きすけ3318さん(静岡県)
投稿日: 2017年9月7日
3点
この車の一番の良さはスタイリングです。イタリアンデザイナーのジョルジット・ジウジアーロがデザインしたスタイリングは、現在でも街中で目を引く素晴らしさです。特徴的なミッドフレームウインドウやピラーを隠したグラストゥグラス、水平をモチーフとしたリアランプのデザイン等現在の車には見られない良さが光っています。リアスポイラーのデザインは、ユーザーの間でもあるなしで意見が分かれるところ(大勢はスポイラーなしがよいようです)ですが、私はリアスポイラーが付いている方が好みです。
エンジンは、当時のスバルで、唯一の水平対向6気筒エンジンです。NAエンジンですが、大排気量ならではの余裕のあるトルクで安定したロングツーリングが楽しめます。車重はかなりかさむ車ですが、直進安定性のよさにつながり、高速道路での走りはストレスフリーの快適なものとなっています。
当時のスバルのフラグシップだっただけに、内装の充実も特筆すべき点です。雨量感知式ワイパーやサイドミラー雨滴除去装置、BBSメッシュアルミホイールなど、当時としては珍しかった装備もたくさんついています。
収納スペースは、クーペだけに若干劣りますが、リアゲージには十分なスペースが確保され、荷物を積むことに困ったことはありません。グレードによっては、リアシートが2分割で倒れるようになっており、スノーボード類を車内に積むことも可能です。
また、販売的には振るわなかったのが今となっては幸いし、レアな車種となっています。そうした物珍しさもあってか、ガソリンスタンドや街中で、「珍しい車ですね。」と声をかけられることもしばしばです。写真を撮っていいかと言われたこともありました。
スバルの若い社員には、「え?うちの車ですか?」と言われたことは いい思い出です。
気になる点はいくつかあります。
第一に、インテリアです。当時400万円クラスの車にしては、パネルがプラスティックであったり、インパネデザインがいまひとつだったりと、スバルが目指した高級車と何だったのかと疑問が残ります。
第二に、とにかく維持費がかかります。まず燃費の悪さです。バブル時代の設計のせいか、ハイオクガソリンのリッター6.5は現在の車では考えられない燃費です。エンジンも3318ccと大きな排気量ですので、税金は6万円を大きく超えます。最新モデルでも、登録13年を経過していますので、重量税も割増しとなってしまっています。車検の際は、費用のほとんどが自賠責と重量税という笑えない明細でした。
第三に、専用設計であることが災いし、ほとんど社外パーツはありません。エクステリアもインテリアもほとんど純正をキープするほかないことが残念です。一部のユーザーは、数少ない社外部品を装着していることもありますが、私には縁のないものでした。タイヤは今となってはレアサイズの225 50R16です。R32などにも使われたサイズですが、最近では手に入りづらくなり、タイヤサイズを変えているユーザーもいるようです。
さらに経年により、純正の部品も少なくなってきています。マニアの方は、メインの車両と部品どり用の車両と2台を所有している方もいるくらいです。
スバルに持ち込んでも、svxを触ったことがある整備員がいないと不安げに言われたこともあり、今後の整備にも不安が残ります。壊れやすい部分も数多くあります。特に心配なのは、ミッションです。平成3年~5年程度の初期型は特にミッションが傷みやすく、リビルド品で40万程度の修理費がかかってしまったという話は少なくありません。他にもルームミラーが勝手に垂れ下がる、リアランプに水がたまる、エアコンの温度が勝手に最高温度に上がってしまうなどの話を聞くこともあります。
今の若い方に決しておススメできる車ではありません。それなりの維持費がかかること、整備を安心して任せられる工場などを確保できる方で、この車のデザイン、走行性能にほれ込んでくれる方なら末永く楽しむことができる車だと思います。
それなりの金銭と手間をかけることを惜しまない方であれば、SVXは素晴らしい思い出をあなたにプレゼントしてくれると思います。
町で乗って注目度よし、四駆ならではの雪道や悪路での安定性よし、高速走行性能の素晴らしさ。まさにオールマイティな車であるのがSVXです。整備さえきちんと行えば、10万キロを大きく超えても、あなたを満足させる走りを見せてくれることでしょう。
当時のSVXのキャッチコピー「遠くへ 美しく」 覚悟あるユーザーに実感してほしい言葉です。
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