絶滅危惧車のボーラからは、フォルクスワーゲンの“質実剛健”さが伝わってくる
2018/05/13
ゴルフにトランクを付けただけの車ではない!
フォルクスワーゲン ボーラは4代目ゴルフをベースにセダン/ステーションワゴン化したモデルで、ハッチバックでは荷室の容量に不満を覚える人がターゲットだった。ちなみに日本では4ドアセダンのみが輸入された。
1999年、日本では「ボーラ」というネーミングで新型モデルとして登場したが、かつて販売されたことがある「ヴェント」や「ジェッタ」シリーズの新型モデルであった。
ヴェントやジェッタはゴルフにトランクを付けただけ、と揶揄されることが多かったことを踏まえ、ボーラでは新型車であることをしきりにうたっていた。
実際、ヴェント/ジェッタシリーズとしては初めて、リアドアはゴルフとは同じものではなく、ボーラ専用のものになっていた。
ルーフラインのデザイン、Cピラーのこだわりなどもエクステリアのデザインに高級感をもたせるための工夫だった。
エクステリアを重視しすぎたためか、リアシートの足元の狭さや天井高の低さなどの不満が出たようだが……。
当初、日本では2L 4気筒、2.3L 5気筒エンジンでデビューし、2001年にはステロイドで筋肉増強したような2.8L V6エンジンに6MT、4WDを採用したスペシャルモデル、「V6 4モーション」も追加された。
速さと面白さは排気量に比例していて、わかりやすいヒエラルキーが構築されていたのもボーラだった。根底にあったのは生真面目な車、という一点。
しっかり、がっしり、どっしりしていて、フォルクスワーゲンがうたっていた高級感はあまりよくわからずとも、質実剛健さが節々から伝わってきたことが懐かしい。
そして、V6 4モーションはとにかく速く、なぜボーラがあそこまで速い必要があったのか、振り返ってみればよくわからない奇跡の存在であった。
振り返ってみれば当時のフォルクスワーゲン車は、大概どのモデルにもスペシャルモデルが存在していた。そういうラインナップ戦略だったのだろう。
カーセンサーを検索してみると、2018年5月11日時点で掲載台数はたったの10台。スペシャルモデルであったV6 4モーションは“格下”だった4気筒や5気筒モデルと大差なく販売されている。
今でも感じられるボーラの質実剛健さからは、フォルクスワーゲンが変わろうとしていた頃がありありと想像できる。ちょっとでも気になる方は、掲載物件をチェックされたい!
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