アウディA7 スポーツバック▲ハイパワーは路面に伝えてこそ威力を発揮する。その点、四輪で路面を駆るアウディのクワトロセダンは、トリプルスリーを味わいやすいハズだ。写真はA7 スポーツバック

いずれも名車アウディクワトロ譲りの4WDシステムを搭載

プロ野球のトリプルスリーになぞらえ、「最高出力300ps以上・最大トルク300N・m以上・中古車価格300万円以下」を紹介するこの企画。

今回は四輪でしっかりと路面をとらえる「クワトロ」を搭載したモデルの中からセダンに絞り、トリプルスリーを達成したモデルを紹介しよう。

名車アウディ クワトロから誕生した独自の4WDシステム「クワトロ」。世界ラリー選手権に勝つための4WDとして開発され、実際アウディクワトロは連戦連勝を飾った。

後のスバル インプレッサWRXや三菱 ランサーエボリューションの誕生を促したと言っても過言ではない。

そんな本格的な4WDシステムを搭載している輸入セダンというのは、実は意外と少なく、その点ではアウディは希少なメーカーと言える。


すでに紹介しているメルセデス・ベンツ編やBMW編同様、アウディもハイパワーなエンジンを複数の車両に搭載することが多く、S(スポーツ)モデルやRS(レーシングスポーツ)モデルといったハイチューンモデルが多い。

そのためトリプルスリー達成車もたくさんある。

そこで今回はさらに、中古車としておいしい時期を迎える2010年式以降の物件が選べ、かつ総額300万円以下で中古車が5台以上見つかったモデルに絞って紹介したい。

ラグジュアリーサルーンも四輪で地面を蹴る
アウディ A8(2010年12月~2018年9月生産モデル)

アウディ A8▲路面状況に合わせて、最適な車高と減衰力を調整するアダプティブエアサスペンションや、走行シーンに合わせてエンジンやサスペンション、パワーステアリングのアシスト量を最適化するアウディドライブセレクトを標準装備
アウディ A8▲HDDナビを搭載したアウディ独自のMMI(マルチメディアインターフェイス)や、BOSEサウンドシステムを標準装備。ホイールベースを130mm延長したロングモデルが、4L V8ターボモデルとW12モデルに用意されていた

アウディのフラッグシップA8の旧型は、2010年に登場。メルセデス・ベンツのSクラスやBMW 7シリーズのライバルとなるラグジュアリーサルーンであるA8だが、「クワトロ」を載せた4WD車という点がライバルたちとの大きな違いだ。

デビュー時のラインナップは4.2L V8を搭載する4.2 TFSIと、3L V6+スーパーチャージャーを搭載する3.0 TFSI。4.2L V8は最高出力372ps/最大トルク445N・mを発揮したが、3L V6+スーパーチャージャーはデビュー時点では290ps/420N・m。

しかし、3.0TFSIは2012年9月のマイナーチェンジで310ps/440N・mに向上した。この時、同時にV8は排気量が4.2Lから4Lとダウンしたが、ツインターボ化されたことで逆に420ps/600N・mへと高められ、さらに2014年3月のマイナーチェンジでは435ps/600N・mまで向上した。

また2011年には、500ps/625N・mを発揮する6.3LのW型12気筒を搭載した、ロングホイールモデルのA8 L W12が追加された。いずれもA8の伝統ともいえる軽量高剛性なオールアルミボディが採用され、トランスミッションはデュアルクラッチの8速ATが組み合わされた。

なお2013年に追加された2L 直4ターボ+モーターのハイブリッドは300ps以下でFF車となる。

整理するとトリプルスリー達成モデルは下記のとおり(カッコ内はデビュー時の車両本体価格)。
・3.0 TFSIクワトロ(962万円) ※2012年9月以降
・4.2 TFSIクワトロ(1160万円)
・4.0 TFSIクワトロ(1200万円)
・W12クワトロ(2061万円)
※上記モデル名を頭につけたロングホールベースモデルなども含む


原稿執筆時点(2020年4月15日)では、上記のモデルが合わせて23台見つかった。4.2 TFSIクワトロが最も台数が多く、総額200万円以下の物件もチラホラと見つかる。次いで3.0 TFSIクワトロと4.2 TFSIクワトロが多い。

残念ながらW12クワトロは見つからなかったが、今や希少なW型12気筒ゆえ、欲しい人は気長に待ってみてはどうだろう。

▼検索条件

アウディ A8(2010年12月~2018年9月生産モデル)×クワトロ(4WD)×総額300万円以内×全国

美しく、速く、かつ実用的なプレミアム4ドアクーペ
アウディ A7スポーツバック(2011年5月~2018年8月生産モデル)

