車でMTBを運び、トレイルを走る「バイクパッキング」を開拓する達人【遊戯三昧】
2017/10/15
カーセンサー(雑誌)にて、車を自由に使いこなす遊びの達人たちを特集した連載「俺たち遊戯三昧」からの転載。 今回はマウンテンバイカーとして活動中の北澤肯さんのフォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン(初代)に注目!
自然と一体になれる新しい旅のスタイル
トレイルヘッド(林道の入口)に止めたフォルクスワーゲン トゥーランの運転席から、引き締まった体形の男性が降りてきた。気持ちのいい秋の景色を確かめながら、リアゲートを開けて、自転車を降ろす。はじめから付いていた後輪も、車内に積んでいた前輪も、見たことのないような太さだ。
「これはファットバイクという、ラフロードも走れる自転車です。僕はこれにテントなどを積んで、自然のなかで走ったり、寝袋にくるまって夜を過ごす『バイクパッキング』というスポーツを楽しんでいます」
と語る、オーナーの北澤さん。青年時代にアメリカのオレゴン州に留学し、そこでアウトドアの楽しさを知った彼は、スポーツという言葉の、本来の意味を悟った。
「日本では競技のイメージが強いですが、本当は自然のなかで体を動かし、自由を楽しむ行為を指すんです。『バイクパッキング』はMTBと、素材や技術の進化で軽くなったアウトドアギアによって可能になった旅のスタイルです」
北澤さんは、自分のペースで自然の本質に迫ることのできる『バイクパッキング』の、日本における第一人者として、自らも楽しみながら活動している。一方で、車の方は運転免許を取得してからまだ2年ほどと、経験は浅い。それまでは、自転車を分解して公共交通機関で運ぶ「輪行」をしながら、各地を旅していたという。
「自転車で山を走るようになってから、トレイルヘッドまで移動するのに車の必要性を感じて、免許を取ると同時に買いました。自転車はかさばるので、天井が高くないと積みにくいのですが、トゥーランは自転車を斜めにすれば、前輪を付けたまま積めるうえ、2列目のシートが取り外せるなど、とても機能的にできています」
今のサイズで十分満足しているとか。
「運転歴の短い僕には大きい車は運転しづらいし、広さに甘えて積むことに無頓着になってしまいます。やっぱり、荷物の量をいかに減らすかが旅の醍醐味ですから」
必要な広さを知り、ちょうどいい車を選ぶ達人の哲学は、とても参考になる。
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