フリーランダー2▲日本でエクストレイルなどのコンパクトSUVがブレイクするより早く、欧州でデビューしたフリーランダー。2代目となるフリーランダー2も含め、グローバル市場でのヒット作

ランドローバー フリーランダー/フリーランダー2の中古車は今

レンジローバーやディスカバリー、ディフェンダーといった本格四駆を専門に開発してきたランドローバーが、初めて作ったコンパクトSUVがフリーランダーだ。

FFベースの4WDシステムやモノコック構造のボディ、四輪独立サスペンションなど、メカニズムは現代のクロスオーバーSUVと似通っているが、そこはランドローバー。車体はコンパクトでも、悪路走破性能ではライバルと一線を画していた。

フリーランダーは、もともと日本では導入が遅れたこともあって新車販売が振るわなかった。そのため現在の中古車市場ではほぼ流通していない状況だ。

後継モデルのフリーランダー2では、装備内容やオンロードでの快適性が一挙に洗練された。現在は予算150万円で狙える状況にある。ただし、こちらも中古車市場での流通量はごく少数。


生産終了から6年、これからも流通量が増えることはおそらくないだろう。もしも希望に近い物件を見つけたなら早めに決断したい。

ここではフリーランダー&フリーランダー2の特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

▼検索条件

ランドローバー フリーランダー/フリーランダー2 × 全国
 

フリーランダー(初代)の特徴と中古車相場

■フリーランダー DATA
生産期間:2001年2月~2007年4月
中古車流通量:―
中古車価格帯:―
全長:4390mm × 全幅:1810mm × 全高:1720mm
 

フリーランダー ▲高いボディ剛性、独立懸架としては豊かなサスペンションストロークなど、コンパクトSUVとして優れた資質を備えていたフリーランダー

■フリーランダーの特徴
欧州では1997年に発売開始されたフリーランダーだが、日本でのデビューは2001年。エンジンラインナップがディーゼル中心だったこと、5速MTだったことが主な理由だ。

国内導入モデルでは2.5Lオールアルミ製のV6ガソリンエンジンが搭載され、トランスミッションにもステップトロニック付き5速ATという当時先進的なものが採用された。

ボディはフレームを内蔵したモノコック、サスペンション形式は前後ともマクファーソンストラット式、FFをベースとするオンデマンド式4WDシステムと、現代のコンパクトSUVに近い構造となっている。

オンロードでの軽快なハンドリングと、悪路走破性を兼ね備えたモデルである。

HDC(ヒルディセントコントロール)など、当時では先進的な電子制御技術も数多く採用された。
 

フリーランダー ▲初代のインテリアはオフロード四駆らしさを強調したもの。高い視座と広いグラスエリアによる見晴らしの良さは格別

5ドア・ワゴン(ハードトップ)と3ドア・ソフトバックという2種類のボディをラインナップ。

5ドア・ワゴンには本革シート & ステアリング、シートヒーターなどが装備される最上級モデルの「ES」と、エントリーモデルの「S」という2種類のグレードが存在した。

一方、3ドア・ソフトバックは「GS」のみのモノグレードだ。

2003年10月には、ヘッドライトの形状を「ツインポケット」と呼ばれる二眼式のデザインに変更。内装もリニューアルされ、上質感が演出された。

同時にラインナップもベーシックモデルの「SE」と、上級モデルの「HSE」に整理されている。

2007年4月には国内での販売が終了し、実質的な後継車となるフリーランダー2にバトンタッチした。
 

フリーランダー ▲初代フリーランダーには3ドア・ソフトトップ仕様が存在。スポーティモデルという位置付けだった

■フリーランダー(初代)の中古車相場
オンロード、オフロードを両立する先進的なコンパクトSUVとして世界市場での評価は高かったフリーランダーだが、国内市場での新車販売台数はわずかだった。