アウディ A7スポーツバック▲全長4990mm×全幅1910mmと大柄だが、全高は1430mmと低く、ワイド&ローなフォルム。大開口のハッチバックを備え、ゴルフバッグなどの積み降ろしがしやすい。2015年7月のマイナーチェンジでオートハイビーム機能付きのマトリクスハイビームが標準装備された
アウディ A7スポーツバック▲夜間のインテリアを光で演出するLEDアンビエントライトが備わる。デビュー時の後席は左右セパレート式で乗車定員は4名だったが、2015年のマイナーチェンジで中央席が用意され、乗車定員は5名に

2011年に登場したA7スポーツバックは、セダンのA6をベースとした4ドアクーペだ。ライバルはプレミアムブランドの4ドアクーペカテゴリーで先陣を切ったメルセデス・ベンツ CLS。

A7スポーツバックは流麗なボディに300ps/440N・mの3L V6+スーパーチャージャーを搭載し、デュアルクラッチの7速ATが組み合わされた。

3L V6+スーパーチャージャーは2013年7月に最高出力が310psに、2015年4月のマイナーチェンジでは333psまで向上した。

ちなみにこのマイナーチェンジの際に、2L 直4ターボ(252ps/370N・m)もラインナップに加えられたが、300ps/300N・m以上に該当するのは、デビュー時から最後まで3L V6+スーパーチャージャーの3.0 TFSIのみとなる。もちろん、アウディ独自の4WDシステム「クワトロ」を搭載している。

エレガントなクーペというキャラクターも備え、高品質なミラノレザーシートや電動格納式8インチ大型モニターを備える最新世代のMMI(マルチメディアインターフェイス)、プレミアムサウンドシステムを標準装備するなど装備が充実している。

3.0 TFSIのデビュー時の車両本体価格は879万円。

原稿執筆時点で55台見つかった。支払総額200万円以下から見つけることができ、走行距離5万km未満でも200万円ちょっとから狙える。

▼検索条件

アウディ A7スポーツバック(2011年5月~2018年8月生産モデル)×3.0 TFSI系×総額300万円以内×全国

美しいセダンと猛々しいセダン。どちらを選ぶ?
アウディ A6(2011年8月~2019年2月生産モデル)/S6(2012年8月~2019年2月生産モデル)

アウディ A6▲全長4930mm×全幅1875mm×全高1465mmとA7スポーツバックとほぼ同サイズだが、全高が高い分、特に後席頭上に余裕がある。乗車定員は5名だ。2015年7月のマイナーチェンジでオートハイビーム機能付きのマトリクスハイビームをS6に標準装備、A6にはオプション設定した
アウディ A6▲走行シーンに合わせてエンジンやサスペンション、パワーステアリングのアシスト量を最適化するアウディドライブセレクトを標準装備。BOSEサラウンドサウンドシステムも標準で備える

メルセデス・ベンツのEクラスやBMW 5シリーズがライバルとなるA6。

A7スポーツバックよりフォーマルだが、流れるようなボディラインを備えたセダンだ。

2011年8月に登場した旧型には、2.8L V6エンジンと3L V6+スーパーチャージャー搭載モデルが用意された。

同社の基幹車種だけに、その後も2L 直4ターボ+モーターのハイブリッドや2L 直4ターボ、1.8L 直4ターボ搭載車などラインナップが充実していくが、このうちトリプルスリーに該当するのは3L V6+スーパーチャージャーを搭載した3.0 TFSIのみとなる。

3.0 TFSIの3L V6+スーパーチャージャーはデビュー時300ps/440N・mだったが、翌年の2012年8月に310ps/440N・mに、2015年7月には333ps/440N・mまで向上している。

いずれも4WDシステム「クワトロ」を搭載し、デュアルクラッチの7速ATが組み合わされた。

A6の高性能モデルであるS6も、2012年8月にデビュー。

こちらは420ps/550N・mを発揮する4L ツインターボを搭載、2015年7月には450ps/550N・mまで向上している。

もちろんクワトロを搭載し、リアスポーツディファレンシャル(左右の後輪の駆動力配分を最適化)を標準装備。デュアルクラッチの7速ATが組み合わされた。

トリプルスリー該当車のデビュー時の車両本体価格は、A6 3.0 TFSIが835万円、S6が1180万円。

原稿執筆時点でA6は10台、S6は3台見つかった。A6は走行距離5万km未満が200万円前後から狙える。S6の300万円以下は420ps/550N・mの前期モデルだ。

