▲もちろんいわゆる高級車ではないものの、そこそこ高そうには見えるミニという車。でもその旧型は、まずまず好条件な中古車であっても意外と安いのです! ▲もちろんいわゆる高級車ではないものの、そこそこ高そうには見えるミニという車。でもその旧型は、まずまず好条件な中古車であっても意外と安いのです!

1つ前の世代でもOKなら、その相場は思いのほか手頃

筆者の場合は中古輸入車の専門記者をかれこれ20年以上もやっているため、街を行く輸入車を見れば1.7秒ほどで、そのおおむねの中古車相場が脳裏に浮かぶという特殊技能をもっている。

だが世の大半の人は当然だがそんな技能をもっていないため、しばしば輸入車の価格を見誤る。

それも「高い方向」へと見誤る場合が多い。

例えばミニである。

2002年登場の初代BMW製ミニは、さすがに今や少々の激安オーラを発し始めた。

だが2007年から2014年まで販売された第2世代のミニについては、「あれって中古でも150万円ぐらいはするんでしょ?」みたいなことを知人から言われることがある。

150万円なんて、そんなとんでもない。

あの世代のミニでよければ今や総額60万円ぐらいから買えるんですよ、意外と安いんですよ――と筆者は言うのだが、知人は信じてくれない。

信じてくれないだけならまだいいが、「仮にそういう値段のがあったとしても、オンボロの過走行車に違いない」とか、「そんなの買ってもどうせすぐに壊れて“安物買いの銭失い”になるに決まってる」などと、ネガティブなことばかり言う。

や、さすがに新車同然みたいなブツは買えませんが、走行5万km未満ぐらいの中古車なら探せますよと言っても、なかなか聞く耳をもってもらえない。

……仕方ない、順を追って詳しく説明することにしよう。

▲英国製からドイツのBMW社製へと代わってから2世代目のミニ。この世代からエンジンはBMWがプジョー・シトロエンと共同開発したものに変わり、ATも、それまでのCVTからアイシンAW製 6速ATに変更されている▲英国製からドイツのBMW社製へと代わってから2世代目のミニ。この世代からエンジンはBMWがプジョー・シトロエンと共同開発したものに変わり、ATも、それまでのCVTからアイシンAW製 6速ATに変更されている

候補となるのは前期型のワンまたはクーパー

筆者が言っている「総額60万円ぐらいから、走行5万km未満のやつが買えますよ」というのは旧型(第2世代)ミニの3ドアハッチバック版である。

R56という型式名で呼ばれることも多い旧型ミニ ハッチバックは、前述のとおり2007年から2014年まで販売されていた。グレードは、大ざっぱに分けるなら下記の4種類だ。

●ワン|廉価でシンプルなグレード
●クーパー|中間グレード
●クーパーS|ターボ付きの上級グレード
●ジョン・クーパー・ワークス|かなり活発なスポーツグレード


このうちクーパーSは今なお少々お高めで、ジョン・クーパー・ワークスは割とお高い。

それゆえ、総額60万円や70万円あたりから探せるのはシンプルな「ワン」か、中間グレードの「クーパー」ということになる。

▲こちらがベースグレードに相当するワン。エンジンは出力抑え気味の1.4Lノンターボで(※2010年4月以降は1.6L)、その他の装備類も比較的シンプルなものとなっている▲こちらがベースグレードに相当するワン。エンジンは出力抑え気味の1.4Lノンターボで(※2010年4月以降は1.6L)、その他の装備類も比較的シンプルなものとなっている
▲こちらは中間グレードのクーパー。最高出力120psの1.6Lノンターボエンジンを搭載し(※2010年4月以降は122ps)、装備類もワンと比べて比較的充実したものが標準で装備される▲こちらは中間グレードのクーパー。最高出力120psの1.6Lノンターボエンジンを搭載し(※2010年4月以降は122ps)、装備類もワンと比べて比較的充実したものが標準で装備される
▲やや特殊なジョン・クーパー・ワークスを除けば最上級グレードとなるクーパーS。最高出力175psの1.6L直噴ターボエンジンを搭載する(※マイナーチェンジ後は184ps)、なかなかのホットグレードだ▲やや特殊なジョン・クーパー・ワークスを除けば最上級グレードとなるクーパーS。最高出力175psの1.6L直噴ターボエンジンを搭載する(※マイナーチェンジ後は184ps)、なかなかのホットグレードだ

