ホンダ アコードツアラー▲かつては日本でも人気だったステーションワゴン。国産モデルはいつしかミニバン・SUVに人気の座を譲ることとなりました(写真はホンダ アコードツアラー)

いよいよ少なくなってきた国産ステーションワゴン

最近の日本で人気のボディタイプといえば、SUVやミニバンが真っ先に上がるでしょう。

ミニバンはたくさんの人が広々快適に乗ることができますし、SUVは高い走破性を備えつつ積載性も高いという使い勝手の良さが魅力的です。

反対にめっきり人気がなくなってしまったタイプは、ステーションワゴン。

かつて日本では、ファミリーカーの代名詞として多くの人気モデルが存在していました。

見た目どおり荷室が広く、それでいて安定性の高いセダンにも負けない運動性能をもっており、まさに一石二鳥のタイプなのです。

セダンが主流だった頃に登場したので、人気が出るのは当然だったのでしょう。

しかし、いつしかミニバン・SUV人気の陰に追いやられ、ひっそりと姿を消していったモデルが多々あります。

一方で、ドイツを中心とした海外では、いまだに高い人気を誇っているタイプでもあります。

例えば、BMWの3シリーズや5シリーズのツーリング、メルセデス・ベンツのCクラスやEクラスのワゴン、アウディ A4やA6のアバント……。

これらのモデルは、新型が登場するたびに高い評価を得ていますし、日本の中古車市場では今も高い人気を誇っています。

アウトバーンをはじめ超高速で移動するシーンの多いドイツでは、十分なエンジンのパワーや高い剛性感、どっしりと構えた重心などが求められます。

日本の道路事情を考えるとオーバースペック気味かもしれませんが、制限速度100km/hの高速道路を走るだけでも、その安定感を味うことができます。

一度味わってしまうと、その魅力に取りつかれる人も多いようで、いまだに日本で輸入ステーションワゴンが人気なのもうなずけます。

BMW 3シリーズツーリング▲ドイツをはじめとした海外ではまだまだ人気のステーションワゴン。利便性だけでなく、高い走行性能をもっているのが人気の秘訣でしょう(写真はBMW 3シリーズツーリング)


さてそんなステーションワゴン。今は絶版となってしまった国産モデルの中に、輸入車に勝るとも劣らない魅力的なモデルがあるんです。

今回は、中古車の価格的うま味が出てきていながら、まだまだ現役バリバリの10年落ち以内(2009年以降)で物件を見つけることできる、「輸入モデルに負けない、絶版快速国産ステーションワゴン」3モデルを紹介します!

しかも、予算100万円以内からでも十分狙えるモデルばかりです。

輸入ステーションワゴンを検討中の方、ぜひ合わせて検討してみてください!

ツアラーの名前どおり走行性能に磨きをかけたワゴン
ホンダ アコードツアラー(初代・2008年12月~2013年3月生産モデル)

ホンダ アコードツアラー▲低く抑えられた全高や幅広いボディなど、スポーツカーのような「ワイド&ロー」のフォルムが特徴的なホンダ アコードツアラー
ホンダ アコードツアラー▲ゆったりとしたシートや、しっかりパーソナル空間を確保できるように設計された室内は、快適にロングツーリングを楽しむことができるはずです


ホンダ アコードツアラーは先代まではアコードワゴンという名でしたが、アクティブなライフスタイルを送る人たちが、高速で都市間を上質・快適に移動する車というイメージから、新たにツアラーという名が与えられ2008年に登場しました。

目指したのは、まさに「欧州プレミアムワゴンと戦える車」です。

「世界基準の上質」を目指し、存在感のあるデザイン、高速走行やワインディングが続くようなロングツーリングに求められる「走る・曲がる・止まる」を徹底的に磨き上げた走り、ドライビングをより安心・快適にサポートする先進機能を備えています。

デビュー時に搭載されたのは、206psを発揮するハイオク仕様2.4L VTECエンジン。従来モデルの5速ATに対して2速ギアをローレシオ化することで、加速性能を向上させました。

エンジンの出力特性を生かした設定で、燃費性能を損なうことなく動力性能を高めています。

2011年2月のマイナーチェンジでは、レギュラー仕様の2Lエンジンも追加されています。

また、リアの開口部が大きくセダンに比べリアの剛性が劣りがちなステーションワゴンですが、しっかりと補強材を配置することで強化することに成功。軽快かつ安定した走りと快適な乗り心地を実現しています。

全幅1840mmとかなりワイドなボディサイズのため、室内空間はゆったりと余裕のあるつくりになっています。

普段は見えないような部分の質感にもこだわっており、インテリア全体が高品位に仕立てられているのも特徴です。

こちら、当時はあまり評価されず販売台数は決して多くありませんでした。そのため、原稿執筆時(2019年9月19日)の中古車掲載台数は約80台と少なめ……。

しかし、約半数の物件は総額100万円以内で見つかり、しかも2011年式の走行距離6万kmみたいな物件も結構見つかります。

オススメは2.4 タイプS アドバンスパッケージ。Hondaインターナビやハーフレザーシートなどの豪華装備に加え、衝突被害軽減ブレーキやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)がされている最上級グレードです。

台数は少ないものの、タイミングによっては100万円台前半で見つかることがあります。

▼検索条件

ホンダ アコードツアラー(初代)×2.4 タイプS アドバンスパッケージ×全国

▼検索条件

ホンダ アコードツアラー(初代)×全国

欧州仕込みの本格派ステーションワゴン
トヨタ アベンシスワゴン(2代目・2011年9月~2018年4月生産モデル)

