5ナンバーサイズの箱形ミニバンは、広々とした室内空間と扱いやすいサイズ感で、ファミリーカーとして人気があります。今回ご紹介するのは、トヨタ ヴォクシー/ノアの車いす仕様車。車椅子の人を乗せやすくなっているのはもちろん、車椅子を乗せない場合には、普通のミニバンとして使える工夫も施されているのが特徴です。

ベースのヴォクシー/ノア(2014年1月~)は、新開発の低床フロアによって旧型より全高を25mm下げつつも、室内高を+60mmの1400mmに、また2列目&3列目シートの膝まわり空間を合計140mm拡大するなど、居住性に磨きがかかっています。この広い室内を活用し、スロープを使って車椅子ごと乗り込めるようにしたのが車いす仕様車です。

ヴォクシー/ノアの車いす仕様車は、車椅子を乗せる場所によってタイプIとタイプIIに分けられます。タイプIは2列目(助手席側)に車椅子を乗せるタイプなので、1列目(2名)、2列目(1名)、3列目(3名)+車椅子の最大7名乗車となります。さらに3列目を畳んで車椅子2台を乗せることができるタイプもあります。ちなみにタイプIには助手席後ろ用に後付けシートが用意されているので、車椅子を乗せなくなった場合には、別途ディーラーでシートを購入して取り付けることもできます。

タイプIIは、3列目シートを左右に格納して、そこに車椅子の人を乗せるタイプです。車椅子を乗せない時はベース車同様に最大8名の乗車が可能です。また、車椅子の人を乗せての移動が主な方用に3列目シートの無いタイプも用意されています。

このヴォクシー/ノアの車いす仕様車が画期的なのは、スロープを前に倒して3列目シートの下に収納でき、荷物の出し入れがしやすい点です。たいていの車いす仕様車は、スロープを直立させて3列目シートの背後に格納するタイプがほとんどで、荷物の出し入れがしづらかったのです。

そのほか、エアサスペンションによって車体後部が沈み込んで、車椅子での乗り降りを楽にしてくれる機能や、オプションで電動ウインチ、電動スロープ(前倒れ機能は無し)が用意されています。

このように車椅子の乗り降りもしやすく、普通のファミリーカーとしても使いやすい介助「兼用車」として、いくつもの工夫が盛り込まれたヴォクシー/ノアの車いす仕様車。車椅子の人を含め家族みんなで出かけたい方、買い物などの日常使いにも車が必要という方は、一度検討されてはいかがでしょうか。

乗車定員/7名(タイプI)、8名(タイプIIの3列目シートあり)、6名(タイプIIの3列目シートなし)
スロープ角度/9.5度
スロープ長/1450mm
スロープ幅/750mm
開口部高/1380mm


Text/籠島康弘

ノア、ヴォクシー共に2.0Lエンジンを搭載し、2WDと4WDが用意されている。トランスミッションはCVTのみ。写真はヴォクシー

ノア、ヴォクシー共に2.0Lエンジンを搭載し、2WDと4WDが用意されている。トランスミッションはCVTのみ。写真はヴォクシー

バックドア開口部の幅や高さなどが改良され、リクライニング機構付きの車椅子や電動車椅子、シニアカーでも乗せられる。写真はヴォクシー

バックドア開口部の幅や高さなどが改良され、リクライニング機構付きの車椅子や電動車椅子、シニアカーでも乗せられる。写真はヴォクシー

シート下にスロープを格納できるため、荷物を載せたいときにもスロープが邪魔になることはない。写真はノア

シート下にスロープを格納できるため、荷物を載せたいときにもスロープが邪魔になることはない。写真はノア