ハイブリッドはカイエン譲りも、FRがミソ

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↑内装はほかのパナメーラと共通のデザインアイコンを踏襲。ナビやコマンドセンターの操作を行う7インチスクリーンやBOSEプレミアムオーディオを装備
ポルシェ史上で最も燃費に優れ、CO2排出量の少ないモデル…とパナメーラSハイブリッドは説明される。同社には比較的小型のスポーツカーもあるが、それらより優れた数値をこの高級サルーンが実現するのが驚き。

ハイブリッドシステムはすでに発売されているカイエンSハイブリッドと同じものを使う。つまりアウディ製の3ℓのV6スーパーチャージャー(333ps)とアイシン製8速ATの間にモーター(47ps)とクラッチを与えたものだ。違いはカイエンが4WDなのに対してこのモデルでは2WDのFRとなること。

またカイエンよりも約300kg軽量なため、燃費/CO2排出量ともに向上しており、燃費は14.7km/L、CO2排出量は159g/kmとコンパクトカー並みの実力となる。しかし0→100km/h加速は6.0秒、最高速270km/hと動力性能はまさに「ポルシェ」だ。
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↑0→100km/h加速6秒、最高速270km/hを発揮する3LV6&モーターのハイブリッドユニットは、85km/h以下で最大約2kmのEV走行を可能とする(左) 電子制御ダンパーシステム“ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム(PASM)”を標準装備。標準タイヤは18インチだが、オプションで転がり抵抗低減のために専用開発されたミシュランも選択できる(右)

ハイブリッドである前に、車として完璧

走らせて感心するのは、ハイブリッドか否かより車として優れていること。事実、教えられなければハイブリッドだと気付かない人がいそうなほど、走行感覚が自然だ。電気モーターのみで発進したり、アクセルを離すと走行中でも頻繁にエンジンをオフにする…そんな作動が知らぬうちに行われる。

このモデルがいかに静粛性が高く制御も滑らかかの証でもある。タイヤも専用開発のミシュラン製低転がりタイプだが、雨の峠を走ってもグリップが高く、言われないと低転がりと気付かない。いかにタイヤが仕事をしているか、それを実現するサスか、という証だ。結論としてこの車、まごうことなきポルシェの高級サルーン。

まずはそれを徹底して磨き上げた。その上でハイブリッドという価値がトッピングされる。これぞまさに今後の自動車としてのあるべき姿、である。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード パナメーラ S ハイブリッド
全長×全幅×全高(mm) 4970×1931×1418
車両重量(kg) 1980
エンジン種類 V6 DOHCスーパーチャージャー+モーター
総排気量(cc) 3000
最高出力[ps/rpm] 333+47/5500~6500
最大トルク[kg-m/rpm] 44.9+30.6/3300~5250
Tester/河口学 Photo/ポルシェジャパン