軽自動車の枠いっぱいを使ったハイトワゴンが人気ですが、その広々とした空間を利用した福祉車両も注目を集めています。今回ご紹介するのはダイハツ タントウェルカムシート。タントの魅力のひとつは大開口のミラクルオープンドア。この大開口を生かした介助する側にもされる側にも負担の少ない福祉車両となっています。

ベースのタント(2013年10月~)は助手席と後席の間にある柱(ピラー)のない大開口「ミラクルオープンドア」が人気の軽ハイトワゴン。この大開口(開口幅は1490mm)を使って助手席が車外へ回転&昇降するのがタントウェルカムシートです。

通常の回転&昇降シートは、座席がその場で回転&昇降するため、人によっては膝やつま先が引っ掛かってしまう…という心配がありましたが、このタントウェルカムシートは、座席を後ろにスライドし、足もとに十分なスペースを確保してから回転&昇降を始めるため、快適に乗り降りすることができます。もちろん、乗り降りする場所やその人の症状に合わせてスライドさせずに回転&昇降させることもできます。

また、回転&昇降する助手席シートにシートベルトが内蔵されたこともポイントです。介助する人が、車外でシートベルトを取り外しできるので便利です。また、タントはこのモデルから両側スライドドアが標準装備されたため、介助者の乗り降りも楽になりました。

ベース車同様、助手席後ろには大きな乗降用グリップが備わっているので、子どもや足腰の少し弱った方の後席への乗り降りがしやすくなっています。またアイドリングストップが全車標準装備で、衝突回避支援システムのスマートアシストは最廉価グレードのXを除いて標準装備されています。

日常の買い物や子どものお迎えなどにも便利なのはベース車と変わりませんから、あまり福祉車両を意識しないで使うことができます。しかも価格は、最廉価グレードのXで見るとベース車の25.6万円高に抑えられています。乗り降りしやすいパワーシートが助手席に備わったタントと考えれば、魅力的な価格と言えるのではないでしょうか。

4WDの設定もあるほか、スポーティなエクステリアのカスタム X“SA”も選ぶことができるなど、旧型に比べて選択肢が広がっているのも特徴です。普段使いも大切にしたいという人は一度検討してみてはいかがでしょうか。

乗車定員/4名
回転時足元スペース/470mm(ミラクルオープンドア利用時)
最大シート突出量/720mm
最低シート高/495mm
開口部高/960mm


Text/籠島康弘

4WDはX“SA”に設定されている。ターボ車の設定はない。アイドリングストップが標準装備で、スマートアシストは最廉価グレードのXを除いて標準装備

4WDはX“SA”に設定されている。ターボ車の設定はない。アイドリングストップが標準装備で、スマートアシストは最廉価グレードのXを除いて標準装備

助手席には走行中に体を支えやすいアームレストが備わる。シートベルト内蔵型のため、シートの回転&昇降中もシートベルトが乗員を支えてくれる

助手席には走行中に体を支えやすいアームレストが備わる。シートベルト内蔵型のため、シートの回転&昇降中もシートベルトが乗員を支えてくれる