初期型でもボルトを換えるだけでOK! トヨタ「86」の改良方針がステキすぎる!
2014/09/12
既存ユーザーをないがしろにする改良はしたくなかった
ぴえいる(以下、ぴ) いや~「新劇場版 頭文字D」面白かったな! 続きが楽しみだよ。Aくんは知らないだろうけれど、私が大学生の頃は友だちのハチロクで峠をだな……
編集部員A(以下、A) ハチロクといえば、トヨタ 86が4月に行った一部改良の件、知ってます?
ぴ いや、私が言っているハチロクは豆腐屋さん……
A その一部改良なんですが、例えば初期型の中古車を買っても、ディーラーで同じ改良ができるらしいんですよ。それも15万円くらいで。これって中古車を買いたいユーザーにとってはウレシイことですよね?
ぴ ん? まぁ、そうだけどAくん、たまにはオジさんの昔話にも付き合って……
A でも、なんでそんなことしたんですかね? ちょっとトヨタさんに話を聞きに行きましょうよ!
ぴ あ、ちょっと、私の話も聞いてくれよ~
ということで、編集部員Aとぴえいるはトヨタ自動車を訪れた。話を聞かせてくれたのは86の開発担当者でスポーツ車両統括部長 ZR チーフエンジニアの多田哲哉さん。今回行われた86の改良点は主に「操縦安定性・乗り心地向上」「外観・内装変更」「純正用品追加」と、サーキットの走行データをUSBメモリに転送する「スポーツドライブロガー」の4つ。中でも「操縦安定性・乗り心地向上」の改良には面白い工夫がされているという。
A 操縦安定性や乗り心地を向上させるには、ボディ剛性を高めるという方法が一般的ですよね?
多田さん はい、一般的には溶接のスポット数を増やしたり、板を厚くしたりするのですが、そうすると、せっかく最初に86を買って盛り上げてくれたユーザーを見放すことになってしまう。たった2年でそれはないだろうと
ぴ それで足回り部分のボルトの交換という方法にしたと。それにしてもフロント4本、リア2本、工賃込みで約5000~6000円程度の「改良」で、そんなに効果があるんですか?
多田さん 実は当社ではボルトの研究は長いことやっているんです。何しろボルトは工業製品の基本的な部品。ですから剛性の向上、軽量化、低コスト化など様々な研究をずっとやっています
A 確かに、車作りに必要不可欠な部品ですよね
多田さん サスペンションの付け根部分のボルトに、厚さの違うワッシャーを使うことで違いが出るんじゃないかと思いついた人がいて。乗り比べてみたらステアリングの手応えが全然違ったんです。そこからワッシャーの厚さや形状などを変えて試作品を作り、ひたすら試乗を繰り返しました
ぴ で、今回採用されたボルトが開発されたというわけですね
多田さん また、ボルトには、必要な部分だけ剛性を上げられるという利点があります。ボディはただ硬ければいいのではなく、適度なねじれも必要なんです。
長く愛される車づくりを!
ぴ それにしても、ボルトを換えるだけで車の性能が変わるなんて手軽だし、特に車をいじったことのないような若い人にとっては、ゲームとは違うリアルな変化がわかってきっと面白いでしょうね
多田さん そもそも若い人に乗ってほしいと86を開発したのですが、当初は40~50代の方が多かった。しかし次第に年齢層が下がって、今では20代が最も多いんです。しかもみんなMT車を買ってるんですよ!
A それは意外な話ですね! 我々のような車業界にいる人間としてはウレシイ話題です。今後の展開については、どんなことを考えているのですか?
多田さん 最近、カスタマイズした車は中古車価格が下がりがちなんですね。そこを何とかしたいと思っています。例えばレクサスの認定中古車制度のように、86認定中古車制度を作って、現在ある「エリア86カスタマイズパーティ」でアフターパーツを認定部品として取り扱うとか。純正品以外のサードパーティ製のパーツも、我々だけでなくユーザーの評価も参考にしながら認定部品にしていくとか
ぴ ユーザーも一緒になって評価していくというのがいいですね!
多田さん 86はみんなで育てていく車ですから!
ぴ なるほど。メーカーもユーザーも一緒になって進化させていくんですね。なんだかステキです! ありがとうございました
A 約15万円からできるなら、初期型の86を買っても、乗っている間に貯金して、自分で「一部改良」できる額ですね
ぴ そういえば私が社会人になった20年ほど前は、バッチリと決まったカスタマイズカーの中古車は、むしろ高値が付いたんだけれど
A またそんな風に、車をいじる楽しさを知っている人がたくさん増えると、我々としてもウレシイですね
ぴ あーそれにしても、私も体のどこかを換えたらシャキッと生まれ変わったりしないかなぁ?
A そうですね……ぴえいるさんの場合、フルモデルチェンジしかないですかねwww
ぴ ……
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