全てにおいて“サラリ”とした味わいを放つ高級サルーン

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コンセプト

今だから入れておきたいプジョーのフラッグシップ

近頃、ここ日本では史上最高の販売台数を更新しまくりと、とにかく絶好調のセールスを続けるプジョー。その原動力はなにはともあれ小型車の206シリーズだ。

が、これだけお馴染みいただいたからには、小さいのだけでなく大きいのも全部面倒みます、という体制を敷いときたいというのがプジョー側の本音。フルラインメーカーとしての認知度向上や商機の拡大を図るに、確かに現在は絶好のタイミングである。

というワケで今回導入されたのは、M・ベンツEクラスやBMW5シリーズと同級となるプジョーの最高級サルーン、607シリーズ。欧州ではすでに2年前より市場投入されているが、初期の不具合が改善され、車が熟成された今こそ日本導入のいい機会、とプジョー側はアナウンスしている。
室内&荷室空間

日本車に迫る充実装備。注文色も豊富に用意

日本でいうトヨタクラウン/日産セドリックのようなカンパニーカー的ニーズを、本国で担う607。それだけに室内空間、荷室空間ともに十分すぎるほどの容量が取られている。特にトランクの大きさ(600L)は少し劇的。そのうえ、欧州車らしくリアシートは分割可倒式となっており、これでもかの積載量を誇る。

装備についても不満はない。CD-ROMタイプのナビを含め、あらかたのアメニティは標準で用意。グレードは2種類あり、スポーツはファブリックシートの黒内装に白メーター、コンフォートはボディカラーに応じて3色の本革シートと2色の内装に黒メーターを装備する。そのボディカラーは標準3色、注文5色の計8色が用意。注文色に別途代金がかからない点は好印象。タイヤサイズも2種用意される。
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ドライブフィール

ライバル車とは一線画す、上品なドライブフィール

まず嬉しかったのは、プジョーの命である上質なステアリングフィールが戻ってきたということ。ドイツ系のゴリッとしたタッチに慣れた人は“軽すぎ”と感じるだろうが、回転時の弾性にはヤミツキ系の心地よさがある。それにもかかわらず操舵に対して応答や情報が薄いというわけではない。不利なFFでよくここまでの味を出せるものだ、と感心させられる。

電子制御のサスは、後部に人や荷物などが載った一定のロードを想定しているため、1人乗車ではやや尻軽な印象。ただし605の美点であった“サラリ”とした優しさは十分に引き継がれている。エンジンは低回転域のマネジメントが相変わらずでやや雑味が残るが、中~高回転での吹け上がりは滑らかかつ軽快。動力性能的にも車のキャラにマッチしている。
こんな人にオススメ
個人的には、406セダンと並ぶベストプジョーであり、サーブ9-5と並ぶこのクラスの大穴物件だと思う。ドイツ車も飽きたなあというような人には、ぜひ一度触ってもらいたい。というわけでお勧めしたいのはコンフォート。装備を考えればお値頃感も高く、標準装着タイヤとのマッチングもベターだと思う。
SPECIFICATIONS
グレード コンフォート
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4875×1830×1460
ホイールベース(mm) 2800
車両重量(kg) 1610
乗車定員 5人
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2946
最高出力 152kW(206ps)/6000rpm
最大トルク 285N・m(29.0kg-m)/3750rpm
車両本体価格 498.0万円
写真:橋本 玲 文:渡辺敏史