トヨタ ポルテ ▲車名の「ポルテ」はフランス語で「扉」を意味する。そのとおり、デビュー当時のコンパクトカーとしては画期的な大型スライドドアを装備していた
 

トヨタ ポルテの中古車は今

「誰でも使いやすい」を念頭に開発された、ミニバンよりも小さな“プチバン"サイズのトヨタ ポルテ。

車高が高いことも相まってコンパクトカーながら車内も広く、3列シートは要らないけれど、広い室内は欲しいというニーズにも応えるモデルだ。

2004年7月から2020年12月まで2世代にわたり生産された。2012年7月のフルモデルチェンジの際には、兄弟車のスペイドが誕生している。

現在の中古車台数・平均価格は、初代が約470台・約23万円と価格は底値に達した感がありかなりお買い得。

2代目は約750台・約65万円で、こちらも手ごろな値段と豊富な流通量で選びやすい状況だ。

いずれも、総額100万円以下で十分選べる、お手ごろなモデルとなっている。

ここからは各世代それぞれの特徴や中古車相場について紹介する。

 

 

ポルテ(初代)の特徴と中古車相場

■ポルテ(初代)DATA
生産期間:2004年7月~2012年6月
中古車流通量:約470台
中古車価格帯:10万~90万円

トヨタ ポルテ(初代) ▲全長3995mm × 全幅1695mm × 全高1720(2WD)mm。室内長2145mm × 室内高1390mmとコンパクトながら室内は広い

■ポルテ(初代)の特徴
2003年に登場した2代目ラウムに続き、助手席側に大開口スライドドアを備えたコンパクトカーとしてデビューしたポルテ。

フロア高が300mmに抑えられ、小さな子供から、足腰が弱って屈むのがつらいお年寄りまで楽に乗降しやすい。

トヨタ ポルテ(初代) ▲運転席側はドアが1枚のみ。後席へのアクセスが助手席側のみとなるが、後席に座った子供が道路側に飛び出さないというメリットもある

先輩のラウムに対し、全長はほぼ同じ約4mだが室内高は170mmも高い。

また、助手席ドアのあるラウムと違い、助手席側は開口幅1020mm × 開口高1265mmの電動スライドドアのみとした。(全車に標準装備)

トヨタポルテ(初代) ▲助手席前のアッパーボックスはティッシュが1箱入るサイズ。電動スライドドアは運転席のスイッチをオンにすると、助手席側からの開閉が可能になる

前席はセパレートシートで、助手席は前後750mmスライド可能。そのため、車内の前後左右に移動がしやすい。

また、助手席は背もたれを畳んでテーブルとしても使用できたり、後席の座面を跳ね上げて、ベビーカーなど背の高いものをスライドドアから載せることができる。

その他にも、車内には傘の先を差し込んでしまえる傘立てなどもあり収納が豊富だ。

搭載されるエンジンは1.3Lと1.5Lのガソリンエンジン。これにCVTが組み合わされた。当初は2WDのみだったが、2005年12月に1.5L車のみ4WD車が追加されている。

2007年6月のマイナーチェンジとともに、最上級グレードである1.5Lの「150r Gパッケージ」を除き、全車に撥水シート地が装備された。

トヨタポルテ(初代) ▲後部座席の座面を上げれば自転車も収納可能なスペースをつくれる

■ポルテ(初代)の中古車相場
ほとんどの物件が、総額50万円で狙うことができる大変お得な状況だ。

1.3L車と1.5L車はほぼ同数で、エンジンの種類による価格差はあまりない。そのため、街乗り中心なら燃費の良い1.3L車、レジャーにも使うので力強い1.5L車など、用途に応じた選択の仕方で問題ないだろう。

デビューから15年以上たつが、走行距離5万km以下も100台以上見つけることができる。中には予算30万円で狙えるお宝物件もあるため、総額20万~40万円の最安値帯も積極的に狙ってみるといい。

年式による動力的・機能的に大きな差はないので、年式にとらわれず、走行距離を目安に実車のコンディションを確認して、購入を判断するといいだろう。

2007年6月のマイナーチェンジで、撥水シート地になったモデルも200台以上ある。こちらも予算30万円で十分探すことができる。

▼検索条件

トヨタ ポルテ(初代) × 全国
 

ポルテ(2代目)の特徴と中古車相場

ポルテ(2代目)DATA
生産期間:2012年7月~2020年12月
中古車流通量:約750台
中古車価格帯:20万~約160万円

トヨタポルテ(2代目) ▲全長3995mm × 全幅1695mm × 全高1720(2WD)mm。室内長2145mm × 室内高1390mmとコンパクトながら室内は広い。フロア高は初代同様300mm

■ポルテ(2代目)の特徴
2004年7月に2代目へとフルモデルチェンジしたポルテ。同時に兄弟車のスペイドも登場した。両車の違いはデザインのみで、基本的な部分は同じだ。

初代に引き続き、助手席側は大開口の電動スライドドアのみとなり、開口幅1020mm ×開口高1250mmもほぼ初代と同じ。もちろん、全車に標準装備されている。

トヨタポルテ(2代目) ▲初代と異なり運転席側は後席にもドアが備えられた。シャープなデザインの兄弟車スペイドに対し、ポルテは柔らかな曲線が多用されたデザイン

車内には助手席前のアッパーボックスにティッシュボックスを収納すると、下からティッシュを引き出せたり、初代に引き続き傘立ても用意されるなど、車内はアイデア収納がたくさんある。