生産終了から14年たっていることもあるが、2021年12月時点で中古車は流通していない。

どうしてもフリーランダーが欲しいというなら、物件がアップされるタイミングを気長に待つしかない。

後継車であるフリーランダー2をターゲットにした方が賢明だろう。
 

▼検索条件

ランドローバー フリーランダー × 全国
※流通状況により掲載がない場合があります。
 

フリーランダー2の特徴と中古車相場

■フリーランダー2 DATA
生産期間:2007年6月~2015年9月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:70万~260万円
全長:4515mm × 全幅:1910mm × 全高:1765mm

 

フリーランダー ▲先代の特徴的なフォルムを継承しながら洗練されたデザインへと生まれ変わったフリーランダー2

■フリーランダー2の特徴
初代のフリーランダーより全長、全幅とも若干拡大。ボディサイズがひとまわり大きくなっただけでなく、エクステリアの造形も精悍で立派な印象となった。

ボディ、サスペンションなどの構成はフリーランダーと大きく変わらないが、エンジンには新たに3.2L直列6気筒ガソリンを搭載(デビュー時)。

さらに、路面状況に最適化された走行モードをドライバーが任意に選べる4WDシステム、「テレイン・レスポンス」も採用された。

これは、エンジン出力やギア、駆動力配分、トラクション・コントロールなどの電子デバイスを統合制御する先進的なメカニズムだ。

4WDシステム本体にも新たに電子制御センター・カップリングを採用。走りの質はオンロード、オフロードともフリーランダーから格段に進化している。
 

フリーランダー2 ▲フリーランダー2は5ドアのみのラインナップ。SUVとしてのスポーティさよりも上質感が重視された

フリーランダー2では3ドア、ソフトトップ仕様がなくなり、バリエーションは5ドア・ハードトップのみ。

国内モデルのグレード展開は、「S」、「SE」、「HSE」の3種類だった。

「SE」は本革&ファブリックのハーフ・レザー・シートやバイ・キセノン・ヘッドライトといった実用性重視の装備が揃ったグレード。

「HSE」は「SE」の装備内容に加え本革ステアリング&シート、18インチアロイホイール、ブラインド付き電動パノラミック・サンルーフといった豪華装備が標準となる最上級グレードだ。

2011年1月にはフロントバンパー&フロントグリルのデザインを変更するマイナーチェンジが行われた。

さらに2013年2月には、エンジンを一新するビッグマイナーチェンジを実施。

従来の3.2L 直列6気筒ガソリンに代わり、新たに2L 直列4気筒ガソリンターボが採用された。

排気量はダウンサイジングされているが、動力性能は大幅に洗練され、燃費も向上している。このマイナーチェンジでは他にも下記の変更が行われた。

■2013年2月 マイナーチェンジ
【エクステリア】
・LED式シグネチャーライトを内蔵するヘッドランプを新採用
・フロントグリルおよび周辺パーツのデザインを一新し、高級感ある仕上げに
・LED式テールランプを新採用
【インテリア】
・インパネ、センターコンソールのデザインを変更
【装備】
・英国メリディアン製音響システムを採用
【グレード】
・ラインナップを「2.0 Si4」のみに整理

フリーランダー2は2015年9月をもって販売終了。グローバル市場でも3代目が登場することはなかった。
 

フリーランダー ▲フリーランダー2のインテリアは落ち着いたデザイン。シフトレバー前にはテレインレスポンスのダイアルが備わる

■フリーランダー2の中古車相場
フリーランダー2も中古車市場での流通量は決して多くなく、約10台というところ。

希望に近いコンディションの物件を見つけられたなら、早めに決断したい。

中古車平均価格(車両本体価格)は120万円前後とリーズナブルだが、年式や走行距離、グレードによって価格帯は幅広い。

オススメはダウンサイジングターボエンジンとなった2013年2月以降のモデルだが、選択肢は少ない。購入予算の目安は100万円台後半から、200万円台中盤となる。

3.2L 直列6気筒ガソリンエンジンも大排気量ならではのトルク感があり、それなりに魅力的だ。

ランドローバーは正規ディーラーの数が少ないため(日本全国で50店舗弱)、できれば整備などを任せられる専門店を見つけたうえで購入することをオススメする。
 

▼検索条件

ランドローバー フリーランダー2 × 全国

※記事内の情報は2021年12月1日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ランドローバー
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。