VW ID.4▲2023年夏に発売された、フォルクスワーゲン ID.4の標準モデル。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けする

2023年発売の標準モデルに試乗

フォルクスワーゲンが満を持して登場させたBEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル)、IDシリーズをご存じの方も多いはずだ。

MEBと呼ばれるEV専用プラットフォームを採用するモデルは、フォルクスワーゲン傘下の自動車メーカーで10車種、2024年発売予定のフォード エクスプローラーEVを含めると11車種もある。

日本ではID.4というモデルのみ正式に発売されているが、2022年の11月に発売されたローンチエディションはすぐに完売し、2023年モデルとしてLiteとProを標準モデルとして販売している。

今回は、より進化したID.4 Proを山間部で走らせる機会を得たので、その際の様子をお伝えしたい。
 

制御を変えたことで航続距離だけでなく乗り味も変わった

まず初めにID.4 Proの2022年モデルと2023年モデルの違いおさらいしておこう。

出力制御を見直したことで、WLTCモードでおよそ57kmも一充電走行距離を延ばし、満充電時に618㎞となった。

回生ブレーキ制御だけでなく、コースティング(空走)のような制御も導入することによって距離を延ばしたのであろう。

そのため、外観と内装にこそ変化はないが、乗ってみると明らかに違いを感じることは多い。
 

VW ID.4
VW ID.4

では試乗に移ろう。

フォルクスワーゲンの機械的な作りこみからは、ドイツの威厳を感じることができる。ステアリングホイール近くにあるレバーを操作してDレンジに入れるが、この重厚感がいい。
 

VW ID.4▲しっかりと作り込まれた車内からは、ドイツの威厳のようなものを感じる(写真は2022年モデル)
VW ID.4▲シフトスイッチは見た目以上にしっかりとした操作感がある(写真は2022年モデル)

機械的なフィールを感じ取れるスロットルを踏むと、静かに動き出す。静粛性は万全である。

今回は、私を含め3人での乗車だったが、まったく重さを感じさせないトルクの安定性を改めて感じる。これもEVの良さのひとつだろう。

箱根の山間部へと向かう。電気をどのくらい使っているのか、内燃機関ほど理解しにくいが、とにかくモリモリ駆け上がる。

駆動方式はRWDであるので勾配を上るトラクションは良好だ。ステアリングフィールのコンタクトの甘さもなく、スロットルを開けても安心感はある。

上りの負荷がかかった状況だが、ハンドリングは2tを超える車体でも何ら問題はない。むしろ四輪と路面とのコンタクトが取れている。

タイトなコーナーでは重さも感じる部分もあるが、低重心化を施して抑えている方であろう。
 

VW ID.4

モードはDとBがあるが、今回は標準的なDモードで走った。山道を緩やかに走るのもスムーズだ。

ローンチモデルよりも角が取れたような走りを感じる。全体的にまろやかというになったということであろうか。

ひとつだけ言わせてもらうとすれば、フォルクスワーゲングループ特有の「しっかりとしながらしなやかな乗り心地」がもの足りない。

トゥボードあたりからのちょっとしたバイブレーションが試乗したモデルでは気になった。しかし、静粛性が高いゆえにもたらされる部分ともいえるだろう。

帰りは下りでありスロットルペダルの踏み込み量も少ない。Dレンジでは、ブレーキを使って回生ブレーキに移行する。

タッチはリニアで扱いやすいが、車重がかさむのであらかじめ速度を落とした方が制動力を安心して使うことができる。

だが、ブレーキの踏み始めは制動力を感じるが、その後はさらに踏まないとファーストコンタクトほどの制動力を感じ取れない。これは重い車にありがちなフィールだ。

ブレーキに負担かけないようにBレンジで下ると、今度は制動がきつくなりコンビネーションが難しい。

下り坂は思った以上に車重を感じてしまうのである。重心は低いが、目線は高くロールも抑えられている。だからこそ乗り心地がソフトになりにくい。

車重はすべてにおいてネガティブ要素が露呈してしまう。やはりBEVはフラットな道が得意なのかもしれない。

 

VW ID.4

フォルクスワーゲンが放ったID.4というSUVは、まだまだ本当の実力を発揮できておらず、さらなる進化の可能性を秘めているようだ。

昨今、EVに大きく舵を切るか微妙な部分もあるが、あらゆる情勢を鑑みて成熟を楽しみにしたい。
 

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フォルクスワーゲン ID.4(現行型)× 全国 
文/松本英雄、写真/尾形和美、フォルクスワーゲンジャパン

【試乗車 諸元・スペック表】
●プロ

型式 ZAA-E2EBJ 最小回転半径 5.4m
駆動方式 MR 全長×全幅×全高 4.59m×1.85m×1.64m
ドア数 5 ホイールベース 2.77m
ミッション その他AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.57m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2140kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 不明 最低地上高 -m
マニュアルモード -    
標準色

グラナディラブラックメタリック、ブルーダスクメタリック/ブラックルーフ、ムーンストーングレー/ブラックルーフ、グレイシアホワイトM/ブラックルーフ

オプション色

キングズレッドメタリック/ブラックルーフ

掲載コメント

※交流電力量消費率(WLTCモード)139Wh/km 市街地モード(WLTC-L)125Wh/km 郊外モード(WLTC-M)132Wh/km 高速道路モード(WLTC-H)153Wh/km
※一充電走行距離(WLTCモード)618km

型式 ZAA-E2EBJ
駆動方式 MR
ドア数 5
ミッション その他AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 グラナディラブラックメタリック、ブルーダスクメタリック/ブラックルーフ、ムーンストーングレー/ブラックルーフ、グレイシアホワイトM/ブラックルーフ
オプション色 キングズレッドメタリック/ブラックルーフ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
不明
マニュアル
モード
-
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.59m×1.85m×1.64m
ホイール
ベース
2.77m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.57m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2140kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※交流電力量消費率(WLTCモード)139Wh/km 市街地モード(WLTC-L)125Wh/km 郊外モード(WLTC-M)132Wh/km 高速道路モード(WLTC-H)153Wh/km
※一充電走行距離(WLTCモード)618km
エンジン型式 EBJ 環境対策エンジン -
種類 電気モーター 使用燃料 電気
過給器 - 燃料タンク容量 -リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 -cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 204ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
310(31.6)/4621
エンジン型式 EBJ
種類 電気モーター
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 -cc
最高出力 204ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
310(31.6)/4621
環境対策エンジン -
使用燃料 電気
燃料タンク容量 -リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。