▲誕生から30年を迎え、期間限定で日本に復活したランドクルーザー70。世界の極地で活躍する名車を、再び存分に味わえることとなった ▲誕生から30年を迎え、期間限定で日本に復活したランドクルーザー70。世界の極地で活躍する名車を、再び存分に味わえることとなった

長く愛されるモデルならではの懐の深さ

私が最後に70系のヘビーデューティ仕様の新車に試乗したのが1998年である。そのときのメモに「簡素にして盤石な乗り味と信頼性がにじみ出ている」と書いてある。当時は前後ともにリーフスプリング仕様だったが、乗り心地はわかりやすく、この手の車ではいちばん好感が持てた。今回復活したのは5ドアバンと4ドアピックアップの2タイプだ。

まずは荒々しいオフロードコースから。大きな岩が混じったV字溝のセクション。オプション装備の前後デフロックの出番だ。まずリアデフをロックする。操作はインパネのダイヤルを切り換えるだけ。トランスファーを四輪駆動ローモードにし、ギヤを1速に入れる。アイドリングでも力強く、まるで力士のすり足のようにのっしりと進む。だが後輪デフロックのみでは抜けられない。続いて前輪もロック。今度は大丈夫。モリモリと前進しV字溝セクションを脱出した。

▲強靭なラダーフレームと足回り、そして熟成された機構により、大きな凹凸も楽々超えていく ▲強靭なラダーフレームと足回り、そして熟成された機構により、大きな凹凸も楽々超えていく
▲リアには頑強なリーフスプリングを採用。オフロードでの高い走破性を実現する装備だ ▲リアには頑強なリーフスプリングを採用。オフロードでの高い走破性を実現する装備だ
▲激しく車体が振動する中でもメーターやインジケーター類を確認しやすいように、アナログメーターを装備している ▲激しく車体が振動する中でもメーターやインジケーター類を確認しやすいように、アナログメーターを装備している

最近の4WDの多くはフルタイム式で運転しやすいが、究極な場面では生かされない。信頼性では70系のように機械的に直結したパートタイム4WDが最強だ。普段使いにはトゥーマッチだが、これだけのポテンシャルを持ち合わせているマシンであるということは記憶にとどめておきたい。

オンロードでもオフロードでも盤石な乗り心地を獲得

一般道でも思いのほか乗り心地は快適だ。リーフスプリング特有の大らかなダンピングは車の動きがわかりやすい。乗り心地を一層まろやかにしてくれるシートは最近の乗用車では得られないフィールだ。簡素にして盤石な乗り味は変わっていなかった。ただし高速で走行しているときに、ドアミラーあたりからする風切り音は気になった。しかしスピードを出す車でもなかろう。無骨なデザインは視認性も良い。

どことなく乗っていると大らかな気持ちになれるのは、長く愛されているモデルゆえの懐の深さが関係しているに違いない。

▲リアシートを折りたたむと平らな荷室になる室内。手軽に荷物を取り出しやすいよう左右の2枚ドアは大きさを違えている ▲リアシートを折りたたむと平らな荷室になる室内。手軽に荷物を取り出しやすいよう左右の2枚ドアは大きさを違えている
▲積載性をさらに高めたピックアップトラック型もラインナップ。バンに比べて全長が460㎜長い ▲積載性をさらに高めたピックアップトラック型もラインナップ。バンに比べて全長が460㎜長い

【SPECIFICATIONS】
■グレード:バン ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHC ■総排気量:3955cc
■最高出力:231/5200[ps/rpm] ■最大トルク:360/3800[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:5MT
■全長×全幅×全高:4810×1870×1920(mm) ■ホイールベース:2730mm
■車両重量:2120kg
■車両本体価格:360万円(税込)

■グレード:ピックアップ ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHC ■総排気量:3955cc
■最高出力:231/5200[ps/rpm] ■最大トルク:360/3800[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:5MT
■全長×全幅×全高:5270×1770×1950(mm) ■ホイールベース:3180mm
■車両重量:2220kg
■車両本体価格:350万円(税込)

text/松本英雄 photo/尾形和美