日産 キューブ ▲広々とした室内空間と、四角いフォルムで人気を博したキューブ
 

日産 キューブの中古車は今

日産 キューブはマーチをベースに、その名のとおりキューブ(立方体)フォルムをまとい、広い室内空間が特徴のコンパクトカーだ。ほぼ同時期にトヨタ ファンカーゴ(初代)やマツダ デミオ(初代)がデビューし、ハイト系コンパクトカーが一躍人気となった。1998年2月から2020年3月まで、3世代にわたり販売されていた、日産の人気モデルだ。

初代はわずか約5台の流通量となっており、この型のキューブが欲しいという人は、選択肢が限られる。

2代目は総額20万円程度から探すことができ、予算重視でコンパクトカーを探したいという人には最適のモデルと言える。

そして3代目は、走行距離10万km未満の物件が総額30万~160万円の価格帯に1500台程度流通しており、選択肢が豊富だ。

ここからは各世代にわけて、オススメの選び方や特徴、中古車相場について紹介する。
 

 

キューブ(初代)の特徴と中古車相場

■キューブ(初代)DATA
生産期間:1998年2月~2002年9月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:10万~30万円
 

日産キューブ(初代) ▲全高はマーチより200mmも高い1625mmあり、室内空間は広々としている

■キューブ(初代)の特徴
初代キューブは、クールなフロントマスクで人気を博した。搭載されたエンジンは、当時の2代目マーチと同じ1.3Lエンジン。これに6速CVTまたは4速ATが組み合わされている。

デビュー翌年の1999年には早くもマイナーチェンジが行われ、CVTが改良型CVTに切り替わり、上級グレードの「X」「S」には6速変速機能も備えられた。また、エンジンの排気量が拡大され、それに応じて最高出力や最大トルクもアップ。さらに、4WDモデルが追加されている。

2001年5月には一部グレードに、同じ排気量ながら使用ガソリンをハイオクとし、最高出力&最大トルクを高めた「α」が追加された。

デビュー時のグレードは価格の高い順に「X」>「S」>「F」。この他に、アメリカンテイストのエアロパーツをまとう「ライダー」というグレードもある。特別仕様車が数多く、本革シートを備えた「プレミアム」や、丸目・縦長グリルという個性的なフロントマスクを備える「スクエア」などがあった。
 

■キューブ(初代)の中古車相場
流通台数はわずか5台程度。最も高いものでも、総額約40万円で見つけることができる。ただし、走行距離は1万km未満から10万km超とバラバラ。

約20年以上前のモデルということもあり、気になる物件があれば、現車のコンディションを確認して購入するのがいいだろう。
 

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キューブ(2代目)の中古車相場

■キューブ(2代目)DATA
生産期間:2002年10月~2008年10月
中古車流通量:約200台
中古車価格帯:10万~90万円
 

日産キューブ ▲箱形のフォルムの中に丸みを取り入れ、優しい雰囲気になった

■キューブ(2代目)の特徴
全長は先代より少し短くなったものの、室内長は拡大されて快適性がアップした2代目。

インテリアは自分の部屋でくつろぐような感覚が追求され、リラックスをテーマに3種類のインテリアカラーが用意された。
 

日産キューブ ▲外観同様に直線と丸みを組み合わせ、柔らかい印象を持たせたインテリア

1.4Lエンジンが搭載され、6速CVTまたは4速ATが組み合わされた。また、リアのモーターが後輪を駆動させる「e-4WD」システムを採用した4WDモデルも用意されている。2005年5月には1.5Lエンジンを搭載したモデルも登場し、選択肢が広がった。1.4Lが16.4km/Lに対し、1.5Lは18.0km/Lと、実は1.5Lの方が燃費は良い(いずれも10・15モード)。

初代同様、アメリカンテイストのグリルなどを備えた「ライダー」の他、数多くの特別仕様車が販売された。中でも、インテリアメーカーの「コンラン&パートナーズ社」とコラボレーションした「プラスコンラン」は専用の本革シートや専用色が内外装にあしらわれ、インテリアを重視した同車の特徴を強調したモデルとなっている。
 

日産キューブキュービック ▲3列シートながら、全長は3900mmと4mを切る、派生モデルのキューブキュービック

その他に2003年9月には、キューブをベースとしたミニバン「キューブキュービック」も発売された。ベースのキューブよりも、全長が170mm伸ばされ、3列シートを備えた7人乗りのコンパクトミニバンだ。キューブ同様エンジンは1.4Lか1.5Lで、2WDと4WDがあった。

2列目シートは左右独立スライド/リクライニング/ウォークイン機構が備わり、チャイルドシートを1脚装着したままでも、3列目シートの乗降が可能という使い勝手の良さが魅力だ。
 

