メルセデス・ベンツ GLAクラス ▲手ごろな価格の国産コンパクトSUVよりはちょっとだけ高いのですが、おおむね似たような予算で「メルセデス・ベンツのSUV」も買えること、ご存じでしたか?

国産SUVも悪くないけど、“ベンツのSUV”ならさらに素敵かも?

「荒れ地を走る予定はないけど、ちょっとコンパクトなSUVが欲しい」と考える人が最近は多いようです。

確かにコンパクトSUVには、

1. デザインとたたずまいが「今っぽい」。
2. 普通のコンパクトカーより車高がちょっと高くて、全長もちょっと長い場合が多いため、その分、車内や荷室が広くて使いやすい。
3. 最低地上高がやや高いため、段差や車輪止めなどを気にせず運転できる。

等々のメリットがありますので、アウトドア趣味をもっていない人でも、狙う価値は“大”だといえます。

そして、おそらく多くの人は「国産のコンパクトSUVで、何かいいやつはないかな?」とか、「割と庶民的な輸入車ブランドの中で、手ごろなやつはないものか?」みたいな探し方をしているかと思います。

もちろん、それはそれで悪くない探し方ですが、ひとつの提案として「いっそメルセデス・ベンツのSUVを探してみる」というのはどうでしょうか?

メルセデスというと「高い」「デカい」「エラそう」みたいなイメージもありますが、中にはやや小ぶりでおしゃれで、それでいて「総額100万円台」で狙えるSUVもあるのです。

それが、1世代前のメルセデス・ベンツ GLAクラスというコンパクトSUVです。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲こちらが先代メルセデス・ベンツ GLAクラス。1コ前の「Aクラス」用の車台をベースに作られた、比較的コンパクトなSUVです
メルセデス・ベンツ GLAクラス▲Aクラス用の車台を使っているとはいえ、ボディサイズは全長4430mm×全幅1805mm×全高1505mmとそれなりに余裕のあるサイズ。そのため、室内や荷室はAクラス以上に広いのが特徴です
メルセデス・ベンツ GLAクラス▲グレードや世代によって細部は微妙に異なりますが、先代メルセデス・ベンツ GLAクラスの運転席まわりはおおむねこのような感じのデザイン

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メルセデス・ベンツ GLAクラス(初代) × 総額200万円未満 × 全国

先代とはいえ古さは感じず、プレミアム性も十分

1世代前のGLAクラスは、同時期のAクラス(ベンツの中では一番小さい車種)の車台を使って作られたコンパクトSUVで、2014年5月にデビューしたモデルです。

そして先ほどから「1世代前」と繰り返していますが、GLAクラスがフルモデルチェンジされたのは2020年6月ですので、割と最近まで「現行モデル」でした。

先代GLAクラスは(ベンツの中では)小さな車ですが、一般的なブランドの車と比べれば、ビジュアルにも存在感にも十分なプレミアム性があります。

さらに「1世代前」と言えど、新型のデザインは初代からのキープコンセプト感が強いため、「先代であってもさほど古く見えない」という現象も起きています。

そんな先代GLAクラスの平均価格がここ半年で約20万円下落し、最近は総額100万円台でも狙えるようになった――というのは悪くない話に聞こえます。

しかし、世の中に「うまい話」はありませんので、何か落とし穴があるのかもしれません。

果たして総額100万円台の先代メルセデス・ベンツ GLAクラスは「買い」なのでしょうか? それとも「やめといた方がいい」なのか?

次章以降、様々な角度から検討してまいります。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲実際のところ、どうなんでしょうか?

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総額100万円台で狙えるのは、前期型の「GLA180」

まずは先代GLAクラスという車自体について、ごく簡単にご説明します。

デビューは前述のとおり2014年5月で、これまた前述したとおり先代Aクラスの車台をベースにしていますが、 ボディの寸法は先代Aクラスより14cm長くて7cm高く、2cmちょっと幅広に作られています。そのため、車内や荷室の広さにはAクラス以上の余裕があります。

デビュー当初に用意されたのは下記の3グレードでした。

●GLA180|1.6Lターボ搭載のベーシックグレード。駆動方式はFF。
●GLA250 4MATIC|2Lターボ搭載の上級グレード。駆動方式は4WDで、「標準モデル」「スポーツ」「オフロード」という3種類の仕様がありました。
●GLA45 AMG 4MATIC|最高出力360psの超強力なエンジンを搭載した特殊なグレード。駆動方式は4WD。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲こちらがGLA45 AMG 4MATIC。素敵な車ではありますが、ちょっと特殊な超ハイパワーマシンですので、今回はまるっと省略します
 

2017年4月にはマイナーチェンジが実施され、フロントマスクのデザインがより「SUVっぽい感じ」となり、テールレンズもちょっとしゃれた感じになりました。

このタイミングで「緊急ブレーキ機能」と「ドライバーの眠気や疲労を検知して注意を促す機能」が全車標準装備となり、GLA220 4MATICという新グレードも追加されましたが、GLA180とGLA250 4MATICのエンジンやトランスミッションは特に変更されていません。

そして、2020年6月に新型(現行型)へとフルモデルチェンジされた――というのが、先代メルセデス・ベンツ GLAクラスの大まかなヒストリーです。

で、その中で総額100万円台の予算で検討できるのは「マイナーチェンジ前のGLA180」が中心です。

次章では、前期型GLA180の中古車がはたして買いなのかどうか、より具体的に検討します。
 

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「しょっちゅう壊れる」というタイプの輸入車ではない

愛車の故障を自虐的に喜ぶディープな輸入車マニアは別として、一般的には「輸入車は壊れるんじゃないか?」というのが、まずは気になるところでしょう。

その観点からいくと、メルセデス・ベンツ GLAクラスの前期型中古車というのはどうなのか?

