スターロックカンパニー▲今回の主役となるのがルノーの主力モデルであるカングー。愛らしいルックス、実にルノーらしい走り、そして様々な使い方に対応する広い車内と、世界中から支持される人気シリーズである。写真の2代目カングーは数年前までは「デカングー」などと呼ばれたりして、どちらかというと不遇だったのだが……
 

自動車、中古車の世界で疑問に感じることを、自動車評論家の小沢コージが検証するこのコーナー。今回のテーマは昔から言われている「新型が不人気だと先代モデルの価値が上がる」という定説について。果たしてそれは本当なのか、そして今でもそうなのか。3代目となる新型が欧州から順次世界で販売が開始されるカングーを題材に、探ってみたい。
 

気づいたら大変なことになっていたカングーの相場

「どうやらルノーディーラーはヒマらしいですよ。カングーの代わりにメガーヌが売れるわけでもないようで(苦笑)」(某インポーター)

実は、今ルノー カングー(2代目)の中古車相場がビミョーに高騰中だ。カーセンサーEDGE.netを見ても、2年落ちのカングー ゼンの2019年モデルが走行距離1.4万kmで車両本体価格269.9万円。いくら禁煙車とはいえ、新車時価格が250万~282万円だったんだからほぼ値落ちなし。そういえば、小沢が先日専門店で借りた2017年式の2.8万kmモノも258万円。4年落ちなのに値落ちはほとんどなかった。

カングー販売&在庫日本一の専門店、スターロックカンパニーの小川店長は言う。

「単純な話ですよ。新車ディーラーで、もうカングーは売ってませんから。在庫がなくなっちゃったのでカングーが欲しい人は中古車屋に行くしかないんです。当たり前ですが」

2代目カングーの最終版となる400台限定のカングー リミテッド ディーゼルMTが発売されたのは、7月1日。あれから1ヵ月で日本割り当て分はほぼさばけたというから、新車のカングーがネタ切れしてから約2ヵ月以上が経つ。カングーは一部マニアに熱狂的に支持され続け、常にルノージャポンの販売の3~5割を占め続けたという。それは「カングー1本打法」ともやゆされたが、期せずして本当だったことが証明されたのかもしれない。

小川店長によればカングー1、つまり10年以上も前の2007年を最後に消えた初代モデルも微妙に値段が上がっているとか。

とはいえ、値上がりの最大の要因は次期カングー、つまり新型となる3代目モデルの姿カタチにある。昨年11月に本国フランスで写真もろとも発表済みだが、ズバリ「全然可愛くない」。相変わらずのスライドドアボディで頭上はますます高くなった印象もあるが、そういう問題じゃない。全体が角張ったハコ型デザインでまったく味気ないのだ。言っちゃ悪いがどっかのさえない国産ミニバンのようだ。
 

スターロックカンパニー▲本国ではデリバリーがスタートし、日本でも販売が待たれる3代目となるカングー3。今までの「カワイイ」デザインから、一気にスタイリッシュに変更し、サイズも全長4486mm×全幅1919mm×全高1838mm(欧州仕様)と、2代目からさらに拡大。果たして日本や世界のマーケットからはどんな評価を受けるのか……
スターロックカンパニー▲1997年から2007年まで販売された初代カングー。全長4032mm×全幅1675mm×全高1810mmと、実に使いやすいサイズから世界中でヒット。中古車マーケットでも人気が高くMTモデルの設定もあったため、車好きが「替えの利かない働く車」として、またオシャレでカワイイ商用車として人気を集めた

2代目も登場時は批判が多かったので3代目もひょっとすると……

「そもそもカングーは社用車としても人気あったんですよ。プロボックスやサクシードじゃ味気ないし、それでいて荷物積めるし、インパクトがある。営業のときもカングーだと車で名前を覚えてもらえるし、イヤミがなくていいと評判だったんです」(小川さん)

カングー2の時代から、便利さや先進安全面では国産車の方が上で、被害軽減ブレーキどころかクルーズコントロールも定速タイプしか付いてなかった。だが、あの愛されデザインと癒し系の走りの威力は絶大だった。特にデザインの重要度は大きく、可愛くなくなったらカングーじゃない! という人も多いのだろう。

また、カングー3には問題がもうひとつあって、それは1.9mを超える全幅。カングー2のときも1.8m超えの全幅に不満タラタラだったが、カングー3ではさらにほぼ10cmデカくなるってんだからそりゃ厳しいわ。

ただし、関係者によれば「フランスの横幅データは折り畳んだミラーも含んでの数字。日本式のミラーを除いての横幅なら1.9mは超えませんよ」とのこと。

実際には1.85~1.86m程度ともいわれているが、デカくなったことには変わりはない。なにより、あの箱型ボディはかなり可愛くないので、旧型に振り返りたくなるキモチもわかる。

ちなみに、今カングー中古車業界には「転売禁止令」が出ていて、転売目的でラストディーゼルを買ったやからもいるみたいだが、ルノージャポンと付き合いが深いところは転売できないし、最大手のスターロックさんも在庫をむやみに高く売ることはしない。ただし、仕入がどんどん高くなっているので厳しくはなってきているらしい。

しかし、小川店長はこうも言う。

「とはいえ、実際に3代目が出るまではわかりませんよ。2代目も最初はデカくなって売れないっていわれてましたがしっかり売れてましたし、3代目も実物を見てからじゃないと」

確かにハコボディは味気ないが、アンバランスなまでの頭のデカさはちと異様な感じもある。このあたりで実物が新たなカングーらしき“キテレツ感”が醸し出せていればいいのだが……期待して待つことにするか!
 

スターロックカンパニー▲2代目の発売当時は「大きすぎる」と批判の声もあがったカングー2。そのボディサイズは全長4215mm×全幅1830mm×全高1830mmと、今考えれば決して大きくはない。しかし、しばらくはジャストサイズのカングー1を求める人の方が多く、不人気モデルという扱いを受けていた。ただ、ここ数年で立場は入れ替わり、カングーを愛する人たちからの支持を集めている
スターロックカンパニー▲東京都町田市にあるカングー専門店のスターロックカンパニーの店長、小川さん。様々な仕様のカングーを扱うだけでなく、カングーを楽しむためのオリジナルカスタムパーツ「Fungoo」を展開し、カングー1、2用の様々なパーツの開発、販売も行っている。まさにカングーマイスター
スターロックカンパニー▲所狭しと並べられたスターロックカンパニーのカングー。ほんの少し前まではカングー1の後期モデルが主流だったのだが今やカングー2の人気がうなぎ上り。ファミリーカーとして使えて、カスタムする楽しさもある。できればカングー3もカングー2同様、最初は不人気だったけど……というパターンになってほしいものだ

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文/小沢コージ 写真/スターロックカンパニー、ルノー、小沢コージ