ホンダ S660 ▲生産終了がアナウンスされ、注目度が一気に上がったホンダ S660。そうなると気になってくるのが直近の中古車相場ですが、カーセンサーnetのデータをもとに見ていきましょう

生産終了アナウンス後、瞬く間に完売したS660

今年の3月に、惜しまれつつも2022年3月をもって生産終了をすることが発表されたホンダ S660。

すると、今まで購入しようか悩んでいた人が背中を押されたのか注文が殺到し、瞬く間に生産枠すべてが埋まったというのは記憶に新しいところです。

つまり、今現在も生産は続いているS660ですが、すでに新車を注文することができないという状況になっており、中古車市場では早くもプレミア価格が付けられているほど。

では買い逃してしまった人はもう購入することは難しいのでしょうか? カーセンサーnetのデータをもとに、S660の現在をチェックしてみたいと思います。

▼検索条件

ホンダ S660(初代) × 全国

平均価格は上がっているが、意外と選択肢は残っている?

まずは下記グラフをご覧ください。冒頭でも紹介したように、生産終了が発表されてからはプレミア価格となっているS660。ただ、物件数が減っているのかというと実はそうでもありません。

ホンダ S660のグラフ ▲中古車平均価格は予想どおりと言いますか……生産終了アナウンス後急激にアップしています
ホンダ S660のグラフ ▲一方、延べ掲載台数はさぞ減っているのかと思いきや、直近になり増加しているのです

掲載台数のグラフを見てみると、生産終了が発表された翌月(2021年4月)から一気に掲載台数が減少しているのですが、これは駆け込み需要で売れてしまったということが大きな理由でしょう。また、今後のプレミア価格化を見越していったん掲載を取り下げた販売店が多かったことも考えられます。

そして、それを物語るかのように2021年5月から6月にかけて平均価格が一気に跳ね上がり、6月の時点で平均価格が270万円オーバーと、αグレードの新車価格を大きく上回る価格となりました。

2021年6月をピークに徐々に価格は下がってきてはいるものの、しばらくはこの状況は維持されることが予想されます。

一方、掲載台数は平均価格が上がったことに伴い、増え始めていき2021年6月には350台ほどまで落ち込んだ台数も8月には約650台にまで増えています。

今後は、「そんなに高値で売れるなら売ってしまおう」と考えるユーザーや、「勢いで買ってしまったけど、やはり2シーターは使い勝手が……」というようなユーザーも出てくるでしょうから、一気に物件数が減って絶滅してしまうということは当分ないと考えます。

以上をまとめると、S660の中古車市場は「確かに平均価格は上がっているが、まだまだ選択肢は豊富にありそう」という状況のようです。

脈々と受け継がれている「エス」シリーズの一員

ホンダ S660

それでは改めて、S660はどんな車だったのかを振り返ってみましょう。

2015年4月に販売がスタートしたS660は、軽自動車でありながらミッドシップレイアウトのオープン2シーターという贅沢なもので、そのレイアウトから「ビートの再来」ともいわれていました。

ただ、S660という車名からも分かるように、1960年代から脈々と受け継がれている「ホンダのエス」の一員でもあり、ビートよりもスポーツ性の高いモデルに仕上がっていました。

ホンダ S660
ホンダ S660
ホンダ S660

搭載されるエンジンはN-BOXなどにも搭載されていたS07A型ターボエンジンですが、専用のターボチャージャーを搭載するなどS660専用にリファインがなされており、そこに組み合わされるミッションは軽自動車初となる6速MT(CVT仕様も設定)というものだったのです。

ルーフ部分はビートと同じくソフトトップとなっていますが、S660はリアのピラーが残るタルガトップ式となっており、エンジンサウンドを楽しむためにリアウインドウが電動開閉式となる遊び心もプラス。ルーフ自体は3ヵ所のフックを外して丸めとり、フロントフ―ド内に設けられたボックスにしまうタイプとなっています。

2018年5月にはコンプリートモデルである「モデューロ X」を設定。これは熟練のエンジニアが匠の技を注いで完成させるコンプリートカーで、S660は専用の内外装に加え、ブレーキやサスペンション、ホイールといった走りに直結する部分にまで手が加えられていました。

