ルノー メガーヌ▲最近のホットハッチは走行モードを選ぶことで、サーキット走行から日常のお買い物まで1台でこなせる車が多い。写真のルノー メガーヌ ルノー・スポールの場合コンフォート/ニュートラル/スポーツ/レース/パーソナル(好みを設定可能)の5つのモードから選べる

「M」や「AMG」以外にもたくさんある、カリッとしたチューンドカー

フォルクスワーゲン ゴルフの電気自動車が日本に導入されたのは、もう2年も前のことだ。

プジョー 208の電気自動車も間もなく日本にやってくる予定だし、ボルボ XC40やミニの電気自動車も発表されている。

先日、国連本部で開かれた「気候行動サミット」では、スウェーデンの16歳少女の環境活動家が環境問題に対し、全世界に向けて積極的に、そして力強く訴えたことが話題となった。

もはや“ホットハッチ”なんて言葉を口に出すのは、車好きのおっさんくらいなものだ。

けれど、絶滅の恐れがあるからこそ、ホットハッチに再び胸が熱くなる。そんな私のようなおっさんだっているはずだ。

そもそも電気自動車を作る一方で、いまだにガソリンエンジンをカリッとチューンして、さらに性能を高めたホットハッチを作っているメーカーもある。

メーカー系のチューンドカーの定番といえば、BMWのMモデルやメルセデス・ベンツのAMGが特に有名だけど、フランス勢をはじめ、本来モータースポーツに積極的な自動車メーカーは多い。

そこで今回は、あえてMやAMGといった定番「以外」が手がける、メーカー直系のモータースポーツ部門が手がけたホットハッチに注目してみた。

サスペンションの進化や、走行モードを選択できる機能などで、ホットハッチが人気を得ていた80~90年代よりは快適な乗り心地を実現しているものも多く、より精緻なマシン感をもち戦闘能力が高いモデルが多い。

そんな新時代のメーカー系がチューンした現行型のホットハッチ、今のうちに乗ってみてはいかがだろうか。
 

ラリーの名門が手がけた渾身のホットハッチ
プジョー 308 GTi270/250 バイ プジョー スポール(現行型)

プジョー 308▲ボディカラーはホワイトやブラックを含め全6色。うちレッドとブラックのツートーンは270専用のオプションとなる。足元には19インチのアルミホイールが用意されたが、270と250ではデザインが異なる

後にフェラーリのF1黄金時代を築くことになる名将ジャン・トッドが、フェラーリの前に名車205ターボでWRCを席巻したのは80年代のこと。その流れを今に受け継ぐモータースポーツ部門が、プジョー スポールだ。

2014年に登場した308をベースに、2016年に追加された308 GTi バイ プジョー スポール。

最高出力270psと250psに分けてチューニングした2種類の1.6Lターボマシンを用意した。グレード名のGTiの後ろに入る270や250という数字がそれぞれのチューニング内容を示している。最大トルクはいずれも300N・mだ。

チューニングにあたり、エンジンのシリンダーブロックは耐久性を高め、ピストンヘッドにアルミ素材を採用。さらにツインスクロールターボを備えた。

これに6速MTが組み合わされ、専用サスペンションの他、270馬力のマシンはトルセンLSDも備わる。2017年のマイナーチェンジで270psモデルのみとなった。

デビュー時の車両本体価格は、270psバージョンが436万円、250psバージョンが385万円。

原稿執筆時点(2019年10月28日)で15台見つかったが、そのほとんどが走行距離1万km未満。2019年式と新しい物件でも、支払総額約330万円から見つかる。

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プジョー 308 GTi270/250 バイ プジョー スポール(現行型)×全国

FF最速タイムを更新したマシンの日常使い用バージョン
ルノー メガーヌ ルノー・スポール(現行型)

ルノー メガーヌ▲メガーヌGTに対してフロント/リアともフェンダーを広げ、そこに19インチホイールを収める。専用バンパーやリアスポイラーなど専用装備もふんだんに用いられている。ボディカラーは写真のオレンジを含む3色

