※この記事はカーセンサー関東版35号(2000年9月21日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

トルクの太さで滑らかに加速!こいつはスポーツセダンの王道を行く

  • BMW 330i 走り|ニューモデル試乗
  • BMW 330i リアスタイル|ニューモデル試乗
↑エンジンのパワーを無駄なく路面に伝えるリアの接地性の高さは、FRの手本のようだ(左)MTモデルは左ハンドルのみの設定。また、キセノンライトを標準装備する(右)
新型3Lエンジンを搭載した330iが328iと明らかに違うのが、エンジンサウンドと回転フィール。どちらも一言でいえば滑らかだ。4000rpmで一段と盛り上がり、リミットまで引っ張る楽しさが328iにはあったが、それに比べて330iにはいわゆるパンチがなくて面白味に欠ける……。

と思ったのだが、じゃあ遅いのかというと、まったく逆で330iは全域滑らかだが、トルクが太いため車速はグングン伸びて行く。直接比較すると、パンチがあるように感じる328iだが、エンジンの完成度としてはパワー、トルク、燃費、回転フィールともに330iの方が上だ。

あえて“MT”導入に踏み切ったBMWジャパンに拍手!

  • BMW 330i インパネ|ニューモデル試乗
  • BMW 330i エンジン|ニューモデル試乗
↑衝突の強さによりエアバッグの展開力を調整するスマート・エアバッグを採用(左)これまでの2.8Lエンジンと比べ、出力、トルクがそれぞれ38ps、5kg-mアップした(右)
今回の注目はセダンに“5速MT”が用意されたこと。パワー/トルクがアップしたから、本来はATとのマッチングが良くなっているが、ステップトロニック付き5速ATを手動操作してもリミットで自動シフトアップする制御のため、ギアを完璧にホールドできるMTとは走行スタイルがガラリと変わってしまう。

スポーツする楽しさでは当然MTなのだが、台数的には多くは望めないだろうにあえて“MT”導入に踏み切ったBMWジャパンに拍手を送りたい。318Ciの5速MTと同様にクラッチ、シフトの操作性は軽くスムーズ。ヒール&トーが自然に決まるペダル配置などはサスガ、である。

サスガといえば、もう一つ。リアの接地性の高さは、あり余るエンジン出力を少しも無駄にしないで路面に伝えるFRの手本だ。操縦性は弱アンダーで一般公道では無謀なアクションを行わないかぎり挙動は乱れない安定性をもっている。 Mスポーツは323i以上で真価を発揮するが、330iのMTならまさに最高の組み合わせといえる。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 330i Mスポーツ
駆動方式 2WD
トランスミッション 5MT
全長×全幅×全高(mm) 4470×1740×1415
ホイールベース(mm) 2725
車両重量(kg) 1500
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直6DOHC
総排気量(cc) 2979
最高出力[ps/rpm] 231ps/5900rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 30.6kg-m/3500rpm
10・15モード燃費(km/L)
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/63
車両本体価格 555.0万円

桂 伸一の責任採点

コンセプト 5点 取り回し 5点 加速性能 5点 ブレーキ性能 5点
フィニッシュ 5点 操作系の使い勝手 5点 乗り心地 5点 環境対策 5点
前席居住性 5点 ラゲージルーム 5点 操縦安定性 5点 燃費 4点
後席居住性 4点 パワー感 4点 高速安定性 5点 ステータス 3点
内装の質感 4点 トルク感 5点 しっかり感 5点 コストパフォーマンス 3点
得点合計 92/100
(Tester/桂 伸一 Photo/奥隅 圭之)