日産 ラシーン ▲現在でいうところのクロスオーバーSUVとも言えるラシーン。レトロライクなルックスが人気

日産 ラシーンの中古車は今

1993年の東京モーターショーに参考出品されると瞬く間に話題となった日産 ラシーンは、翌94年12月から販売がスタート。車名のラシーンは、日産公式サイトの名前にもなっていた「羅針盤」からの造語だ。

ベースとなったのは当時のサニー/パルサー系のプラットフォームであり、乗用車をベースにSUV風のテイストを盛り込んだ、今でいうクロスオーバーSUVモデルと言える。

全グレードがフルタイム4WDとなっており、搭載されるエンジンは1.5Lでスタートし、後に1.8Lと2Lが追加された。

現在の中古車流通量は約130台。予算50万円で購入できるものもあるが、総額100万円以上の価格帯ではカスタムされた物件も見つけることができる。

ここからはラシーンの特徴や中古車相場について紹介する。

▼検索条件

日産 ラシーン × 全国

ラシーン(初代)の特徴と中古車相場

■ラシーン(初代) DATA
生産期間:1994年12月~2000年8月
中古車流通量:約130台
中古車価格帯:20万~350万円
全長:3980mm~4210mm × 全幅:1695mm~1720mm × 全高:1450mm~1515mm

日産 ラシーン ▲エントリーグレードの「タイプI」には、グリルガードやルーフレールなどが備わっておらずシンプルな印象

■ラシーン(初代)の特徴
ラシーンの特徴は何といってもそのルックス。クラシカルな角ばったクロスカントリー風のエクステリアはタイムレスな印象で、今見ても古さを感じさせない秀逸なデザインだ。

グレードによってはグリルガードや背面スペアタイヤ、ルーフレールなども備わり、クロスオーバーSUVブームの現代において隠れた人気車となっている。

どちらかというと見た目重視のモデルではあるものの、テールゲートは上下分割式で開口部も広く、日常の使い勝手も犠牲になっていない。

日産 ラシーン ▲テールゲートは下側を閉めたまま上側だけを開けることも可能

ベースとなったのは実用車として知られる日産 サニー/パルサー系であり、信頼性が高いのもポイント。94年デビューと古いモデルではあるが、機関系のパーツの多くが供給されている点も心強いと言えるだろう。

デビュー当初は全グレードで1.5Lエンジンを搭載し、駆動方式はフルタイム4WD。ミッションは5速MTと4速ATを選ぶことができた。

日産 ラシーン ▲内装もサニーやパルサーとは異なりアクティブな印象のものとなっている

グレードは新車時価格の低い順に下記のとおり。

・「タイプI」:ベーシックなグレード
・「タイプII」:「タイプI」をベースに、背面タイヤやルーフレールを備える
・「タイプIII」:グリルガードや大型サンルーフもプラスした上級グレード

1997年1月にはマイナーチェンジが実施され、デュアルエアバッグとABSといった安全装備が全車標準装備となった。また、1.5Lモデルに加えて1.8Lエンジンを搭載した「ft」系を追加設定。

1.8Lモデルにはセンターデフ+ビスカスカップリング方式の4WDシステムである「ATTESA(アテーサ)」が搭載され、4速ATのみの組み合わせとなっていた。

グレード体系は「タイプIII」が廃止され、新たに「タイプS」が追加された。これは、「タイプII」にキーレスエントリーやアルミホイール、本革巻きステアリングなどがプラスされたものだ。

排気量別に、下記のようなグレード体系となっている。

・1.5Lモデル:「タイプI」、「タイプII」、「タイプS」
・1.8Lモデル(ft系):「タイプII」、「タイプS」

日産 ラシーン ▲98年に追加された「フォルザ」は丸目4灯ライトやオーバーフェンダーなどでスポーティな印象に

1998年4月には、前年のモーターショーでプロトタイプがお披露目となった「フォルザ」が登場。丸目4灯ヘッドライトが特徴的なこのモデルは、ラシーンのスポーティ版といったポジションで、専用オーバーフェンダーで3ナンバー化され、リアゲートも傾斜したものに置き換えられた。

そして、搭載されるエンジンは当時のシルビアやブルーバードなどにも搭載されていた2Lエンジンで、ATTESAとの組み合わせ。ミッションはこちらも4速ATのみとなっていた。

当時からコアなファンが存在していたラシーンではあるが、昨今のクロスオーバーSUVブームやキャンプ漫画に登場したことによって再び注目を集めるモデルとなっている。

日産 ラシーン ▲ガラスルーフの付く物件は流通台数が少なく希少

■ラシーン(初代)の中古相場
新車としては7万台以上が販売されたといわれているラシーンだが、最終型でも20年以上が経過したモデルということもあり、流通台数は130台ほどと多くない。

最安値帯は総額50万円以下のゾーンだが、ほとんどの物件が走行距離10万km以上で、中には15万kmを超えているものもある。

裏を返せばそのくらい丈夫であるということの証明ともいえるが、このくらいの年式となると単純な走行距離よりも、どのくらいメンテナンスをされてきたか、そしてどのくらいメンテナンスをして納車されるのかでその後の故障発生率は大きく変わってくる。そのため走行距離は、あくまでひとつの目安として考える方が良いだろう。

とはいえ低走行の物件もあり、それらは総額100万円前後の価格となっている。カスタマイズされたものも多いが、フルノーマルに近い低走行車は高値安定といったところだ。

また、グレードによっても装備差があるラシーンではあるが、こちらもカスタマイズによってその差はほとんどないに等しい。そのため、特定のグレードをピンポイントで探すよりは、排気量とミッションだけを決めて、あとは予算内で購入できるものを探すという方法が得策だろう。

幸いにも「ラシーン専門店」の看板を掲げる店舗も複数存在しているので、そういったところに希望を伝えて探してもらうという方法もアリだ。
 

▼検索条件

日産 ラシーン × 全国

※記事内の情報は2021年7月25日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/日産自動車、三浦孝明
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。