ゴルフ▲輸入車を代表する人気の快速ハッチバックといえば、VW ゴルフGTIとルノー メガーヌR.S.だろう。昨今の高性能FF車の進化ぶりには目を見張るものがある

多様なニーズにお応えする、気の利いたジャンルがハッチバック

ハッチバックとは、跳ね上げ式のリアゲートという意味の呼び名であり、これが何の役に立つのかといえば、ズバリ積載性の良さであり日常における実用性の高さとなる。つまり、ハッチバックには実用性重視の大衆モデルが多い。大衆モデルである以上、燃費、居住性、取り回しの良いサイズによる運転のしやすさ、そして買いやすい価格といったバランスが求められる。この要件を満たそうとすると、部品点数をできる限り減らす必要がある。結果として、小さなエンジンのFF(前輪駆動)、つまり、小柄ながらも広い室内をもつ軽量で安価なモデルが主流となってくるのだ。

大衆車ほどユーザニーズは多岐にわたりわがままになる。「デザインが……」「非力で……」「燃費が……」「広さが……」「価格が……」といったネガティブな意見もきっと多い。だからか、車種数はもちろん、グレード、エンジン、ボディカラーのバリエーションも豊富で、結果的にユニークなモデルが生まれてしまうのがハッチバックというジャンルなのだ。実際、カーセンサーnetのカタログに収まる「ハッチバック」のモデル数は400以上もある。もはやグレードまで分けるととんでもないことになる。

今回はこの中から「速さ」に長けているモデルを紹介したいと思うが、いかんせんモデル数が多いため、EDGE編集部の独断と偏見によるセレクトと割り切って眺めてほしい。
 

実用性は捨てられないけど速い車がいい、なんてわがままさんには「ホットハッチ」しかあるまい!

小柄かつ軽量という構造を生かし、エンジン出力を上げ足回りも強化したスポーティなハッチバックが存在する。いつの頃からかそれらモデルは走り好きなマニアから「ホットハッチ」と呼ばれるようになった。かつては、絶対的なパワーや速さとは違うベクトルの軽快な走りをウリにしたモデルを指していた。しかし、進化した昨今のホットハッチは、大排気量スポーツカーすら追い回せるような、とんでもない速さを手に入れてしまった。紹介するのは、ドイツの某有名サーキットにて、FF車世界最速タイムを競い合う3モデルだ。

【EDGE編集部が独断と偏見で選んだ激っ速「ホットハッチ」3選】

■VW ゴルフGTI(7世代目)

ゴルフ

世界の自動車メーカーが大衆モデルの指針にしているといわれる、VWのロングセラーモデルがゴルフだ。加えて、気軽に日常使いできるためのハッチバックとしての性能は、全世代ともあらゆる項目で高得点。中でも、注目したいのは7世代目の2L直4のハイパワーエンジンを搭載した快速グレード「GTI」だ。現在、8世代目は登場したばかりとあって、中古車で狙える歴代GTIの中では抜群の性能を有しているモデルが7世代目となる。中古車流通量は200台前後でAT/MT比率は9:1。中古車価格帯は150万~560万円。

■ルノー メガーヌ ルノー・スポール(現行型)

メガーヌ

フランス車らしいしなやかかつ機敏な走りがウリのモデル。現行型のトップグレードに君臨するR.S.(ルノー・スポール)は、300psを発揮するハイパワーな1.8L直4エンジンを搭載している。煮詰められた足回りのセッティングと四輪操舵の組み合わせによってFF車とは思えない、とんでもないコーナーリング性能を誇るマシンに仕上がっている。中古車流通量は40台前後でAT/MT比率は6:4。中古車価格帯は300万~900万円。

■ホンダ シビックタイプR(現行型)

シビックタイプR

世界の激っ速ハッチに日本から殴り込みをかけているのがホンダ シビックタイプR(現行型)。シビックといえば、かつては自然吸気の1.6Lエンジンを超高回転でブン回せる国産ホットハッチの代表格だった。そして、歴代タイプRはMT設定のみという硬派な仕様で、そのままサーキットへ持ち込めるようなハードなチューニングが施されていた。現行型は、320psを発生させる2L VTECターボで武装するなど、ついに絶対的速さを手に入れてしまった。中古車流通量は70台前後で当然すべて6MT車。中古車価格帯は400万~1300万円。

ホットハッチより熱い「マグマハッチ」の存在を知っているか?

