Q.商談をこっそり録音したら罪になる?

以前、契約のときの口約束で「言った、いわない」のトラブルになったことがあります。次から車を買うときは、自己防衛のために店員とのやりとりをこっそり録音しようかと思っています。これって犯罪になりますか?

A.録音は罪にはなりませんが、みだりに公開すると訴えられることも

結論から言うと、相手の了承なしに録音すること自体は犯罪にはなりません。ただし、録音した音声がなんらかの理由で流出して、その声から個人が判断されたり無断で使用された場合には、あなたは人格権の侵害で訴えられることもあります

そもそも、録音をするということは、通常はトラブルのときの証拠にするためであると考えられます。たしかに日本の裁判では、録音テープを証拠として提出することは可能ですし、音声を反訳して書面として出すことが多いと言えます。しかし、録音はあくまで契約時のやりとりを再現するための補助的な手段であり、録音をしておけば必ず裁判に勝てるというわけではないということは忘れないでください。

いくら法的に問題がなくても、黙って録音していることが店側にわかると、店側もいい印象はもたないでしょう。最初に「以前トラブルがあったから契約の会話を録音させて欲しい」と素直に申し出るのも一つの手です。録音することによって、相手もしっかりとした契約を結んでくれれば、トラブルの予防になります。

あまりに口約束が多く、書面にもしてくれない販売店の場合は、会話をこっそり録音してもいいかもしれませんが、そもそもそういった店はオススメできません。また、「録音させてほしい」との提案を過度に警戒したり嫌がったりする販売店も注意したほうがいいかもしれません。基本的には、口約束は必ず書面にしてもらうようにしましょう
第89回:証拠に残すためにこっそり商談を録音したら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

人格権(じんかくけん)
人の生命、身体、自由、氏名、信用など、法的に保護される人格的な利益をいう。人格権を侵害すると不法行為となり、損害賠償の責任が生じる