ホンダ S660 ▲モデューロ Xは外観上の違いだけではなく、走りに直結する部分にも手が加えられています

そして、2020年1月には初のマイナーチェンジを実施。走りに関わるメカニズム面での変更はありませんでしたが、前後の灯火類のカラー変更やドアミラーウインカーの採用、新デザインのアルミホイールの装着に始まり、αグレードにはアルカンターラを使用したステアリングやシフトノブが装着されるなど、内外装に手が加えられていました。

それでは、以下からは今狙うならどんなS600がオススメかを、筆者の考えをもとに紹介していきます。

「中古なんだからやっぱりお手頃に手に入れたい! でもMTは妥協できません」
→車両本体価格200万円以下 × MTモデル

いくらなんでも新車価格を超える価格ではちょっと……と考えて、S660の購入をあきらめてしまっている人もいるのでは?

そんな人は、車両本体価格200万円以下のMTを狙ってみる、というのはいかがでしょうか。

この条件でヒットするのは30台弱と決して多くはありませんが、それでも3万km台未満で修復歴なしという物件もチラホラ見つかります。

ほとんどがデビュー当初の2015~2016年式となりますが、メカニズムに大きな変更がなされなかったS660ですから、走りを楽しむのであれば年式は関係ないと言えます。

この条件であれば、かなり現実的なラインと言えそうです。ただし、S660という車の性格上MT車の人気は高いため、気になる物件がヒットしてもあっという間になくなってしまう……ということもあるかもしれません。

ゆえにこちらの条件で探される方は、ある程度早めのアクションが必要そうだということは覚悟しておいた方が良さそうです。

▼検索条件

ホンダ S660(初代)×本体価格200万円以下×MT× 全国

「とにかく安くて程度の良い物件が欲しい!」
→CVTモデル × 車両本体価格200万円以下

スポーティなモデルだけにMTで乗りたい、と考える人が多いであろうS660ですが、パドルシフトが備わるCVTモデルはステアリングから手を離すことなく変速することもでき、ステアリング操作に集中できるというメリットがあります。

ミッドシップレイアウトのハンドリングマシンを楽しむには、CVTでも決して退屈な仕様ではないのです。

そして、何よりMTモデルに比べてかなり手ごろな価格帯となっている点も魅力。

ひとつ前でオススメした条件とミッション以外は同一ですが、こちらは70台弱もの物件がヒットし、車両本体価格も150万円台から見つけることができるのです。

そして、なんと走行距離1万km未満の物件もヒットするほどで、状態の良いS660を狙うならCVTという選択肢は大いにアリではないでしょうか。

MT派の方にも、一度はチェックしていただきたい条件です。

▼検索条件

ホンダ S660(初代)×本体価格200万円以下×CVT× 全国

「上級グレードを買えるうちに手に入れておきたい!」
→モデューロX × MT

S660を語るうえでは外すことのできない、メーカー謹製のチューニングモデル「モデューロX」。

最上位に位置するグレードとして、最終型では300万円を超える新車価格だったため、人気の高いMTに絞るとすべての中古車が新車価格を上回る300万円オーバーで、中には500万円近くのものもあるほど。それに掲載台数も20台ほどと、かなり限られています。

このような状況では、「何がなんでも最上級のS660が欲しい!」という人以外にはオススメしにくいというのが正直なところです。

しかし、当然高いだけの理由があります。空力を極限まで考慮した専用フロントバンパーや、たわみ量までも計算したアルミホイール、そして減衰力調整式のサスペンションなどの専用装備はさすがのクオリティと言わざるを得ません。

併せてメーカー純正のチューニングカーということで今後その価値が上がり、他のグレードに比べて値落ちしにくいということも期待できるかも!?

そして、何よりS660を最大限楽しみたいのであれば、ぜひともチャレンジしていただきたいモデルです。

▼検索条件

ホンダ S660(初代)×モデューロX系グレード×MT× 全国

このように現在はプレミア価格となっているS660ではありますが、状況の推移を見守るというのもひとつの選択肢かもしれません。

すでに完売したとはいえ、2022年3月まで生産はされるので、今後新車同等の物件が出てくる可能性もまだまだあります。

ただし、早くS660で楽しいカーライフを楽しみたいということであれば、上記のオススメも参考にしていただき、ぜひご自身にぴったりの1台を見つけてくださいね!

▼検索条件

ホンダ S660(初代)× 全国
文/小鮒康一 写真/篠原晃一、尾形和美

※記事内の情報は2021年9月22日時点のものです。

小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。