日産キューブ ▲3列目に2座が設けられているキューブキュービック

■キューブ(2代目)の中古車相場
生産終了から12年以上が経過している2代目だが、走行距離10万km未満の物件が約7割を占める。排気量別の内訳は、1.4Lの2WDモデルが多いが、1.5Lの2WDの流通量も4割近い。どちらも自動車税は同じなことから、まずは燃費の良い1.5L車から探してみるのがいいだろう。

カスタムされた中古車は100万円を超えるが、それ以外は排気量に関係なく、ほぼ総額60万円以内で狙うことができる。

アメリカンテイストで迫力あるデザインが特徴の「ライダー」は20台に満たない。この外観にこだわりたいという人は、条件が合うものが見つかれば早めのアクションが吉だろう。
 

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一方、3列シートを備えるミニバンのキューブキュービックは、約70台が見つかり、1.4L車と1.5L車がほぼ半分ずつという状況。こちらも、1.4L車と1.5L車で価格はあまり差がないので、1.5L車を積極的に狙うといい。

価格帯はキューブと同じく、ほとんどが総額60万円以内で狙える。
 

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キューブ(3代目)と中古車相場

■キューブ(3代目)DATA
生産期間:2008年11月~2020年3月
中古車流通量:約1700台
中古車価格帯:10万~150万円
 

日産 キューブ ▲後席のスライド量は2代目よりもさらに増えて220mmに。荷物の量に応じて、よりラゲージをアレンジできるようになった

■キューブ(3代目)の特徴
2代目の「シカク」いフォルムやくつろげる室内という世界観を継承し、「走る自分スタイル空間」をコンセプトに開発された3代目。シートは2代目以上にソファ感覚が強められ、障子のようなシェードを備える大きなガラスルーフが用意された。

エンジンは1.5Lエンジンのみで、トランスミッションもCVTのみ。「e-4WD車」や、アメリカンテイストの「ライダー」も、2代目に引き続き用意された。
 

日産キューブ ▲曲線を生かしたインテリア。オーディオやカーナビにはUSBポートが備わり、スマホの音楽を簡単に楽しめる他、オーディオにもバックモニター機能が備えられた
日産キューブ(3代目) ▲「ソファのような座り心地」になるよう、2代目よりさらに大型されたシート。ラバーバンドを使った収納や、天井やスピーカーなどに「波紋」をモチーフにしたデザインが採用されるなど、個性的なインテリアが特徴

2012年10月にマイナーチェンジが実施され、アイドリングストップ機能が備わった。これにより、燃費が2WD車で17.4km/Lから19.0km/Lに向上している(JC08モード燃費)。また、上級グレードとして、パイピングが施された本革シートを備える「アクシス」もラインナップに加えられた。
 

日産キューブ(3代目) ▲2010年11月に加わった、華やかな深紅のシートを備える「15X / 15X FOURパーティレッドセレクション」。シート色にこだわった特別仕様車は、生地もベロアのような触り心地のよい生地が使われているものが多い

2代目同様、数多くの特別仕様車も登場したが、ベース車自体、ボディカラーやインテリアカラーの追加や変更が多い。例えば、2009年10月にはインディゴブルーのシートを備えた「15X / 15X FOURインディゴセレクション」、2011年には若葉色のシートの「15X / 15X FOURこもれびグリーンセレクション」、2013年10月には北欧デザインを意識したチェック柄シートの「15X / 15X FOUR ロルブーセレクション」などが発売されている。

より好みの雰囲気に合った1台をチョイスできるというのも、3代目の魅力のひとつだろう。
 

■キューブ(3代目)の中古車相場
流通台数は1700台以上あり、選択肢は豊富。マイナーチェンジでの大きなデザイン変更はなかったため、外観での選択肢は、優しい雰囲気の標準車か、力強い「ライダー」系ということになる。流通量は前者が8割を占めている状況だ。

燃費が向上した2012年10月のマイナーチェンジ後のモデルは500台以上あり、そのうち300台以上が走行距離5万km未満。それでも、総額50万円ほどから見つけることができるので、コスパ重視ならまずはこのあたりを軸に探してみるのがいいだろう。

一方で、走行距離1万km未満という物件も約30台あり、予算100万円プラスαあればマイナーチェンジ後のものが選択可能だ。

また、シート色などインテリアに特徴をもつ特別仕様車も見つけやすく、例えばレッドソファを備えた「15X / 15X FOURパーティレッドセレクション」が約20台、チェック柄シートの「15X / 15X FOUR ロルブーセレクション」も約5台見つかる。他グレードと価格差はほぼないので、気になる内装デザインのグレードから探すという方法もアリだ。
 

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※記事内の情報は2021年6月17日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/日産
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。