スバル WRX ▲現在のデザインテーマ「ダイナミック&ソリッド」に、サブテーマ「BOLDER(ボルダー)」が反映されて力強さが増す次期WRX。シャシーには、GSPの改良版が使われる

スバルのパワーユニット計画

1989年初代レガシィとともに登場したEJ型水平対向エンジン。以降、スバルの主力ユニットとして、長きにわたって進化と熟成を重ねてきたが、2019年いっぱいでWRX-STIの生産終了とともにその幕を閉じた。

スバルの黄金時代を築いたエンジンの終焉ということもあり、ファンの間では大騒ぎだった。次期WRXはどうなるのか。多くのスバリストは次期モデルのパワーユニットが気になるところだろう。
 

スバル WRX▲現行型は、先代インプレッサと同じ旧世代シャシーにFA20型エンジンとCVTを組み合わせた「S4」と、EJ20型エンジンと6速MTを組み合わせた「STI」がラインナップされている

スバルは、2021年までに世界生産の8割をダウンサイジングターボにする計画だ。現在、3タイプのターボエンジンが設定される予定になっている。

第1弾が北米専売の3列シートSUVであるアセントや7代目レガシィ、レガシィアウトバック(日本未発売)に搭載されている2.4L直噴ターボ。第2弾が次期レヴォーグに搭載予定の1.8L直噴ターボ。

そして、第3弾が現行の2L NAに代わる1.5L直噴ターボだ。

次期「WRX-STI」、「S4」には、2.4Lの高出力バージョンが設定されるようだ。多くのファンはがっかりするかもしれないが、現在のスバルの内情を考えると残念ながらそれしか選択肢はない。
 

2.4Lとなる3つの理由

なぜ、2.4L直噴ターボなのか。理由は3つある。ひとつ目の理由は燃費規制への対応である。

CAFE(企業別平均燃費基準)は年々厳しさを増している。高出力モデルだからといって、燃費性能は無視してOKとはいかない。となると、排気量の余裕で燃費を稼ぐしかない。

2つ目の理由は、モータースポーツ。

「WRX-STI」が、2LターボにこだわってきたのはWRCをはじめとするモータースポーツユースを視野に入れていたためだが、それとは裏腹に現在は全日本ラリーしか活躍の場がない。そのためだけに2Lターボを続投させるほどの余裕がスバルにはない。

3つ目は乗りやすさだ。

海外向け「WRX-STI」は、3代目以降EJ25型2.5Lターボが搭載されている。プラス500ccの余裕はドライパビリティに貢献している。また、モータースポーツではリストリクター(エンジンの吸気量を制限する装置)の関係でそこまでエンジンを回す必要もなくなっている。

トランスミッションはどうなる

もうひとつ気になるポイントは、トランスミッションがどうなるかだ。6速MTには現行型の進化版が用いられることは間違いないが、2ペダル仕様はどうなるのか。

現行のリニアトロニック(CVT)は、許容トルクが400N・mでフィーリングもイマイチ。多くの人は多段ATの登場を待ち望んでいるはずだが、まだ研究レベルで量産化できるかどうかは現時点でハッキリしていない。

スバルの走りのフラッグシップである、次期WRXにのしかかる期待は大きい。2代目レヴォーグ S4が一新された後、2022年春に次期WRXは登場する予定だ。

※2020年7月17日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2022年4月
■全長×全幅×全高:4620×1800×1470(mm)
■搭載エンジン:2.4L水平対向4+ターボ
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、スバル