレーキは厳しい車だったが、フェアレディZ同様スタッドレスタイヤなのにロックしないのは問題。パワフルな走りがまだ楽しめるはずなのでブレーキには少しお金をかけたい。
■0~400m:13.380
■パイロンスラローム 本来のアンダーステアではなく、オーバーステアが出る。すぐにリアがスライドしてしまうのだ。サスペンションのへたりが大きな原因と言える
■急制動 エボIIも22mという驚愕の制動距離となった。タイヤがロックするまでの時間が長いことからも、ブレーキが利かないのは明らか。最低限パッドは交換
MR2
トヨタ MR2 GT-S Tバールーフ 
足回りの劣化で挙動が大きいブレーキバランスも要チェックだ
 新車時から危なっかしい車であったことをまず伝えておこう。重心の高いリアエンジンであることも理由だが、経年変化により足回りがゆるくなると挙動がさらに大きくなる。現状でのスラローム走行はかなりの運転技術を要する。この車も購入後はまず、足回りに手を入れたい。またブレーキテストではフルロックしながら車体が横方向にもスライドする症状が出た。ブレーキバランスがおかしくなっているようだ。とはいえ、ミッドシップの雰囲気、タイトな室内空間はスポーツマインドを刺激する。軽い車体とパワフルなエンジンにより、最近の車とはひと味違った軽快な走りが楽しめるのは魅力だ。
■0~400m:14.422
■パイロンスラローム ロールが大きく姿勢を乱しやすくなっている。タイヤのクリップ力が落ち、サスペンションはへたり始めるとこのような状況になっていくのだ
■0~400m 0~400m計画では、やはり軽量ボディのおかげで抜群の加速力を披露。テスト車のなかでは3LのフェアレディZよりも速いタイムを叩き出した
サーキットテスト by 飯田 章
■茂原ツインサーキット
LANCER EVOLUTION II
三菱 ランサーエボリューション  GSR II
まさに水を得た魚のように、コーナーを攻める。 新車当時の力強さは健在
走り出すとすぐに「スポーツしている!」そんな気持ちにさせてくれる
 これは、面白いよ!思っていた以上にイイね。エボならではの4WDによるトラクションの良さも魅力だし、エンジンのピックアップもかなりいい。走り始めるとすぐに、スポーツカーをドライビングしているって感じが体感できるんだ。エボIIというと少し古い車という印象があるけれど、今でも十分に楽しめる車だったね。この金額なら、運転がうまくなりたいという人に、最高の車になるんじゃないかな。
BEST TIME:1.01.45
MR2
トヨタ MR2 GT-S Tバールーフ
280psのパワーで豪快なドリフトが楽しめる。50万円以下とは思えない!
電気系の不調でタイム計測できずただしポテンシャルは高そうだ
 バッテリーの調子があまり良くないようで、この車でのサーキットアタックは断念することになった。ほかの車もそうだけど、バッテリー以外の電気系(セルやオルタネーターなど)もチェックしておきたいね。電気がきちんと回らないとエンジンも吹け上がらなくなるからね。   もともと、この車は本格的なスポーツ走行が楽しめる車だから、サーキット専用車として購入し、最低限の整備をして遊ぶのも面白いと思うよ。
BEST TIME:NO RESULT
総合評価
正直、これはアリだね! サーキットでも十分楽しめる
購入時は電気系に要注意購入後は高望みしない!
 50万円以下で200psオーバーの中古車を買う、正直これはアリだと思ったね。サーキットに持ち込んでも、十分に楽しむことができる車が手に入るんだから。ただし、今回のMR2がそうだったように、電気系はよく見ておいたほうがいい。バッテリーが弱いだけではなく、発電をするオルタネーターなどが壊れているものも多い。またセルが不調になっている車もある。このあたりの年式の車は、すでにほとんどが電気頼みなんだ。購入時はそのあたりもしっかり確認しておくことをオススメしておきたい。   それと購入後だけど、安いスポーツカーを買ったらお金をかけすぎないようにしないとね。高望みをしない。大金をつぎ込んで新型のスペックに近づけるなら、新型を買ったほうが安い場合もある。あくまでも50万円のスポーツカーなりの、中くらいのスペック(新車時のスペックに戻すという感覚だ)で楽しむということが大切。それくらいのスペックこそ、これらの車が一番イキイキとするバランスなんだ。
レーサー 飯田 章氏 ル・マンでの優勝や全日本GT選手権でのチャンピオン獲得など 輝かしい功績を残すレーシングドライバー 今シーズンはウェッズスポーツのセリカを駆りSUPER GTに参戦中 レース界には珍しいハコ出身ドライバーだ
 
Report/石川茂幸 Tester/斉藤慎輔、飯田 章 Photo/桜井健雄、橋本 玲、篠原晃一、安岡 嘉 取材協力/ライジングインターナショナル、カーコンビニ倶楽部ウィズ、ユーマックス
※この記事は、カーセンサー関東版12号(2007年6月7日発売)の特集をWEB用に再構成したものです