G’s ▲スポーティな専用外装や足回りを装備したトヨタの「G’s」グレード。全車種の一覧と現在の中古車事情をお届け!

現在展開中の「GR」ブランドに通じるスポーティグレード

現在、トヨタ車のスポーティグレードとして幅広い車種に設定されている「GR SPORT」は、メーカー自らがチューニングパーツやカスタマイズパーツを生産段階で組み込むことで、装着に関わる費用の発生や外した部品の処分といった諸問題を解決しました。それに加え、生産段階でないとなかなか難しいボディのスポット増しによる補強(一部車種)などがなされたコンプリートモデルとなっています。

その前身として存在していたのが、2010年から2017年にかけて様々なモデルに設定された「G’s」となります。

チューニングの考え方はGR SPORTと共通となり、エンジン本体には一切手を加えていませんが、現在のGR SPORTには設定されていないモデルも豊富に存在している点も特徴のひとつです。そんな「G’s」シリーズの現在の中古車の状況はどのようになっているのか、一気にチェックしてみたいと思います。
 

 

プリウス G’s(3代目)

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プリウス G’sは3代目のプリウスの「S “ツーリングセレクション”」をベースとして2011年12月に販売を開始。

エクステリアは専用デザインの前後バンパーや大径マフラー、LEDイルミネーションやブラック加飾の前後ランプ類などが特徴で、専用の18インチホイールとスポーツタイヤも標準装着されていました。
 

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内装はロゴ入りの専用シート表皮やレッドステッチを施したステアリング、カーボン調加飾のインパネやドアトリム、アルミ製のペダル類が装着されています。
 

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走りにまつわる部分では専用チューニングのサスペンションに加え、メンバーブレースの採用やスポット溶接打点の追加でベース車からボディ剛性を向上させていました。

そんなプリウス G’sの中古車物件は執筆時点で145台の掲載があり、ボリュームゾーンの車両本体価格は120万~160万円といったところ。

安い物件では総額100万円を切るものもある一方で、低走行の物件では総額200万円を超えるものも存在し、根強い人気があることをうかがい知ることができます。

低燃費かつ走りの楽しいモデルということで、10万kmオーバーの物件もそこそこ存在していますが、低走行の物件では2万km未満のものもまだまだ見つけることができるので、比較的好みの1台を見つけやすいG’sモデルと言えるのではないでしょうか。
 

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トヨタ プリウス G’s(3代目)×全国
 

プリウスα G’s(初代)

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3代目プリウスのステーションワゴン版として登場したプリウスαのG'sは、マイナーチェンジ直後の2014ね年12月に発表され、翌年2月から販売をスタートし、2列シート5人乗り仕様と3列シート7人乗り仕様が選択可能となっていました。

こちらもプリウスと同じく「S “ツーリングセレクション”」がベースとなっており、専用エクステリアやスエード調+合成皮革の専用スポーティシートを採用した他、ベース車には備わらないタコメーターがメーター内に配置されるのも特徴です。
 

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足回りは専用スポーツサスペンションを採用し、床下に補強パーツを配することでボディ剛性をアップ。スポット溶接の点数は増やされていませんが、代わりに床下に空力パーツを装着することで車両安定性を向上させていました。

そんなプリウスα G’sの中古車物件は執筆時点で63台の掲載があり、ボリュームゾーンは160万~250万円となっています。

安価な物件では総額150万円ほどから、高額な物件では総額280万円といったところで、走行距離はプリウス G’sのように15万kmを超えるようなものはありませんでしたが、極端な低走行車も少なく、5万km未満であれば比較的低走行の部類に入るといった印象です。

なお、掲載されている物件のほとんどが5人乗り仕様となっており、7人乗り仕様は63台中わずか11台のみなので、3列シート仕様を狙うならじっくり探す覚悟が必要かもしれません。
 

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トヨタ プリウスα G’s(初代)×全国
 

アクア G’s(初代)

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トヨタのコンパクトハイブリッドモデルであるアクアのG’sモデルは2013年12月に登場。こちらは上級グレードの「G」がベースとなっており、事実上のアクア最上級グレードというキャラクターも担っていました。

エクステリアでは専用デザインの前後バンパーや空力パーツとしても効果をもつフェンダーガーニッシュなどが装着され、ホイールは2インチアップの17インチを採用。
 

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インテリアではアルカンターラ表皮の専用スポーティシートやアームレスト付きセンターコンソールボックス、アルミペダルなどを装着し、スポーティかつ上質な仕上げとなっていたことが特徴となっています。
 

