あなたは、夜間、ヘッドライトをハイビーム(上向き)にしているだろうか? 少々古い数字だが、2007年に茨城県警が「ヘッドライトの点灯方法」を調査したところ、約86%が「ライトはロービーム(下向き)で走行」と回答したという。

道路運送車両法では、ハイビームを「走行用前照灯」、ロービームを「すれ違い用前照灯」と呼び、対向車がいない場合にはハイビームを使用すると定めている。

しかし、ハイビームとロービームの切り替えが面倒で、ついロービームのまま走っているというドライバーも少なくないだろう。実は、この行為はとても危険。茨城県警は今年1月、「県内で、夜間、歩行者が車にはねられる死亡事故29件について、半数の事故はライトを上向きにしていれば防げた可能性がある」という調査結果を発表している。

それでは、ハイビームはロービームと比較して、どの程度の危険回避ができるのだろうか。

JAFが今年10月に発表した「ロービームの限界を知るテスト」では、運転歴20年以上の30~50代の男女5名のモニターに時速80kmと時速100kmでテストコースを走行してもらい、任意に置かれた障害物までの停止位置を測定し、ハイビームとロービームの視認性の違いを検証している。

結果は、時速80kmでの走行時、ハイビームでは障害物から最短でも44m手前、最長では111m手前で停止。

ロービームでは、どのモニターも停止位置が大幅に障害物に近づき、2人に至っては、障害物のわずか1m手前で停止。時速100kmではロービームでは、5人中4人が障害物の前では停止できなかった。

JAFではこの結果を踏まえ、対向車や先行車、歩行者がない場合には、ライトを積極的にハイビームにして走行するとともに、ハイビーム・ロービームに限らず、照射範囲内で止まれる速度を心がけるよう呼びかけている。

「夜間のヘッドライトの基本はハイビーム」。事故軽減のためにも、是非、覚えておいて欲しい。

茨城県警では、照射距離の短い右側の横断者の存在に特に注意すること、歩行者、自転車は反射材を装着することを啓蒙している

茨城県警では、照射距離の短い右側の横断者の存在に特に注意すること、歩行者、自転車は反射材を装着することを啓蒙している

JAFの実験の様子が動画で公開されている。ロービームでは視認性が低く視界が限られてしまうことがよくわかる(JAF)

JAFの実験の様子が動画で公開されている。ロービームでは視認性が低く視界が限られてしまうことがよくわかる(JAF)