先に断っておくと、これから紹介するモデルを「マグマハッチ」と呼ぶ人は、恐らくこの世の中にはまだいない。というか、これからも出てこないと思われる。多くの人にとって感覚的にホットハッチと表現できるのは、搭載されるエンジン排気量が1.6L以下、せいぜい2L以下までのおおむね4気筒までだろう。

ところが、ハッチバックスタイルではあるものの、3L前後のデカいエンジンを搭載している頭がおかしいモデルが、少量だが存在しているのだ。これらをカテゴライズする適当な呼び名が世の中にないため、EDGE編集部内では勝手に「マグマハッチ」と称しているということで、ひとつご理解いただきたい。

とりあえず、今となっては時代に逆行したポジショニングにあるマグマハッチは、どれも絶滅のカウントダウンが始まっている超レアモデルだ。

【EDGE編集部が独断と偏見で選んだ「マグマハッチ」3選】

■BMW 1シリーズ 130i Mスポーツ

BMW 1シリーズ

エントリーグレードは1.6Lからという、BMWで最もコンパクトな初代1シリーズにとんでもないマグマハッチが存在する。そんな小さなボディに3Lの直6エンジンを押し込んでしまったグレードが、130i Mスポーツだ。しかもハイパワーFRという、スポーツカー的なパッケージが知る人ぞ知る感を醸成し、マニアを歓喜させている。中古車流通量は15台前後でAT/MT比率は5:5。中古車価格帯は60万~180万円と「今はまだ」お買い得ゾーンに滞留している。

■アルファロメオ 147GTA

アルファロメオ 147GTA

147はイタリアの老舗アルファロメオのカッ飛びハッチバックだ。当然4気筒の1.6L、2Lグレードに関しては「ホットハッチ」と呼べる軽快なモデル。ただ、頂点に君臨する「GTA」が狂っている。駆動方式はFFのままにして、小さなボディに250psを発生するV6の3.2Lエンジンを搭載している。パッと見はイタリアのスタイリッシュなハッチバックだが、ボンネットを開ければ隙間もないくらいぎっちりと詰まったデカいエンジンが鎮座する、まさに「マグマハッチ」なのである。中古車流通量は5台前後でAT/MT比率は4:1。中古車価格帯は130万~200万円。

■VW ゴルフR32

VW ゴルフR32

ゴルフといえば、先述したとおりハッチバックの世界的指針であり、「GTI」はホットハッチの代表モデルである。ただ、そんな由緒正しいモデルにも狂ったグレードが存在してしまうのがハッチバックの奥深さ。ゴルフのコンパクトなボディに250psを発生する3.2LのV6エンジンを積み、トラクションを稼ぐべく4WD化させたマシンがR32だ。R32は4世代目と5世代目に存在する。ただ、3世代目にも2.8LのV6エンジンを搭載するVR6という「マグマハッチ」があった。6世代目からはダウンサイジングという時代の流れによって大排気量エンジンを搭載するゴルフは消滅した。紹介するのは最後のR32となる5世代目。中古車流通量は12台前後でAT/MT比率は7:3。中古車価格帯は80万~230万円。

-おまけ-
大衆などまったく眼中にない常識を超えたスーパープレミアムマグマハッチを発見!


■フェラーリ GTC4ルッソ(現行型)

フェラーリ GTC4ルッソ

ハッチバック402モデルの中にちゃっかり紛れ込んでいるぶっ飛びモデルを発見。泣く子も黙るプレミアムブランド「フェラーリ」のGTC4ルッソ 6.3 4WDなるモデルだ。その新車時価格は大衆を完全に無視した3470万~3608万円。690psを発生する6.3LのV12エンジンを搭載するが、構造上はれっきとした4人乗りハッチバック。なんと、こんな化け物マシンまで有するハッチバック、奥が深すぎる。中古車流通量13台。中古車価格帯は……どうぞごらんください(笑)。

文/EDGE編集部、写真/柳田由人、VW、ルノー、ホンダ、アルファロメオ、BMW、フェラーリ