「バーゲン価格」で乗れる、全方位魅力的な4座オープン

↑フード開閉の所要時間は約30秒。ハードトップは3分割リトラクタブル式を採用する(左)木目が美しいセンタースタックは、ボルボ新デザインの象徴。ルーフの開閉や車速に合わせて音量、トーン設定を行うDYNAUDIOのスピーカーシステムを採用する(右)
リトラクタブルハードトップのオープンカーと言えば、便利だしセキュリティ上も安心だけど、大きなルーフを収納する都合上、率直に言ってカッコ良さは今イチということが多い。しかしボルボC70は別。開けても閉めてもそのスタイリングはきわめてエレガントだ。

そんなC70のフェイスリフトは、外観に大胆な変更を加えている。ボンネットのV字が強調され、目つきもシャープになったフロントマスク、LEDテールランプが印象的なリアビューは華やかな印象。従来わかりにくかったS40/V50などとの違いもグッと明確にしている。

インテリアも、実はダッシュボードを一新。メーターフードの形状や表面のシボなどが改められている。ウォッチダイヤルと名づけられたアルミベゼルのメーターも良い雰囲気だ。

今回からラインナップは最高出力230psの2.5Lターボエンジンを積むT5 GTに一本化された。それを含めて走りに関する部分の変更はアナウンスされていない。しかし実際には、その印象ははるかに洗練されていた。

たとえばステアリングレスポンスは明らかに向上しており、乗り心地もドタバタとした感じがなくなって上質に。エンジンも実用域でのツキが良くなりアクセルを深く踏み込まなくても気持ち良く加速してくれるようになった。踏めば速いが、ゆったり流しているだけで気持ち良さに浸れる。何でもない角を曲がるだけで頬が緩む。そんな熟成の味わいを堪能できるのだ。

風の巻き込みも小さい、爽快オープン

  • ボルボ C70 内装|ニューモデル試乗
  • ボルボ C70 エアインテークとアイアンマーク|ニューモデル試乗
↑横転保護システムと衝突時に頭部を保護するカーテンエアバッグを装備(左)一目でボルボと認知させるため大型化されたエアインテークとアイアンマーク(右)
ルーフを開ければボディの剛性感は多少落ちて、ステアリングやフロアに微振動を感じることもあるが、それとて不快にさせるほどではない。むしろ寝すぎていないフロントウインドウのおかげで目線の上のほうがよく見渡せ、4座オープンとしては風の巻き込みも小さいことなど、爽快感のほうが先に立つという印象である。

この新しいC70は価格も戦略的だ。549万円の車両価格は先代ターボより50万円も安いのだ。ドイツのライバルたちが軒並み700万円以上のプライスタグを掲げていることを考えれば、まさにバーゲンと言っていい。それでいて装備は一層充実。左右ドアに内蔵したカーテンエアバッグ、シートベルトプリテンショナーの前席だけでなく後席への採用など、持ち前の安全設計にも揺るぎはない。

まさに全方位に魅力を増したC70。4座オープンカーの購入を検討している人にとって、間違いなく見逃せない一台である。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード T5 GT
全長×全幅×全高(mm) 4615×1835×1405
車両重量(kg) 1730
エンジン種類 直5DOHCターボ
総排気量(cc) 2521
最高出力[ps/rpm] 230ps/5000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 32.6kg-m/1500~5000rpm
車両本体価格 549万円
Tester/島下泰久 Photo/河野敦樹