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ボディにはスポット溶接の打点を追加した他、フロアにブレースパーツを装着することでボディ剛性をアップ。それに合わせてサスペンションも専用チューニングのものが備わり、2014年12月のマイナーチェンジでは、ベース車のボディ剛性が向上したことに伴ってサスペンションのリセッティングもなされています。

また、2015年11月の一部改良では先進安全装備の「Toyota Safety Sense C」が標準装備となっており、充実した装備を狙うなら高年式が良さそうです。

そんなアクア G’sはG’sシリーズの中で最も台数が売れたモデルとなっており、中古車物件数も265台とダントツの数字。価格のボリュームゾーンは100万~160万円と、G’sのエントリーモデルらしく買いやすい価格帯となっています。

そのため、最も安い部類では総額70万円台から狙うことができますが、先進安全装備付きのモデルとなると、最安値に近い物件でも総額120万円ほどの予算は見ておきたいところです。
 

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アクア G’s(初代)×全国
 

ヴィッツ G’s(3代目)

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コンパクトハッチバックモデルのヴィッツは、ベース車にも「RS」というスポーティグレードが用意されていますが、ヴィッツ G’sはそのRSをベースとして、よりスポーティな味付けを行ったエントリースポーツカーとなっていました。

2011年9月に追加となったヴィッツG’sは、G’sシリーズの中で唯一5速MTを設定するモデルとなっており(7速スポーツシーケンシャルシフトマチック付きCVTも設定)、ベース車とは大きくデザインの異なる前後バンパーやグリル、ブラック加飾のライト類などのエクステリアが特徴的となっています。
 

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インテリアでは専用表皮のスポーティシートやカーボン調加飾のパネル類、アルミ製ペダルなどでよりスポーティさを演出した他、メーターの配置をセンターにタコメーターがくるように変更がなされています。
 

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ボディはスポット溶接の打点追加とパフォーマンスロッド、床下気流を整流化する空力パーツなどが装着され、サスペンションも専用チューニングのものを装着。ホイールも17インチと大径化した他、専用のブレーキパッドをオプション設定していました。

2014年のマイナーチェンジでは、ベース車のようにエクステリアの大幅な変更はなかったものの、従来型よりさらにスポット溶接を打ち増しし、補強材の改良や新たにリアフロアにもブレースを追加するなどボディ剛性をさらにアップ。それに伴ってサスペンションのリセッティングと電動パワーステアリングの採用で優れた走行性能を実現していました。

2015年6月にはベース車の改良に合わせて先進安全装備の「Toyota Safety Sense C」を採用し、安全性能のアップも果たしています。

そんなヴィッツ G’sの中古車物件掲載台数は、執筆時点で69台となっており、意外と少ない印象。その中でMT車は34台とほぼ半数を占めていました。

価格帯は90万~110万円がボリュームゾーンとなっており、同じくらいの走行距離同士で比べてみるとやはりMT車の方が高値安定となっています。CVT車であれば総額100万円の予算で比較的低走行車も狙えますが、MT車ともなると5万km台以下の物件は最低でも130万円くらいの予算が必要となっています。
 

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マークX G’s(2代目)

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マークIIから続くトヨタのミドルクラスセダンであるマークXにもG’sが設定されていました。登場は2012年8月のマイナーチェンジのタイミングで、ベースとなったのはスポーティグレードである「250G“Sパッケージ”」と「350S」の2グレードとなります。

両車の違いは搭載エンジンで、前者は149kW/243N・mを発生するV型6気筒2.5Lの4GR-FSE型が、後者には234kW/380N・mを発生するV型6気筒3.5Lの2GR-FSE型エンジンが搭載されていました。

G’sとしての装備は両車共通で、専用デザインの前後バンパーとフロントグリル、専用の4本出しマフラー、スモーク加飾のライト類などがエクステリアの違いとなっており、インテリアではアルカンターラ表皮のスポーティシートや専用メーター、レッドステッチのステアリングやシフトノブなどが装備されています。

パフォーマンス面では、スポット点数の追加や各種メンバーブレースの装着、床下気流を整流化する空力パーツを装着した他、専用の19インチ鍛造アルミホイールやスポーツタイヤ、レッド塗装の専用ブレーキキャリパーが装着されていました。