デビューのたびにニュルブルックリンクで最速タイムにアタックしているのが、メガーヌ ルノー・スポール トロフィーRだ。2019年4月に、現行型トロフィーRでもFF最速タイムを更新した。

そんなアタックマシンのベースとなっているのが、メガーヌ ルノー・スポールだ。

日本導入は2018年。トロフィーRはリアシートを取り外すなど徹底的な軽量化が施されているが、こちらは5人乗りなのはもちろん、衝突被害軽減ブレーキを標準装備する他、トランスミッションは6速AT、走行モードもレースからコンフォートまで5パターンが用意されていて、コンフォートやニュートラルなら街乗りも十分こなせる。

現在もF1に参戦しているルノーだが、そのモータースポーツ部門ルノー・スポールが手がけた1.8Lエンジンは最高出力279ps/最大トルク390N・mを発揮。

サスペンションにはHCCと呼ばれるダンパーを組み込み、四輪の操舵角をコントロールすることでワインディングでは俊敏に、高速コーナーでは安定性を高める4コントロールが備わる。その他、ローンチコントロールや電子制御式デフも備えられている。

デビュー時の車両本体価格は440万円。原稿執筆時点で10台が見つかったが2018年デビューゆえ、走行距離は5000km未満で支払総額は400万円以上となる。
 

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メガーヌよりコンパクトで、手頃なスペシャルモデル
ルノー ルーテシア ルノー・スポール シャシー スポール/シャシー カップ(現行型)

ルノー ルーテシア▲F1技術を用いたリアディフューザーやリアスポイラーなど、空力を考慮した専用パーツがボディを飾る。シャシー スポールは17インチ、シャシー カップは18インチのアルミホイールを履く。ボディカラーは全5色

メガーヌよりひと回り小さいルーテシアにも、ルノー・スポールが手がけたチューンドカーが存在する。日常の使い勝手も考慮したシャシー スポールと、スポーツ性能をより高めたシャシー カップだ。

シャシー カップはシャシー スポールに対し全高が3mm低められ、スプリングレートも高められている。それ以外のメカニカルな装備は両車ほぼ同じだ。

搭載されるエンジンはどちらも1.6Lターボで、最高出力200ps/最大トルク240N・mを発揮。組み合わされるトランスミッションは6速ATで、ノーマル/スポーツ/レースの3つの走行モードを選択できるのも両車共通だ。

フロントサスペンションにはHCCと呼ばれるダンパーを組み込み、最適なグリップと快適な乗り心地を両立させている。また、メガーヌ ルノー・スポール同様、電子制御式デフやローンチコントロール機能も搭載している。

デビュー時の車両本体価格は、シャシー スポールが299万円、シャシー カップが309万円。

2013年に日本デビューとメガーヌよりも長く販売されているため、原稿執筆時点で21台見つかった。

走行距離10万km近くの中古車なら支払総額約100万円、5万km未満なら約150万円から探すことができる。

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四輪で軽快なコーナリングや力強い加速で人気のモデル
フォルクスワーゲン ゴルフR(現行型)

フォルクスワーゲン ゴルフR▲エコモードを選ぶとコースティング(クラッチを切って燃費を良くする)機能が働くなど、低燃費もウリのひとつ。JC08モード燃費は14.4km/L。専用18インチホイールを履き、リアから左右2本(計4本)のエグゾーストパイプがのぞくのがRの証しだ。ボディカラーは全4色

フォルクスワーゲンのスポーツモデルを一手に手がける、フォルクスワーゲン R GmbH。

ポロで2013年にWRCへ参戦するとそこから4連覇を果たすなど、輝かしい戦歴を誇る同社が生み出す高性能な市販車モデルが「ゴルフR」だ。

R32から数えて3代目となるゴルフRは、2014年に日本へ導入された。

搭載されるエンジンは最高出力280ps/最大トルク380N・mを発揮する2Lターボ。デビュー時には4WDと6速ATが組み合わされ、2017年のマイナーチェンジでは6速から7速ATに変更され、さらに性能がアップした。