結論から申し上げますと、「大した心配はいらない」ということになります。

世の中には「ヤバい弱点を抱えている輸入車」や、「なぜか知らないけどしょっちゅう壊れまくる輸入車」というのも希にあり、特にひと昔前までは、そういった輸入車もそこそこの数が存在していました。

しかし、先代のメルセデス・ベンツ GLAクラスは「そういった輸入車」には該当しません。

7速DCTというタイプの変速機がしょっちゅう壊れたり、1.6L直噴ターボエンジンからひんぱんにオイルが吹き出したり、ちょっと走るとすぐに足回りがぶっ壊れたり――みたいな弱点は特にはないのが、先代GLAクラスなのです。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲機械、特に輸入モノですので、日本で使っているうちにどこかが壊れることもあります。しかし「しょっちゅう壊れまくって大変!」みたいなタイプの車ではありません
 

とはいえ、

●なんだかんだ言って同クラスの国産車よりは、マイナートラブル(ちょっとした故障)の頻度は高いかも。
●交換部品の代金は、国産車用部品と比べるとけっこう高い。
●GLAクラスに限った話ではなく、ろくに整備されてこなかった輸入車の中古車は、買ってすぐドツボにハマることも多い。

というのは確実に言えます。そのため、

●走行距離や価格などのわかりやすい指標だけでなく、「整備履歴」「内外装コンディション」などの指標も重視しながら、焦らずじっくり探す。
●購入後の整備予算を、ある程度は用意しておく(ギリギリの予算では買わない)。

という2つの鉄則は守る必要があります。
 

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デザイン的な「古さ」もさほど感じず

お次は「見た目の問題」について考えてみましょう。総額100万円台という手ごろな予算で買えたとしても、「見た目がかなりイマイチ」であるならば、わざわざ買う意味がないからです。

とりあえず、下の写真をご覧ください。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲こちらが先代の前期型
メルセデス・ベンツ GLAクラス▲で、これが先代の後期型
メルセデス・ベンツ GLAクラス▲そしてこちらが現行型
 

……めちゃめちゃ正直に言えば「下に行くほど(世代が新しいほど)カッコいい」とは思いますが、それと同時に「ま、だいたい似たようなモノかな?」とも思えます。

どうしても現行型の新車がいい場合は(車両価格だけで)502万円を用意すればいちおう買えますし、フロントのパンチグリルとアンダーガードがちょっとカッコいい先代の後期型が欲しいなら、総額250万円くらいから探せます。

どんな車にいくらの予算を投じるかは人それぞれの価値観次第ですが、個人的には「総額100万円台の前期型もぜんぜんカッコ悪くないよな」とは思っています。
 

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「現行型は素晴らしい=旧型はダメ」ではない

お次は「性能」について考えてみます。

これも買い物や小旅行などに普通に使う分には、先代の前期型であっても特に大きな不足はありません。

いやもちろん現行型はエンジンも車台も新しくなり、ついでに運転支援システムも進化していますので、「どちらが優れているか?」と聞かれれば、当然ながら「現行型の方が優れている」となります。

でも、だからといって先代が「大幅に劣っている」というわけでもないのです。先代の前期型も普通に快適で、普通に使えます。というか、むしろ「いい感じで使える車である」といえるでしょう。

細かいところにこだわるカーマニアは別として、もしもマニアではないなら、先代の前期型でも(いい感じの中古車を選べば)特別な不満は感じないはず。そして先代の前期型と後期型では、ビジュアルはやや違いますが、エンジンや足回りなどはまったく同じです。

ただ、現実的な話として「総額100万円台の予算だと、主に走行5万km以上の中古車になってしまう」というのはあります。

中古車のコンディションというのは走行距離の多寡だけで測れるものではありませんが、もしも「3万kmぐらいの方が望ましい」と考える場合は、予算を少々プラスして「総額210万円ぐらいから」のゾーンで、比較的低走行な物件を探してみてください。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲そこそこ長い期間乗るつもりなら、車両価格が多少高くても「走行距離短め」の中古車を買った方が、トータルで見ると安上がり――という可能性もあります

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「運転支援システム」付きの中古車を探したい

最後になりますが、先代GLAクラスの中古車を探す際は「レーダーセーフティパッケージ付き」であることにこだわった方がいいでしょう。

レーダーセーフティパッケージ(「レーダーセーフティPKG」や「レーダーSFT」と略されてる場合も多い)というのは、全車速追従型のクルーズコントロールや、車両左右後方の死角を監視する「ブラインドスポットアシスト」などがセットになった運転支援システム。

これがあるとないとでは購入後の満足度がずいぶん変わりますので、特に高速道路を使う機会が多い人は検索時、このオプション装備の有無にご注目ください。
 

メルセデス・ベンツ GLAクラス▲「CPAプラス(緊急ブレーキ機能)」と「パーキングアシストリアビューカメラ」は標準装備でしたが、全車速追従型クルーズコントロールシステムの「ディストロニック・プラス」や車両左右後方の死角を監視する「ブラインドスポットアシスト」などが含まれる「レーダーセーフティパッケージ」はオプション装備でした
 

いずれにしても、総額100万円台または200万円ちょいくらいで狙える先代メルセデス・ベンツ GLAクラスの中古車は――ディープなカーマニアがどう言うかはわかりませんが――ちょっとしゃれたコンパクトSUVを今っぽく、普通に使いたいという人にとっては、なかなか秀逸な選択肢です。

ぜひ、いろいろと具体的にチェックしてみることを、強くオススメいたします。
 

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文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。