オデッセイ▲ホンダのフラッグシップミニバンであるオデッセイ。新車販売が復活した今、中古車相場はどうなってる?

販売が再開された5代目オデッセイ

初代の登場以来、生産を担ってきた狭山工場が閉鎖されたことに伴い、国内市場での製造販売をストップしていた5代目オデッセイが復活した。先行予約は9月からすでに受付中だ。

新車価格は480万400円~516万4500円と、5代目の販売終了時の新車価格からおよそ50万円ほどアップしている。また、納期は3ヵ月~半年程度という状況。(いずれもオフィシャルサイトによる)

一部改良し再販売されている新型はフロントデザインの小変更、シートの快適性向上、またホンダセンシングの機能追加などが行われている。

ただしパワートレイン等は、生産終了時のものと大きくは変わらない。そういった理由からお得な価格で手に入り、かつ納期も短い中古車にも注目したい。

この記事では、2013年11月~2022年9月の間に生産された5代目オデッセイの概要を紹介するとともに、オススメ中古車の選び方をガイドする。

オデッセイ ▲販売再開後のモデルも外観はほぼ共通。スタイリッシュな外観と使い勝手の良さは歴代オデッセイ共通の魅力だ
 

オデッセイとはどんな車?

オデッセイ ▲5代目ではスライドドアが採用されて乗降性が向上した

5代目のオデッセイは、歴代モデルの中でも大きな転換期となったモデルだ。歴代モデルで初めて両側スライドドアを採用。全高も1695~1725mmと、一般的なミニバンに近いサイズとなった。

そのうえで燃料タンクを薄型化するなどの工夫で低床化を実現し、広い車内空間をゲット。乗車定員は4代目の2-3-2(7人乗り)から、2-2-3(7人乗り)もしくは2-3-3(8人乗り)へと変更された。

オデッセイ ▲7人乗り仕様のキャプテンシートは、オットマンや中折れ機構付きシートバックを備えた豪華仕様

基本骨格の変更に伴って、サスペンション構造も一新。従来の前後ダブルウィッシュボーン式から、前マクファーソンストラット式・後リジッド式(FF)もしくはド・ディオンアクスル式(4WD)へと変更されている。

全高は高くなったが、重心を低く抑えたことで運動性能は良好だ。ZFザックス製の振幅感応型ダンパーの採用などで、上質な乗り味がもたらされた。5代目はオデッセイらしいスポーティさを維持しながら、ミニバンの利便性を両立させたモデルと言えるだろう。

 

オデッセイのパワートレイン/グレードによる違い

オデッセイ人気を高めた特徴的な仕様といえば、スポーツモデルである「アブソルート」。5代目も標準モデルと「アブソルート」の2本立てとしている。主なグレード展開は下記のとおり。

グレード名 エンジンタイプ 駆動方式 乗車人数 特徴
B ガソリン FF/4WD 8人 ベーシックグレード
G ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人 快適装備を充実させたグレード
G EX ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人(4WD) 最上級グレード
ハイブリッド ハイブリッド FF 7人/8人 ベーシックグレード
アブソルート ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人 専用外観、スポーツサス、パドルシフトなどを備えるスポーツモデル。装備は「G」相当
アブソルート EX ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人(4WD) 専用外観、スポーツサス、パドルシフトなどを備えるモデルの最上級グレード。装備は「G EX」相当
ハイブリッド アブソルート ハイブリッド FF 7人/8人 スポーツモデル
ハイブリッド アブソルート EX ハイブリッド FF 7人 最上級グレード
グレード名 エンジンタイプ 駆動方式 乗車人数 特徴
B ガソリン FF/4WD 8人 ベーシックグレード
G ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人 快適装備を充実させたグレード
G EX ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人(4WD) 最上級グレード
ハイブリッド ハイブリッド FF 7人/8人 ベーシックグレード
アブソルート ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人 専用外観、スポーツサス、パドルシフトなどを備えるスポーツモデル。装備は「G」相当
アブソルート EX ガソリン FF/4WD 7人(FF)/8人(4WD) 専用外観、スポーツサス、パドルシフトなどを備えるモデルの最上級グレード。装備は「G EX」相当
ハイブリッド アブソルート ハイブリッド FF 7人/8人 スポーツモデル
ハイブリッド アブソルート EX ハイブリッド FF 7人 最上級グレード
 オデッセイ ▲アブソルートはスポーティモデルであるだけでなく、上位グレードに位置づけられる

パワートレインでは当初、2.4Lガソリンエンジンi-VTEC仕様のみだったが、2016年2月に2.0Lガソリンエンジンi-VTEC仕様+2モーターのハイブリッドである「スポーツハイブリッドi-MMD」が追加された。

 

オデッセイの年式による違い

5代目オデッセイはデビュー~2020年10月の前期型と、2020年11月以降の後期型で外観の印象が全く異なる。

前期型では歴代モデルを意識したスマートな外観だったが、後期型ではフロントセクションのほとんどを新規に設計。ボンネットフードの厚みを増したうえでフロントグリルを大型化、ヘッドライトを薄型化し、迫力を重視したデザインとなった。

