▲有名カロッツェリアが手がけた車には、ボディにしっかりその証が刻まれる。写真はアルファロメオ アルファGTのベルトーネエンブレム ▲有名カロッツェリアが手がけた車には、ボディにしっかりその証が刻まれる。写真はアルファロメオ アルファGTのベルトーネエンブレム

往年の名車を生み出したカロッツェリアが絶滅!?

昨年10月に突如現れ、12月には50台限定・99万ユーロ(約1億2000万円)で販売された日産 GT-R50 by イタルデザイン。

金額もさることながら、イタルデザインが手がけたというそのエクステリアが話題をさらった。

私のようなおっさんにはイタルデザイン=ジウジアーロだけど、よく考えればもう巨匠ジョルジェット・ジウジアーロは、イタルデザインに在籍していない。

2015年に自ら作り育てた、世界的カロッツェリア(車をデザイン・製造する業者)の株式を売却。

というか、2010年にはすでにイタルデザインはフォルクスワーゲングループになっている。

ピニンファリーナも、2015年にインドの自動車メーカー・マヒンドラ参加に入り、現在は長年の盟友であったフェラーリのデザインから離れている。

ランボルギーニ ミウラをはじめとした数々の名車や、先述のジウジアーロにマルチェロ・ガンディーニといった有名デザイナーを輩出したベルトーネは2008年に倒産(ベルトーネ・デザインとして再出発後2015年に倒産)した。

もうカロッツェリアの時代じゃないんだなーと、GT-R50 byイタルデザインを見て逆に感じいってしまった次第。

かつて彼らが手がけた名車はもとより「トヨタ アリストはイタルデザインのデザインが基になっている」だの、

「プジョー 306のハッチバックはプジョーとの合作だけど、カブリオレはピニンファリーナだよね?」なんて話していた頃が懐かしい。

イタルデザイン、ピニンファリーナ、ベルトーネ。

彼らが70~80年代に手がけた往年の名車はもう値を上げている。

この調子では90~2000年代のメイド・イン・カロッツェリアも、そのうち手が届かなくなる!?

そうなる前に、まだまだ普段使いできるうちに、カロッツェリアの手がけた美しい車に乗っておくのがいい。

ゴルフとは違う、新たなコンパクトカーの方向性【イタルデザイン×フィアット グランデプント】

【フィアット グランデプント】 【フィアット グランデプント】

イタルデザインの創始者であるジョルジェット・ジウジアーロといえば、フォルクスワーゲン ゴルフ(初代)やフィアット パンダ(初代)など、数々の名コンパクトカーをデザインしたことで有名だ。

しかし2006年に登場したフィアット グランデプントは先述の2台が直線基調なのに対し、曲線を使いながら美しく、かつスッキリと仕上げた1台。

全長4050mmのボディに1.4Lエンジンを搭載。セミATのデュアロジックの他、6速MT車も選べる。

原稿執筆時点で24台あり、平均価格は32万円。

フィアットスタイルセンターとの共同デザインだが、イタルデザインが1998年に手がけたマセラティ3200GTのような流麗さを、見事にコンパクトカーにも持ち込んでいる。

日本でいえばトヨタ ヴィッツクラスの車でも、メイド・イン・カロッツェリアが選べるなんて、イタルデザインに依頼したフィアットに感謝。

いくつになっても美しい石田ゆり子級!?【ピニンファリーナ×プジョー 406クーペ】

【プジョー 406クーペ】 【プジョー 406クーペ】

405セダンまで、プジョーはピニンファリーナにデザインを依頼することが多かったのだが、406セダン以降は社内デザインを採用。

その社内デザインの406セダンをベースにピニンファリーナが仕立てたのが406クーペだ。

3Lエンジンに4速ATを搭載。シートはレカロと共同開発された本革シートが標準装備される。

原稿執筆時点で5台見つかり、平均価格は75.5万円。

セダンと比べてシンプルで端正な顔になっただけでなく、個人的にはCピラーの処理に惚れ惚れしてしまう。

リアウインドウが少しだけ奥まっているのだ。

これはミッドシップのフェラーリでよくピニンファリーナが使う手法で、フェラーリなら左右のCピラーの間にエンジンがあるわけだけど、FFのプジョーでも「ちょっとやってみました!」的な感じ。

昨年の写真集販売ランキングのベスト10は、乃木坂46と欅坂46メンバーが独占したのだが、そこに唯一、しかも3位にランクインしたのがアラフィフの石田ゆり子さん。

デビューから20年たってもなお美しい406クーペは、まさに彼女みたいだと思う次第だ。

長年タッグを組んできたアルファロメオとの結晶【ベルトーネ×アルファロメオ アルファGT】

【アルファロメオ アルファGT】 【アルファロメオ アルファGT】

ジュリエッタ・スプリントやジュリアGTスプリント、さらにスーパーカー時代のモントリオール……そんなアルファロメオのクーペのほとんどを手がけてきたカロッツェリアがベルトーネだ。

そんな有名カロッツェリアが手がけた5人乗りのクーペが、アルファGT。

2004年にアルファロメオのセダンである156をベースに、156や同時期のハッチバック147のパーツも使うという制限の中で、アルファ伝統のクーペにのっとったスポーティなスタイルに仕上げた。

2.2L直4エンジン×セミATのセレスピードと、3.2LのV6エンジン×6MT車。

原稿執筆時点で39台から選べる。平均価格は66.9万円。

結局、2008年の倒産前の最後の作品となってしまったアルファGT。

そのデザインもさることながら、今となっては貴重なアルファ純血のエンジン、特に熱狂的なファンの多いV6エンジンを搭載している(3.2L車)点も、この車の魅力のひとつだ。

text/ぴえいる
photo/編集部、フィアット、プジョー、アルファロメオ

▼検索条件

フィアット グランデプント(3代目)×プジョー 406クーペ(初代)×アルファロメオ アルファGT(初代)