トヨタ アベンシスワゴン▲トヨタの英国工場で生産されていたアベンシスワゴン。走行テストもヨーロッパでの走行を想定した内容が多かったようです(写真は2012年2月マイナーチェンジモデル)
トヨタ アベンシスワゴン▲派手さはない内装ですが、しっかりと操作性が考慮されたインテリア


トヨタ アベンシスワゴンは、英国工場(Toyota Motor Manufacturing(UK)Ltd.)で生産されているため、厳密にはトヨタブランドの欧州車となります。

今回紹介するこちらは、欧州では3代目となりますが、日本に導入されたものとしては2代目となります。

開発に当たって、「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能を徹底的に磨き上げるため、アウトバーンやワインディングロード、石畳路など、欧州の様々な路面での走行テストを繰り返し実施したといいます。

搭載されるのは152psを発揮する2L直4エンジン。決してハイパワーとは言えませんが、Super CVT-i(自動無段変速機)と組み合わされることで、低・中速域から高速域まで、レスポンスに優れた力強い走りを実現しています。

このように現地で生産されるモデルが日本に導入される際には、日本仕様にチューニングされることが多いのですが、CVT制御やサスペンションは欧州仕様のチューニングをそのまま活用しているのも魅力的です。

2度のマイナーチェンジで大きくエクステリアデザインが変更されていますが、一貫してプレミアム感を醸し出す欧州スタイルが特徴になっています。

特に広めの1810mmの全幅を生かし、ダイナミックな走りを感じさせる踏ん張り感のあるスタイルは、デザインだけではなく走行時の安定性にも貢献しています。

販売台数は多くなかったため、中古車流通台数は少なめ。原稿執筆時には100台ほどとなります。

半数以上が総額100万円台半ばで、登場初期型モデルを中心にフタケタ万円の物件も見つかります。

オススメはLEDクリアランスランプを追加し、フロントデザインがよりシャープな印象になった2012年4月マイナーチェンジモデル。

このタイミングでアルカンターラ+本革シートを採用し、木目調パネルを採用した上級グレードの「Li」が追加となりました。

2014年式、走行距離5万km前後のLiで、総額110万円前後といった感じです。

▼検索条件

トヨタ アベンシスワゴン(2代目)×2012年4月マイナーチェンジモデル×全国

▼検索条件

トヨタ アベンシスワゴン(2代目)×全国

水平対向エンジンが実現する安定感
スバル レガシィツーリングワゴン(5代目・2009年5月~2014年10月生産モデル)

スバル レガシィツーリングワゴン▲スバルのお家芸ともいえるボクサーエンジンを搭載したレガシィツーリングワゴン。こちらの5代目はシリーズ最大の大きさとなりました
スバル レガシィツーリングワゴン▲ボディサイズが大きくなったことでゆとりある室内空間が生まれました。ロングツーリングも快適そうです


シリーズ5代目となるBR型レガシィツーリングワゴン。歴代最大のボディサイズとなり、室内空間にゆとりが生まれました。

デビュー時に搭載されたエンジンは、スバルの代名詞ともいえる2.5Lボクサー(水平対向)エンジンで、グレードによって170psのNAと285psのターボがラインナップされています。

先代に比べ排気量が大きくなったことで、低速域からしっかりとトルクが発生し、スムーズでゆとりある走行性能を実現しています。

さらに2012年のマイナーチェンジでは、新世代の2Lボクサーターボエンジンを採用。なんと最高出力は300psとなり、パフォーマンスアップが図られています。

駆動方式は4WDのみで、しっかりと路面にパワーを伝えてくれます。

ボクサーエンジンは構造的に重心が低くなるエンジンのため、4WDと組み合わさることで高速走行時の安定感はピカイチです!

室内空間は広さや快適さを感じさせる「ゆとり」と、陰影や素材の質感によって機能性を感じさせる「品格」を表現しています。

シートは、座面の広さやクッション性の高さなどにより快適な座り心地とホールド性を両立。また、シートスライドなどの調整幅を大きくとることで最適なポジションが得られます。

原稿執筆時点で、掲載台数は約500台、2010年以降で絞っても約400台と今回の3モデルの中では最多。

半数近くの物件が総額100万円以内で狙えることもうれしいポイントです。

オススメは2.5Lターボエンジン搭載の2.5GT系グレードで、2010年5月以降の先進運転支援システム「アイサイト」が搭載されたモデル。

前方衝突の回避、または衝突被害の軽減を図る「プリクラッシュブレーキ」機能、「全車速追従機能付クルーズコントロール」機能などが、安全で快適なドライブを実現してくれます。

2011年式の走行距離6万km前後の物件が、150万円前後で見つかりますよ!

▼検索条件

スバル レガシィツーリングワゴン(5代目)×2.5GTアイサイト×全国

▼検索条件

スバル レガシィツーリングワゴン(5代目)×全国
文/編集部 神崎洋平、写真/ホンダ、BMW、トヨタ、SUBARU

神崎洋平

カーセンサー編集部

神崎洋平

小さい頃から車が好きで、中学生のころからカーセンサーを愛読。若者の車離れに一矢報いたいという動機で、2017年にカーセンサー編集部にやってきた。好きな車はセダンとスポーツカーで、現在の愛車はE90型BMW 3シリーズ。趣味はダム観賞で、休日には全国各地のダムへ足を運んでいる。