で、第2世代のミニは途中で2回のマイナーチェンジも行っている。

そのタイミングと主な内容は下記のとおりだ。

●2010年4月
・ワンの排気量が1.4Lから1.6Lに
・バルブトロニック(可変バルブシステム)を採用
・「ブレーキ・エネルギー回生システム」を搭載
・エンジン・オートマチック・スタート・ストップ機能を搭載(MT車のみ)

●2010年10月
・主にデザイン上の小変更を実施


総額60万円付近から探せるのは上記マイナーチェンジが行われる前の年式、すなわち07~09年式あたりが中心となっている。

以上を踏まえて、狙い目グレードについて考えてみよう。

推しはクーパーだが、場合によってはワンも悪くない

前章でわかったとおり、総額60万円とか70万円あたりの予算感から探せるのは以下の2グレード。

●07~09年式のワン(廉価シンプルグレード)
●07~09年式のクーパー(なかなか活発な中間グレード)


その他、希に10年式の後期ワン(1.6Lになったやつ)がお手頃価格で出ている場合もあるが、基本的にはレアケースだと思っていい。

最上級グレードであるクーパーSも、この価格帯ではレア物扱いだ。

ということは前期ワンまたは前期クーパーの完全二択となるわけで、貴殿がもしもそのどちらかを買うとしたら、どちらにするべきなのだろうか?

これはもう「基本的にはクーパー推し」としたい。

なぜならば、1.4Lノンターボの前期ワンはさすがにやや非力と感じる側面もある。

またボディとルーフのカラーが同色であるためデザイン的に少々寂しい。

ホイールがアルミではなく「鉄ちん」であるため、これまた少々寂しい。

――などのネガティブポイントもあるからだ。

▲こちらはクーパー。ボンネットのストライプは標準装備品ではなくオプションだが、いずれにせよなかなかスポーティな雰囲気が漂う好グレードだ。走りも、鬼のように速いわけではないが、まずまず速い▲こちらはクーパー。ボンネットのストライプは標準装備品ではなくオプションだが、いずれにせよなかなかスポーティな雰囲気が漂う好グレードだ。走りも、鬼のように速いわけではないが、まずまず速い
▲ルーフがボディ同色となるため今ひとつおとなしいイメージで、ホイールもアルミではなく「スチール+キャップ」となるワン。好みは人それぞれだが、まぁ率直に言ってやや地味ではある▲ルーフがボディ同色となるため今ひとつおとなしいイメージで、ホイールもアルミではなく「スチール+キャップ」となるワン。好みは人それぞれだが、まぁ率直に言ってやや地味ではある

だが、もしもそのあたりが気にならないのなら――つまり「あまり飛ばさないから1.4Lでも十分だし、ホイールとかどうでもいいし」と思うなら、前期ワンも意外とオススメではある。

中古車というのは、仮にまったく同じ予算で探すなら、より低いグレード(新車価格が安かったグレード)の方が、よりコンディション良好な個体が見つかる確率が高いからだ。

その意味で、もしもあなたが飛ばし屋さんでないならば、あえてワンを探してみるのも悪くない。

……というような話を、「まぁもちろん、念のため多少の整備予算は手元に用意しておくべきですけどね」というコメントとともに、知人に伝えた。

知人は納得したようなしてないような、微妙な表情ではあった。

だがお手頃ミニという選択肢に、多少の興味はもってくれたようだった。

text/伊達軍曹
photo/BMW

▼検索条件

ミニワン・ミニクーパー(2代目)×5万㎞未満×修復歴なし×総額表示あり

▼検索条件

ミニワン・ミニクーパー(2代目前期)×5万㎞未満×修復歴なし×総額表示あり