また、後席の座面を跳ね上げれば(グレードの「G」、「F」、「Y」の2WD車)ベビーカーを畳まずに車内に載せられるなど、初代同様に子育てファミリーにも人気が高い。

搭載されるエンジンやトランスミッション、駆動方式も初代と同様だ。1.3Lか1.5LのガソリンエンジンにCVTが組み合わされ、2WDと1.5L車のみ4WDが用意されている。

アイドリングストップ機能は1.3Lには標準、1.5L車はオプションで用意された。

トヨタポルテ(2代目) ▲初代と比べ回転計がなくなり、速度計のみのコンパクトなメーターになった。内装色は明るいベージュ系とブラック系の2種類がある

2015年7月に、1.5Lエンジンがアイドリングストップ機能付きの新エンジンとなり、JC08モード燃費が20.6km/Lから22.2km/L(いずれも2WDのアイドリングストップ機能付き)へと向上したが、2020年12月まで生産された間の動力的な改良はこれくらいだ。

2代目の購入時に留意したいのは、グレードにより前席シートの種類が異なることと、全グレードに6つのセレクトパッケージが用意されていたことだ。それぞれの違いは下記のとおり。

■グレード別の前席シートの特徴
・「G」:セパレートシートで、運転席のみ快適温熱シート
・「F」:セパレートシートで、撥水タイプシート
・「Y」:ベンチシート
・「X」:セパレートシート

■6つのセレクトパッケージ
・ナノイーパッケージ:ナノイー機能付きオートエアコンを装備
・スーパーUVカットパッケージ:紫外線を約99%カットするフロントガラスを装備
・スマートエントリーパッケージ:キーを差し込まなくてもドアの施解錠やエンジンをスタートできる同じ内容の機能が2017年12月に全車標準装備となった
・ドレスアップパッケージ:専用アルミホイールやメッキ加飾が加わる
・HIDパッケージ:自動点灯機能付きのディスチャージヘッドライトを装備
・ナビレディパッケージ:ナビ(別売り)を備えるとバックカメラ機能やステアリングでのオーディオ操作が可能

約8年間の販売期間中に一度もマイナーチェンジは行われなかったが、一部改良は随時実施されていた。特に安全機能については年式によって違いがあるので、選ぶ際に注意した方がいいだろう。

安全機能の進化については下記のとおりだ。

■2016年6月
衝突被害軽減ブレーキ、ウインカー操作なしに車線をはみ出すと警告する機能、ロー/ハイビーム自動切替機能をセットにした「トヨタセーフティセンスC」を全車標準装備

■2019年7月
トヨタセーフティセンスがレーダー+単眼カメラ方式になり、衝突被害軽減ブレーキに昼間の歩行者も検知対象に追加。誤発進抑制機能がオプションで用意された

さらに、後付けできる下記の安全機能も用意されている。すでに後付けされている中古車もあるだろうが、備わっていない中古車を購入した後でも付けられるので、ぜひ検討してみよう。

■踏み間違い加速抑制システム:販売された全スペイドが対象。2019年6月より後付け対応実施

■トヨタセーフティセンスの機能アップグレード:トヨタセーフティセンスが全車標準装備された2016年6月~2019年7月に販売されたスペイド。衝突被害軽減ブレーキに昼間の歩行者も検知対象に追加

トヨタポルテ(2代目) ▲脱着して洗濯ができるファスナー式シートカバーを備えた特別仕様車が度々登場している。同シートカバーを備えた特別仕様車は、ア ラ モード ドゥ、ア ラ モード トロワ、ア ラ モード ブラン
トヨタポルテ(2代目) ▲アウトドアテイストのデザインにまとめられた特別仕様車「グランパー」も2019年10月に販売された。ホイールキャップやドアハンドル、フロントグリル、ドアミラーがブラック加飾され、シートもツイード調ファブリックと合成皮革のコンビシートが備わる

■ポルテ(2代目)の中古車相場
比較的最近まで販売されていたこともあり、全体の半数以上にあたる400台以上が走行距離5万km以下と低走行車が豊富だ。この中には予算50万円でも狙える物件もある。

今後はコンディションの良い中古車が減っていくと思われるので、手頃な価格でコンディションを重視して選びたい人は、台数が多くて選びやすい今のうちに探すのが正解だろう。

一方で、衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタセーフティセンスCが装備された2016年6月のマイナーチェンジ以降の中古車は約100台見つかった。それ以前の中古車よりも若干価格は高めだが、それでも総額90万円から見つけられるので、安全性能重視なら積極的に探してみよう。

逆に踏み間違い加速抑制システムだけでいいのであれば、台数が多くて価格もお買い得な2016年6月以前のトヨタセーフティセンスC“非装着車"をあえて選び、トヨタディーラーで後付けのシステムを装着する方法もアリだ。約3万8500円(取り付け費用は別途)から取り付けられるので検討してみてはどうだろう。

なお、中古車流通台数は兄弟車のスペイドの方が多め。デザインさえ気に入れば、機能面は変わらないスペイドも合わせて探してみるという方法もオススメしたい。

▼検索条件

トヨタ ポルテ(2代目) × 全国

※記事内の情報は2021年7月10日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/トヨタ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。