▼検索条件

アウディ A6(2011年8月~2019年2月生産モデル)/S6(2012年8月~2019年2月生産モデル)×300ps/300N・m以上グレード×全国

4ドアクーペの高性能モデルもトリプルスリーに
アウディ S5スポーツバック(2012年1月~2017年3月生産モデル)

アウディ S5スポーツバック▲進行方向を照らすアダプティブヘッドライトや、ダンピングコントロール付きサスペンションが標準装備となる。標準のタイヤサイズは255/35R19と大径タイヤを履く
アウディ S5スポーツバック▲エンジンレスポンスやトランスミッションのプログラムなどを統合制御するアウディドライブセレクトを標準装備(ちなみにA5はオプション)。シートは本革の専用スポーツタイプとなる

4ドアクーペのA5スポーツバックをはじめ、A5シリーズがフェイスリフトした2012年1月、新たに日本へ導入されたのが高性能版であるS5スポーツバック。RSほど過激ではないものの、日常にほどよい刺激を与えてくれる。

当時の2ドアのS5クーペ、オープンカーのS5カブリオレと同じく、3L V6+スーパーチャージャーを搭載。最高出力333ps/最大トルク440N・mを発揮する。

トランスミッションは、デュアルクラッチの7速AT。もちろん、クワトロシステムによる4WDを搭載する。

通常前40:後60の駆動配分はA5をはじめ、今回紹介している他のクワトロモデルと変わりないが、高性能モデルのS5にはリアスポーツディファレンシャル(左右の後輪の駆動力配分を最適化)が標準で備わるなど、四輪で路面を駆ける高い性能が与えられている。

同時期のクーペであるA5にはS5の上に、450ps/430N・mの4.2L V8エンジンを搭載するRS5もラインナップしていたが、A5スポーツバックは最後までS5スポーツバックがトップモデルとして君臨、つまりこの世代のA5スポーツバックの最高峰がこの車というわけだ。

デビュー時の車両本体価格は872万円。

S5スポーツバックの中古車台数は少な目だが、原稿執筆時点で13台のうち半数以上の7台がトリプルスリーに該当。走行距離5万km未満でも200万円ちょっとから狙える。

▼検索条件

アウディ S5スポーツバック(2012年1月~2017年3月生産モデル)×総額300万円以下×全国

買い物からサーキットまで楽しめる伝統のSモデル
アウディ S4(2009年5月~2016年9月生産モデル)

アウディ S4▲0-100km/hは5.3秒。標準タイヤサイズは245/40R18。Sモデル専用バンパーや2本マフラーを備える。ダンピングコントロール付きサスペンションやアウディドライブセレクト、本革の専用スポーツシートも標準装備
アウディ S4▲バング&オルフセンのサウンドシステムを標準装備。2009年12月より、A4とA5全モデルがHDDナビを搭載したアウディ独自のMMI(マルチメディアインターフェイス)も標準となる

アウディの高性能モデルにS(スポーツ)が冠された初の量産車は、伝説の名車「S2クーペ」。

次いで登場したのが1991年に登場した初代S4。つまり、現在のSモデルの中で最も歴史が長いのがS4というわけだ。

2009年に日本へ導入された5代目となるS4に搭載されたのは、最高出力333ps/最大トルク440N・mの3L V6スーパーチャージャー。先述のS5スポーツバックと同じエンジンを先に搭載していた。

デュアルクラッチ式の7速ATや、通常前40:後60の駆動配分でリアスポーツディファレンシャル(左右の後輪の駆動力配分を最適化)を標準装備するクワトロシステムも、S5スポーツバックと同じ。

S4でアウディ車として初めて採用されたリアスポーツディファレンシャルは、車の旋回性能を高めるとともに、車両の安定性にも大きく貢献している。

2012年にA4シリーズ全体でマイナーチェンジが行われたが、エクステリアデザインの変更が主で、エンジンをはじめ走行性能に大きく変わりはない。

平日は近所への買い物の足として十分使えるのに、たまにサーキットでひと汗、なんて楽しみ方もできる高性能セダンだ。

ちなみにSモデルの上となるRSモデルは、ワゴンであるアバントにしか設定されていない。

デビュー時の車両本体価格は785万円。

原稿執筆時点でS4の中古車台数自体が8台と少ないが、うち7台が総額300万円以下。約200万円でも走行距離5万km前後のものが狙える。

▼検索条件

アウディ S4(2009年5月~2016年9月生産モデル)×総額300万円以下×全国
文/ぴえいる、写真/アウディ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。