中古車平均価格80万円台も、細部に宿る先進的クオリティの高さに注目したい「アウディA1(初代)」
2020/10/15
車には、スペック表やカタログでは推し量れない評価ポイントがある。それはフォルムを形成するデザインだったり、外からは見えない機械的部分であったり、車自体のクオリティだったりする。
そういった車の細部に宿る“こだわり”にフォーカスする企画。
今回は、アウディ A1(初代)に秘められた“こだわり”に注目したい。
“こだわり”に共感できたならば、所有の満足度はより高いものとなるはずだ。
エントリーモデルではあり得ない質感【アウディ A1】
ユーザーが車を買う際の選択基準には「品質」があるだろう。デザイン、コストパフォーマンス、燃費、安全性ほど重要視しない人も多いが、それを重視する人もいる。
乗った瞬間に感じる場合もあるし、乗り続けることでしみじみと分かってくるケースもある。一言で言えば「いいもの感」だ。触れたときの質感、動かしたときの操作感、これらの「質感」という概念を創り上げてきたメーカーが“AUDI”というブランドである。
内装に使われる素材へのこだわり、プレスラインなどのクオリティの高さは、他の自動車メーカーにも大きな影響を与えてきた。今日の大衆車に、質感の高いモデルが次々と登場している大きな理由になっていると言えるはずだ。
アウディは、最も身近に感じるインテリアの質感から独特の哲学を打ち出した。着想からだと20年以上の積み重ねがある。特に2代目A6、先代TTが分かりやすい例だろう。
例えば、A6はダッシュパネルをマットな風合いにし、送風口のフィンもできるだけ重みのある素材を使いつつ薄さを強調していた。見た目だけでなく、操作したときのしっとりとした動きを実現していた。
オーディオをはじめとするスイッチ類は、隣同士の隙間を限界まで狭めてシャープさを演出し、触れると見た目以上に重厚感を感じられるように作られていた。パワーウインドウのスイッチは1mm以内の動きに対して連続的な段階があるようなフィールになっていたのだ。
翌年に登場した初代TTも質感の高さを大きな武器にしていた。
アルミニウムダイキャストと、ビレット(塊)の板材から削り出したセンターコンソールのステーなど、どこを切り取っても「いいもの感」がある。マットな結晶塗装のため、一見すると硬そうなダッシュパネルも触れるとソフトという素晴らしい出来栄えであり、送風口のダイヤル調整は精密を感じさせた。
アウディには、採算よりもブランドイメージを作り上げることに重きを置いた素晴らしい小型車がある。それがエントリーモデルとして2011年に日本で発売されたA1である。
メタルを感じさせる風合いが随所に施され、ボディに関しても、張りのある丸みを基調としながらキッチリとエッジの効いた面を作り、フロントをロングノーズに見せるデザインに。
プレス技術と塗装に関しても日本車に比べると10年以上先取りしたキレイな作りになっている。もちろん、インテリアの随所にA6やTTで見られたこだわりや哲学が込められていた。A8のような旗艦モデルに見劣りしない質感の良さを、最もリーズナブルなA1に用意したのだ。
発売から10年が経過しようとしているが、このセグメントでとびきりの質感は今見ても国産のプレミアムブランドと比べて、作りの良さでは際立っている。
中古車なら価格も魅力的だし、なによりも長く所有したくなるエッセンスが初代A1には隠されている。細部に質感を宿す、A1に注目してみてはいかがだろうか。
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