FCR▲かつては「富士ホリデーレース」「富士フレッシュマンレース」という名で開催されていたこともある「富士チャンピオンレース」。F1も開催されたことがある国際格式のサーキットである富士スピードウェイを舞台に、様々なカテゴリーのレースが開催されている

旧型車でも参加できるグラスルーツレース

「富士チャンピオンレース」は、富士スピードウェイが開業した1966年に開催された、新人育成を目的とした「富士ホリデーレース」に端を発するものだ。

翌年には「富士チャンピオンレース」と名称を変更して、シリーズ戦として行われるようになる。さらに、1970年に「富士フレッシュマンレース」に改称。のちに土屋圭市氏、飯田章氏、織戸学氏、近藤真彦氏など有名ドライバーを輩出したレースの登竜門として知られるようになった。

1998年に再び名称が「富士チャンピオンレース」となり、今に続く。若手だけでなく、年配の方でも気軽に参加できるアマチュアドライバーのためのグラスルーツ(「草の根」の意味)レースとなっている。

同レースにおける最大のポイントは、旧型モデルでも参加できること。例えば、GR86/BRZカップやヤリス カップ、さらにポルシェ カレラカップといったワンメイクレースでは、最新型のマシンを使ってレースが行われる。しかし、それでは参戦するのにコストがかかるし、スキルも経験もないままでは相当にハードルが高い。

富士チャンピオンレースは、型落ちになったJAF登録車両の中古車(JAF登録車両規定に基づきJAFに登録された車両)で気軽にレースを楽しみ、腕を磨ける。参戦するには他のモータースポーツと同様にライセンスは必要となるが、モータースポーツ入門者に最適といえる。モデルごとに様々なレースが設定されており、自分の趣味に合う車で気軽にレースを始められる。

以下にいくつかのカテゴリーを紹介してみよう。
 

旧型から現行型まで参加できるロードスターカップ

富士チャンピオンレースの1カテゴリーで、旧型から現行型のマツダ ロードスターが混走するワンメイクレース。

NA、NB型は1600ccと1800ccのクラスに分けて、NC、ND型は排気量別に加え、ノーマルに近いチャレンジクラスと、改造範囲が広いオープンクラスが設定されている。車両は一般公道走行が可能なナンバー付きのみとなっている。
 

FCR▲アマチュアが参加しやすいレースがロードスターカップ。中でもNC、ND型ロードスターのチャレンジクラスは改造範囲が狭いため、車両はノーマルに近い状態で普段街乗りの車両でそのまま参戦できる。そこからステップアップして改造範囲の広いオープンクラスが用意されているのも魅力

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マツダ ロードスター × 全国

レース入門にはぴったりなFCR-Vitz

2020年に終了した、TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Raceシリーズの車両で行うワンメイクレースが「FCR(富士チャンピオンレース)-Vitz」。

参加資格車両は、トヨタ ヴィッツ「RS-Racing」と「Vitz GR SPORT “Racing” Package」。実はこれらの車はカーセンサー.netで検索可能で、中古車価格は100万~150万円くらいで流通している。レース入門にはぴったりだ。
 

FCR▲参戦するためには、ヴィッツレース用に販売された車両が必要だが、現在は中古車で購入可能。流通量は少ないが、興味のある方はぜひ検索してみよう

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トヨタ ヴィッツ「RS-Racing」 × 全国

富士チャンピオンレースの人気カテゴリーがFCR-86/BRZ

2021年シーズンまでTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceで使用されていた、旧型のトヨタ 86とスバル BRZで競われるJAF公認のナンバー付き車両によるワンメイクレース。

参加資格車両は、トヨタ 86「86 Racing」と、スバル BRZ「RA Racing」。こちらもカーセンサー.netで検索可能で、150万~250万円くらいで見つかる。
 

FCR▲今年から新設したカテゴリーが「FCR-86/BRZ」。FCR-Vitzと同様に、昨年まで開催されていたTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceに参戦していた旧型の86とBRZを使ったレースだ