その他の主な変更点は以下のとおりだ。

・2014年5月:「G エアロパッケージ」追加
・2015年1月:衝突被害軽減ブレーキなどをパッケージした「ホンダセンシング」を一部仕様に装備。「B」グレードを廃止
・2016年2月:ハイブリッド車を追加
・2017年11月:「ホンダセンシング」を全仕様に標準装備化するとともに、機能を充実。フロントバンパーやグリルのデザインを変更
・2020年11月:フロントまわり、リアコンビランプのデザインを一新。インパネのレイアウトを変更。ジェスチャーコントロールパワースライドドア、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートを採用(「EX」以上のグレード)。ハイブリッド車の呼称を「e:HEV」に変更。ラインナップを「アブソルート」系のみに集約

オデッセイ ▲デビュー直後の外観はボンネットが傾斜したシャープなデザイン

2020年11月の変更では外観が変わっただけでなく、装備面も大幅に充実した。なお、このタイミングでハイブリッド車の名称が「e:HEV」へと変更されているが、内容は前期型と共通だ。

先進安全装備である「ホンダセンシング」は比較的早い時期から採用されていたものの、2015年1月~2017年10月までの期間は「G」や「アブソルート」「ハイブリッド」などのグレードには標準採用されていなかった。中古車を選ぶ際には目当ての物件に装備されているか、よく確認しよう。

オデッセイ ▲「e:HEV」は2つのモーターを備える先進的なパラレル式ハイブリッド
 

オデッセイのオススメの選び方①購入価格を抑える

現在、5代目オデッセイは中古車市場に1000台近く流通しており選択肢は豊富にあると言えるだろう。

ボリュームの多い年式はデビュー直後、走行距離では4万~7万kmの物件が充実している。中古車平均価格は180万円台で、リーズナブルな物件を見つけやすい状況だ。

そうした状況を踏まえたうえで、できるだけ購入価格を抑えるなら前期型のガソリン車「G」もしくは「G EX」が狙い目。走行距離5万km未満の物件でも、総額100万円前後から狙える。ちなみに、最廉価グレードだった「B」は中古車市場にほとんど流通していない。

例えば、2013年式・走行距離4.5万kmの「2.4 G EX(7人乗り)」で総額106.8万円。LEDヘッドライトや両側パワースライドドアなどが付いた当時の上級グレードがこの価格ならお買い得だろう。

オデッセイ ▲デビュー直後のモデルでも動力性能などは後期モデルと共通

▼検索条件

ホンダ オデッセイ(5代目) × 2013年11月~2020年10月 × 「G」系グレード & 「G EX」系グレード
 

オデッセイのオススメの選び方②装備重視

ホンダ製ミニバンのフラッグシップであるオデッセイは、ベーシックなグレードでも装備は充実している。その中でも特に高級な装備内容を誇るのがLEDアクティブコーナリングライトやマルチビューカメラ、シートヒーターなどを備える「EX」系グレードだ。

「EX」系グレードは、5代目オデッセイの中古車市場流通量全体の中で半数近くを占める。標準モデルである「G EX」はあまり流通しておらず、多くが「アブソルート EX」もしくは「ハイブリッド アブソルート EX」。「アブソルート」はスポーティモデルであるだけでなく、標準装備も豪華。実質的な最上級グレードということだ。

このグレードに限定したときの価格帯は総額80万円~。さらに「ホンダセンシング」が採用された2015年1月以降の年式、走行距離5万km以下を条件とすると、総額170万円台からのスタートとなる。マイナーチェンジ前の外観ではあるが、現行型オデッセイの最上級グレードが総額200万円以下ならリーズナブルと言えるのではないか。

▼検索条件

ホンダ オデッセイ(5代目)× 2015年1月~ × 「EX」系グレード & 「アブソルート」系グレード
 

オデッセイのオススメの選び方③新車並みのコンディションを

新車販売が再開されたオデッセイだが、できるだけ安く、早く手に入れたい人もいるだろう。そんな人には2020年11月マイナーチェンジ後の後期型がオススメ。

中古車市場には後期型だけで約100台前後が流通。ハイブリッド車とガソリン車の流通量はほぼ同等だ。年式が新しいだけに走行距離5万km未満の物件がほとんどで、価格帯はガソリン車が総額330万円前後~、ハイブリッド車は総額380万円前後~。

新車価格より20万円近く安い物件もある。

後期型は全車「アブソルート」であり、新車価格帯も前期モデルより上がっていた。再販モデルと装備面で若干の違いはあるが、外観や走行性能はほとんど変わっておらず、中古車のオトク感が高い。

 オデッセイ ▲後期型はラインナップがシンプルになり、ベーシックなグレードでも装備が充実している

▼検索条件

ホンダ オデッセイ(5代目)× 2020年11月~2022年9月

※記事内の情報は2023年12月7日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ホンダ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。