2013年2月には、特別仕様車としてCFRPのルーフを装着し、軽量・低重心化を図った「カーボンルーフバージョン」を2.5Lと3.5Lモデル合わせて100台限定でリリース。2014年9月には、新たにボディカラーに「アウェイクンイエロー」と名付けられた鮮やかな黄色が追加されています。
 

G’s ▲こちらが限定のカーボンルーフバージョン

そんなマークX G’sは、執筆時点で49台の掲載があり、そのうち38台が2.5Lモデル。カーボンルーフバージョンも2.5Lモデルが2台のみとなっていました。

価格帯は2.5L、3.5Lともに安価な物件では総額150万円ほど、高額なものでは総額280万円ほどと排気量によってそこまで価格差はない様子。スタイルに魅力を感じて購入を検討するのであれば、維持費の安い2.5Lモデルがオススメですが、スポーツセダンとして狙うのであれば溢れるパワーが魅力の3.5Lモデルを狙いたいところです。
 

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ハリアー G’s(3代目)

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プレミアムSUVとして人気の3代目ハリアーのG’sは2015年1月に販売をスタート。ベースとなったのは「エレガンス」の2Lガソリンモデルであり、前輪駆動の他、G’sシリーズでは唯一四輪駆動が選択できるモデルとなっていました。

ハリアー G’sでは、車高を約35mmダウンさせた専用サスペンションに加え、スポット溶接の打点追加や床下剛性アップパーツを装着した他、専用のブレーキキャリパーと高ミューのブレーキパッドを装着することで制動力も向上。

もちろん、内外装も他のG’sモデルと同じく専用のバンパーやグリルを装着してスポーティな装いとし、専用のスポーティシートやダークメッキ調塗装加飾を施すなど、スポーティかつ上質な室内空間を実現していました。
 

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これによってSUVでありながら操る歓びを感じられる走りの楽しさをもったモデルに仕上がっていたのです。

そんなハリアー G’sは執筆時点で51台の中古車物件の掲載がありますが、4WDモデルはわずか10台のみ。ほとんどの物件が車両本体価格250万~300万円の間に収まっています。

やはり4WDモデルの方が価格帯は高くなり、総額300万円前後がボリュームゾーン。一方の2WDモデルであれば、総額260万円ほどで走行距離5万km前後の物件も狙うことができる状態となっていました。
 

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アルファード G’s/ヴェルファイア G’s(20系)

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G’s ▲上がアルファード、下がヴェルファイアのG’sグレードです

トヨタの誇るフラッグシップミニバンであるアルファード/ヴェルファイアには、20系(2代目アルファードおよび初代ヴェルファイア)にG’sが設定されていました。

販売開始は2012年9月で、ベースとなったのはアルファードが「240S」と「350S」、ヴェルファイアが「2.4Z」と「3.5Z」となり、両車の違いは搭載エンジンのみとなり全車7人乗り仕様となっています。

G’s専用装備としては、エクステリアが専用デザインの前後バンパー&グリル、19インチホイール、4本出しマフラーなど、インテリアは全席アルカンターラのシート表皮が採用され、フロントシートはスポーティシートを装着。レッドステッチのステアリングやシフトノブ、専用メーター、専用カラーのインストルメントパネルやクラスターパネルなどが備わっていました。

また、走行面でも他のG'sと同じく、専用チューニングのサスペンションやスポット増し&床下剛性アップパーツの装着によるボディ剛性の向上や、フロア下の空力パーツによって操縦安定性をアップさせ、ブレーキも強化することでより安心感のある走りが楽しめるように仕上がってしました。

なお、両車の違いはベース車と同じくフロントマスクを中心としたデザインの違いが主で、G’sでもベース車のイメージを踏襲したエクステリアデザインがなされています。

そんなアルファード/ヴェルファイアのG’sモデルはアルファードが5台、ヴェルファイアは11台とかなりレア。

排気量はアルファードの3.5Lモデルが3台、ヴェルファイアが1台のみとなっており、2.4Lモデルが多くなっています。

価格帯は台数が少ないので何とも言い難いところもありますが、ボリュームゾーンは200万円前後となっており、走行距離も6万km前後の物件が中心で、掲載台数は少ないものの状態の良いものが多い印象です。
 

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ノア G’s/ヴォクシー G’s(2代目)

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G’s ▲上が2代目ノア、下がヴォクシーのG’sグレード

