日常生活を支え、息子のわがままをかなえる、ベテランファミリーカーのbB
2021/01/10

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
特別好きじゃないものにだってこだわりは生まれる
江見啓太さん、久美子さん夫妻の愛車は初代トヨタ bBである。若者の大人気のモデルとして、ひと頃は街にあふれかえっていたが、近年はすっかり目にする機会が減った気がする。
それもそのはずで、生産が終了したのは2005年のこと。すでに15年以上も前なのである。
それでも、あまり古い車という感じがしないのは、積み木でこしらえたような角ばった、すっきりとシンプルなボディデザインによるところが大きいと思われる。
啓太さんも久美子さんも、いわゆる「車好き」ではない。6年前に中古で購入したbBは、主に買い物や送迎といった日常用途で使っており、遠くへ出かけることはあまりないという。
家族で旅行に行く際は、鉄道か飛行機を利用する。愛車はドライブレコーダーが装着されている以外はまったくのノーマルで、黒いボディには全体的にうっすら埃がかぶっていたくらいだ。
ただし、だからといって車にまったくこだわりがないわけではない。むしろ実用品だからこその、譲れない基準があるようだ。

久美子さんいわく、「コンパクトで小回りが利くのに、天井が高くて車内に圧迫感のない車がいい」。
部屋にいるように、リラックスして運転できる車が好きなのだという。同じく四角いボディをもつ日産 キューブと迷ったが、こちらの方がより好みに近かったそうだ。
いずれにしてもbBの前はファンカーゴを所有していたというから、その車選びの基準は一貫したものである。どちらも初代ヴィッツをベースにして作られた背高ワゴンであり、兄弟車だ。
啓太さんの方は、本音を吐けば3ドアのミニに乗ってみたいというが、現在、車をメインで使用しているのは久美子さんの方なので、そちらの好みを優先しているという。

長男の大和(やまと)くんは、広々したbBの車内空間を大いに気に入っているという。
普段は運転を楽しむために車で出かける、すなわちドライブはほとんどしない江見さんだが、一人息子の頼みとあればむげにはできない。
4歳にして地理好きという大和くん。先日は、「埼玉県に行ってみたい!」というリクエストをかなえるため、住まいのある横浜から首都高速で大宮まで行き、駅前のコンビニでおにぎりを食べてとんぼ返りで帰ってきたという。
大和くんがいま一番車で行ってみたい県を聞いてみたところ「富山!」と即答。これには啓太さんも「う~ん」と苦笑い。
またある時には、思い切って家族でディズニーランドへ行こうと家を出発したものの、すぐにパンクが発生して走行不能に。ロードサービスの手を借りて整備工場でタイヤを交換した頃にはすっかり日が傾き、断念することになったこともあるという。
特別に大切に扱われている訳ではないが、日常の足として、お子さんとの思い出づくりに欠かすことのできない働き者。それが江見家のbBの実像である。

「ファミリーカーとして使うなら、電動スライドドアの付いたミニバンが便利なんだろうなと思うこともありますけど、ここまで付き合ってきた以上、動かなくなるまで乗りたいと思っています」と久美子さん。
bBの由来は「ブラックボックス」の略である。
つまり、その内部構造や仕組みについて詳しく知らずとも、便利に使える機械を意味する言葉だ。
bBは江見家にとっての、まさしくブラックボックスなのである。


江見啓太さん・久美子さんのマイカーレビュー
トヨタ bB(初代)
●購入金額/50万円
●年間走行距離/約3000㎞
●マイカーの好きなところ/まったく故障しないタフさ
●マイカーの愛すべきダメなところ/壊れないけどボロくなってきているところ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/室内は広く、それでいて運転しやすい車がいい人

ライター
佐藤旅宇
オートバイ専門誌『MOTO NAVI』 、自転車専門誌『BICYCLE NAVI』の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はスズキ ジムニー(81年式)とスズキ グランドエスクードの他、バイク2台とたくさんの自転車。
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