コンピューター制御された4WDシステムは、瞬時に最適なトルクを前後に配分することで、どんな悪条件でも常に路面をつかんでコーナーも直線も駆け抜ける。

走行モードはR専用の「レース」を加えた5種類から選べ、サーキット走行から低燃費走行まで幅広いシーンをこなせる1台になっている。

もちろん、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術も標準で装備する。

デビュー時の車両本体価格は510万円。

人気車かつ導入から5年たつゆえ、原稿執筆時点で70台以上見つかった。2014年式・走行距離約5万kmで支払総額は約250万円といったところ。
 

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やっと日本にも導入されたスペシャルハッチバック
アウディ RS3スポーツバック(現行型)

アウディ RS3スポーツバック▲前後トレッドを拡幅し、それに伴いフェンダーが拡大したボディ。専用デザインの19インチホイールを履く。車高はベース車より25mm低い

WRCやルマン24時間耐久レース、本国ドイツでのDTM、さらには昨年からフォーミュラーEにも参戦するなど、モータースポーツに積極的なアウディ。

それらレース技術を市販車にフィードバックしているのが、アウディスポーツ(旧クアトロ)社だ。

そんなアウディスポーツが手がけた、A3スポーツバックの高性能モデルがRS3スポーツバック。

実は先代のA3スポーツバックにも存在したのだが、日本導入は見送られていた。2013年に現行型が導入されたのに続き、2015年ようやく日本にもRSがやってきたというわけだ。

搭載されるエンジンは2.5L直5ターボ。最高出力367ps/最大トルク465N・mを発揮し、0-100km/hは4.3秒と本格スポーツカー同様の俊足を誇る。

2017年のマイナーチェンジで最高出力400ps/最大トルク480N・m、0-100km/hは4.1秒に向上している。

7速ATと同社自慢の4WDシステム「クワトロ」が組み合わされる。ローンチ機能や走行モードを選べる機能を標準装備し、サーキット走行から街乗りまで対応している。

オプションの可変式ダンパー「マグネティックライド」を装備すれば、さらに乗り心地がしなやかに。

デビュー時の車両本体価格は756万円。現行執筆時点で15台見つかり、2016年式・走行距離約7万円で支払総額約400万円から見つけることができる。

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名チューナーの魂を受け継ぐハイパフォーマンスモデル
ミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークス(現行型)

ミニ ミニクーパー▲専用のエアロパーツをまとい、専用デザインの17インチホイールを履く。ブレンボ製ブレーキのキャリパーにはJCWのロゴが国威されている。3ドアのみ

ジョン・クーパーとは、かつてクラシックミニをチューニングしてラリー界を席巻した名チューナー。

時々、ミニを見て「クーパー!」と呼ぶ人がいるが、本来は人の名前だ。「ミニ クーパー」とは彼が手がけたミニか、彼の名を冠したミニのグレードを指す。

ミニがBMW製になっても、ジョン・クーパーの名はJCW(ジョン・クーパー・ワークス)として残った。JCWはミニの高性能モデルにのみ冠される名前だ。

現行型ミニには2015年に追加された。専用の2Lターボエンジンは231ps/350N・mを発揮。これに6速MTか6速ATが組み合わされ、2018年のマイナーチェンジでATは8速となった。

専用サスペンションや車両姿勢を制御するDSCを装備。加えてコーナリング中に瞬時に最適なトラクションを得られるEDLCを備え、コーナーをグイグイと曲がっていける。

走行モードは、スポーツ/グリーンの2モードから選べる。

デビュー時の車両本体価格は、398万円(6速MT)/415万円(6速AT)。

原稿執筆時点で80台以上見つかり、2015年式・走行距離約1kmが支払総額約280万円で探すことができる。

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ミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークス(現行型)

ホットハッチの乗り心地が、胃袋を揺さぶられるようだったのは遠い昔の話。

特に最新モデルはとてつもなく速いのに、助手席の人にも優しい乗り心地だ。

夫が週末に走りを楽しむ一方で、普段は妻が買い物に使う、なんて1台にはピッタリだ。

文/ぴえいる、写真/プジョー、ルノー、フォルクスワーゲン、アウディ、BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。