▲シトロエンのWTCCドライバー、イヴァン・ミューラーの運転するピカソに同乗して鈴鹿サーキットを走る機会に恵まれた。大人4人を乗せての全開走行。縁石にのってカウンターを当てて……ドライバーも凄いがもはやミニバンとは呼べないピカソの走りに驚いた ▲シトロエンのWTCCドライバー、イヴァン・ミューラーの運転するピカソに同乗して鈴鹿サーキットを走る機会に恵まれた。大人4人を乗せての全開走行。縁石にのってカウンターを当てて……ドライバーも凄いがもはやミニバンとは呼べないピカソの走りに驚いた

唯一無二の存在。ミニバンではなくピカソである

「空とドライブするように」

後席に座って上を見上げたとき、広報担当氏がそう表現していた意味がはっきりとわかった。5.7平方メートルもの広さをもつガラスルーフの効果は圧倒的。紅葉と空のコントラストに感動した。

7年ぶりにフルモデルチェンジされた2代目C4ピカソには、7シーターの「グランドC4ピカソ」と5シーターの「C4ピカソ」の2モデルが用意されている。この5シーターと7シーター、顔つきはとても似ているものの、全長も全高もホイールベースも異なるためサイドやリアスタイルの印象は大きく違う。実はそれぞれ別のデザイナーが担当したというから面白い。

▲5人乗りよりリアホイールを55mm後方に配置。セグメント最長のホイールベースを確保した ▲5人乗りよりリアホイールを55mm後方に配置。セグメント最長のホイールベースを確保した

それは見た目だけでなく、乗り味の違いにも現れている。7シーターの方がよりしなやかだ。いずれもその操縦安定性の高さ、懐の深さに驚く。ゆっくり走っても、飛ばしてもいい。

PSAが新開発したプラットフォームEMP2に新型1.6LターボとアイシンAW製6速ATを組み合わせる。動力性能に何ら不足はない。先代では不満の残ったロボタイズドミッションが最新のトルコンATとなったことは、多くの人にとって朗報だろう。

“テクノスペース”をコンセプトに先代のファニーな印象とはまったく異なる内外装デザインをまとってはいるが、シトロエンらしい乗り味も独創性も何ら変わらない。国産ミニバンとは明確に一線を画す。

▲ツートーンのナッパレザーシートをオプションで用意。室内スペースは広くなり、全席独立したシートが備わる ▲ツートーンのナッパレザーシートをオプションで用意。室内スペースは広くなり、全席独立したシートが備わる

ピカソじゃなきゃダメなんだとモデルチェンジを心待ちにしていた人たちも、ロボタイズドであることが気がかりであと一歩踏み込めなかった人たちもきっと納得のモデルである。

シトロエンの門戸はこの新型グランドC4ピカソで大きく開かれた。

▲2/3列目はヘッドレストを外さずにワンアクションで収納。ラゲージ容量は通常645L、最大2181Lとされた ▲2/3列目はヘッドレストを外さずにワンアクションで収納。ラゲージ容量は通常645L、最大2181Lとされた

【SPECIFICATIONS】
■グレード:Exclusive ■乗車定員:7名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1598cc
■最高出力:121(165)/6000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:240(24.5)/1400-3500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4600×1825×1670(mm) ■ホイールベース:2840mm
■車両重量:1550kg
■JC08モード燃費:14.6km/L
■車両本体価格:378万円(税込)

text/藤野太一 photo/向後一宏