スポーツコンバージョンモデルのG’s初のモデルとなったのが、意外なことにミニバンの2代目ノア/ヴォクシーでした。ベースとなったのはノアの「Si」および「S」、ヴォクシーの「ZS」および「Z」となっており、ベースグレードの装備差がそのままG'sでの装備差となっています。

具体的にはノア Siとヴォクシー ZSは、スマートエントリーシステムや助手席側パワースライドドアが標準装備となり、両側パワースライドドアやパワーバックドアがオプション設定されていたという点となります。なお、乗車人数はベース車と同じく7人と8人の両方が選択可能となっていました。

G'sの専用装備は専用デザインの前後バンパーや左右2本出しとなるマフラー、専用のローダウンサスペンションに加え、フロントドア開口部や床下のスポット溶接を増強することでボディ剛性のアップがなされていました。

さらにノア Siとヴォクシー ZSをベースとしたG’sには、「バージョン エッジ」と呼ばれる仕様が用意され、こちらにはさらなるボディ剛性アップパーツや床下空力パーツ、18インチアルミホイールやスポーツブレーキパッドなどを装着し、サスペンションも専用のものが奢られていたのでした。

また2011年5月の一部改良では、シート表皮を黒を基調としたスポーティなものとした他、フロントシートをホールド性に優れたスポーティシートに置き換えています。

そんなノア/ヴォクシーのG’s初代モデルは、ノアが8台、ヴォクシーが17台とこちらも希少となっており、それぞれの3グレードはどれも同じくらいの台数ずつの掲載となっていました。

価格帯は安価な物件では総額70万円台、高額なものでは総額140万円ほどとなっており、それなりに走行が少なめの物件を狙うのであれば予算100万円前後は見ておきたいところ。ただし、もともとファミリーカーということもあってか、走行距離が極端に少ない(5万km以下)物件はほぼ皆無となっていました。
 

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ノア G’s/ヴォクシー G’s(3代目)

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G’s ▲上が3代目ノア、下がヴォクシーのG’sグレード

G’sシリーズとしては唯一フルモデルチェンジを果たしたのがノア/ヴォクシーでした。と言ってもフルモデルチェンジした2014年にすぐに登場したわけではなく、販売がスタートしたのはフルモデルチェンジからおよそ2年後の2016年4月のことでした。

2代目G'sのベースとなったのは、ノア「Si」とヴォクシー「ZS」となり、パワートレインは2Lガソリンのみでハイブリッドモデルには設定されませんでした。乗車人数もベース車は8人乗りも選択できましたが、G’sでは7人乗り仕様のみとなっています。

専用装備は先代モデルと同じく、専用チューニングのサスペンションや専用デザインの前後バンパー、マフラーの他、専用メーターやシルバーステッチのステアリングやシフトノブ、黒基調の内装にスエード調と合成皮革のフロントスポーティシートが備わり、オプションとして専用スポーツブレーキパッド&レッドキャリパーも用意されていました。

また、先代では別途用意された「バージョン エッジ」に備わっていたボディ補強&床下空力パーツや18インチの専用アルミホイールは標準装備となり、「バージョン エッジ」は消滅しています。

そんな2代目ノア/ヴォクシーのG’sモデルですが、登場から1年とちょっとの2017年7月には「GR SPORT」にバトンタッチするために早々に消滅してしまっており、中古車物件の掲載台数もノア9台、ヴォクシー16台と高年式モデルとしてはかなり少なめ。

価格帯は高年式モデルということもあって200万~250万円に集中しており、総額で200万円を切る物件はほぼないと言っていい状態ですが、逆に走行距離3万km台以下の走行少なめの物件もまだ見つけることができるので、新型には(今のところ)存在しないスポーティなノア/ヴォクシーが欲しいなら狙い目でしょう。
 

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トヨタ ノア G’s/ヴォクシー G’s(3代目)×全国

今回は、トヨタのGRシリーズの前身となるG’sシリーズの中古車について駆け足で振り返ってみましたがいかがだったでしょうか。

G’sシリーズの特徴として、もともとのスポーツモデルをベースとするのではなく、コンパクトカーやハイブリッド、セダン、ミニバン、SUVといったスポーツとは無縁と思える車種をベースとすることで、どんな車でも走る歓びは享受できると教えてくれているワケで、こういった車種でも決して退屈ではないと気づかせてくれる重要なモデルでもあるのです。

※記事内の情報は2022年8月25日時点のものです
 

文/小鮒康一 写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。