▲23年の歴史に幕を下ろすランエボシリーズ。雨のサーキットで、最後までその走行性能は一線級のレベルだった ▲23年の歴史に幕を下ろすランエボシリーズ。雨のサーキットで、最後までその走行性能は一線級のレベルだった

スタビリティをさらに進化させた「最後のランエボ」

1992年の登場から23年、ついにシリーズ最後となるランサーエボリューション ファイナルエディションが発表された。1000台限定での販売だが、すでに完売状態。電子制御を駆使し、どんな路面でも強力な駆動力を維持する4WDシステムと熟成を重ねたターボエンジンがどんな走りを見せてくれるのか。

雨が降り、コース上の所々に水が溜まるサーキット上での試乗だった。今回のようなコンディションでは、4輪すべての駆動力や制動力をコントロールする電子制御システムS-AWCが力を発揮する。

搭載されている走行支援システムをすべてオンにし、何度もオーバースピードで進入してその性能を確かめた。中でもS-AWCを構成する1つである「アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)」の威力を感じた。

AYCは後輪の左右の駆動力を別々に制御することで高い旋回性や走行安定性を実現する電子制御デバイスだ。このおかげでコーナーでアクセルを踏んだ際も車が安定感を保ちつつ、ドライバーの操作によく反応してくれる。

電子制御システムに関してはベース車のランサーエボリューション Xと大きな違いを感じたわけではないが、その実力は健在であった。

また改良を施されたエンジンの性能が最も感じられるのはコーナーでの立ち上がりだ。加速がとてもスムーズなのだ。出力アップを果たしながらも扱いやすさはそのままであるから、アクセル操作に神経質になる必要がない。急激にトルクが出るということがなく、スムーズな加速感を実現している。

こうした4WD技術やエンジン作りのノウハウは、今後の三菱の車作りに生かされると聞く。そのレベルの高さはベース車の登場から8年を経てなおこの車が一線級の走りを見せてくれたという事実が証明しているであろう。

▲エンジンの冷却効率をアップさせ、最高出力はベース車から13ps増の313psとなった ▲エンジンの冷却効率をアップさせ、最高出力はベース車から13ps増の313psとなった
▲ボディカラーはカタログカラーのレッドメタリック(写真)の他、新色のチタニウムグレイメタリックを含め全5色。ルーフをブラックにした2トーンカラーも選べる ▲ボディカラーはカタログカラーのレッドメタリック(写真)の他、新色のチタニウムグレイメタリックを含め全5色。ルーフをブラックにした2トーンカラーも選べる
▲ベース車ではオプション設定となっていたBBS社製のアルミホイールを標準装備。ホイール本体はダーククロームで、文字色はゴールドの専用塗装となっている ▲ベース車ではオプション設定となっていたBBS社製のアルミホイールを標準装備。ホイール本体はダーククロームで、文字色はゴールドの専用塗装となっている
▲リアには専用のエンブレムを装着している ▲リアには専用のエンブレムを装着している

【SPECIFICATIONS】
■グレード:ファイナルエディション ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1998cc
■最高出力:230(313)/6500[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:429(43.7)/3500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:5MT
■全長×全幅×全高:4495×1810×1480(mm) ■ホイールベース:2650mm
■車両重量:1530kg
■JC08モード燃費:10.4km/L
■車両本体価格:429万8400円(税込)