▼検索条件

トヨタ 86「86 Racing」、スバル BRZ「RA Racing」× 全国

N1500 / N1400 / N1000 / デミオレース / Audi A1 Fun Cup

「N1500」は1500ccのトヨタ ヴィッツ(2代目)とマツダ デミオのN1規定車両によるレース。「N1400」は、1000~1400ccのNAレシプロエンジン搭載車両。その主な参加車両はスターレット(車両型式:E-EP82)だ。「N1000」は、660~1000ccのNAレシプロエンジン搭載車両。主な参加車両はトヨタ ヴィッツ(初代)となる。

「デミオレース」は、一般公道走行が可能なマツダ デミオによるレース。「Audi A1 Fun Cup」は、Audi A1をベースにN1規定に準じて製作された車両によるレース。ちょっと古めの懐かしい車両でも参加できるカテゴリーだ。
 

FCR▲ヴィッツやデミオなど、様々な旧型コンパクトカーが多く揃ったカテゴリーで混走となる。車両価格も手頃で、改造範囲が狭く、ほぼ市販車と変わらない状態を維持しなければならないため、富士チャンピオンレースの中でも参加しやすいカテゴリーといえる

富士チャンピオンレースと併催されるワンメイクレース

FCR▲GT3-Ⅰは2017~2019年式のGT3カップカー、GT3-Ⅱは2014~2016年式のGT3カップカー、GT4は2019年式のタイプ718 ケイマン GT4クラブスポーツでの参戦となる。スポットエントリー制を導入しているため、シリーズスケジュールの中で都合の良い日程やサーキットを選んで参戦可能。富士スピードウェイ以外ではスポーツランドSUGOや鈴鹿サーキットでも開催
FCR▲LOTUS CUP JAPANは車種・性能別に3つのクラスに区分けされている。富士スピードウェイの他に、鈴鹿サーキット、スポーツランドSUGO、ツインリンクもてぎで開催

厳密には富士チャンピオンレースとは異なるが、シリーズ戦のうち一つ以上が富士チャンピオンレースと同日に開催されるワンメイクレースが存在する。それらもモータースポーツのグラスルーツレースとして、人気を集めているカテゴリーだ。その代表的なレースを紹介しよう。

まずは、ポルシェのモータースポーツ部門が2019年からスタートした新しいレースシリーズが「ポルシェ スプリント チャレンジ ジャパン」。過去にポルシェ カレラカップに参戦したポルシェ 911のカップカーで参戦可能。カレラカップへのステップアップカテゴリーとして多くのジェントルマンドライバーが挑戦している。

さらに、ロータスエキシージやエリーゼといったナンバー付きの市販車によるシリーズの「LOTUS CUP JAPAN」。基本的に車両の改造は認められず、市販車にロールケージや5点式シートベルトなどの安全装備、牽引フックを取り付ければ参戦可能。ロータスのような軽量スポーツカーの本領を発揮するにはうってつけのカテゴリー。
 

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ロータス エリーゼ、エキシージ× 全国

この他、英国で40台以上が参戦する人気シリーズ「MINI CHALLENGE」の日本版となるシリーズ「MINI CHALLENGE JAPAN」やサーキット専用車両の「BMW M2 CS Racing」によるエントリーが可能な、日本で唯一となるBMWのオフィシャルレース「M2 CS Racing Series」が、今シーズンから始まっている。
 

多種多様なカテゴリーが用意されている

これら以外にも富士チャンピオンレースには日産 シルビア(S13~S15型)や、トヨタ アルテッツァ、トヨタのミッドシップカーMR2(SW20型)、AE86型やAE111型のトヨタ レビン/トレノなど、懐かしの名車で参加できるレースなど、実にたくさんのカテゴリーが用意されている。

世界でも有数の長さを誇る1475mの富士スピードウェイのストレートを全開で駆け抜ける気持ちよさは、一度味わうと病みつきになること間違いなし。レースは見るのもいいけれど、自分で走ればもっと楽しいものになるはずだ。
 

FCR▲日産 シルビア(S13~S15型)とアルテッツァが参戦する「シルビア・アルテッツァ」の他に、トヨタ MR2(SW20型)、トヨタ レビン/トレノ(AE86型とAE111型)などの懐かしの人気スポーツカーが登場するカテゴリーも用意される
文/藤野太一、写真/富士スピードウェイ