カッコイイさん(山形県)
投稿日: 2017年9月12日
5点
エンジン:昔のEJ20を知る人にとっては驚きの湧き出る低回転域トルク。ただし3,000rpm付近に感じる一瞬の減速感は従来通り。
常用域での使いやすさが向上し、力強さ、滑らか共に申し分のない、完成された官能的かつ暴力的エンジン。反面、独特のブルブルする振動がディーゼルトラックを想像させることも。
走行:常用域でザーザー音が鳴る効き過ぎブレンボ、スポーツ走行で全く効かないのは歴代スバル車伝統、パッド交換は必須。
走りの肝である3ペダルはトラックみたいに上から踏みつけるタイプで、足裏1/3も乗らない極小フットレストとクラッチ双方を左足1本で同時踏み込み可能。全体的に左側へと密集されたレイアウトが操作性を若干スポイルするも、オルガン式に比べればヒールアンドトゥは簡単。
柔らか過ぎるクラッチダンパースプリングがダイレクト感を阻害している感あり、もう少し固くしてもいいのでは?
エアコン冷媒の真似してシューシュー音が鳴るパワステ、気が散ってコーナリングに集中できず。
よく見かけるハンドルが重いとの評はLSD作動による反力との混同では? Fドラシャを持つ高出力車としては寧ろ軽い方かと。
道路が掻き毟られている感をビンビン伝える3つのLSD、絶対的な速さとS4では味わえないコントロール性を提供。
常用域におけるゼロ発進加速のモタツキ感をはじめ、SIドライブなるスロコンの過剰な演出と不自然な制御が人馬一体感を完全にスポイル。小手先の演出は無用、ドライバーの意志を忠実に具現化するリニアで自然なレスポンスの実現をお願いしたいところ。
乗り心地:評判通りサスは固く、ピョコピョコとハネまくるホンダタイプR系とは違ったコツコツ感が脳天を直撃するも、ボディ剛性感アップの実現により思いのほか不快には感じず。想像してた以上に長距離乗車が可能で実用性には全く問題なし。
車格に見合わぬ大きめのロードノイズ、ハイグリップタイヤを履くスポーツカーの宿命とはいえ、GVBから劇的向上した静粛性が却ってその存在感を強調。
超高張力鋼板の多用はボディ剛性に一役買うも、ルーフを叩く雨やタイヤが巻き上げる小石などの音がボディ全体に凄まじく反響し「何事か!?」と驚くことうけあい。
いずれにせよ、このWRX STIはそういったノイズをも楽しむクルマ、気になる人は最初から買わない方が無難。
コンピュータに隅々まで制御され、演出され、創造された走行性能が、良くも悪くも、ドライバーの期待するそれとは色んな場面で乖離します。
走りのシーン全体に広がる古典的暴力マシン感と先進電脳アンドロイド感が共存した独特の世界観。
ドライバーには当然のようにコイツの特性を理解したドライビングが求められます。
逆に、そういう運転をしなければ、単なる運転し辛いだけのつまらないクルマ。
とてもじゃないですが、万人にお勧めできるものではありません。
にも拘らず、有り余るマシン性能がドライバーを魅了して止まず、ドライビングプレジャーに不足なし。
タイプR的ドンガラ軽量ボディのNAマシンとはまた違った快感が得られる不思議な不思議なハイパワー&ハイテクターボマシン。
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