Q.売れ残りやすい車を売りつけられた気がします…

納車日に車を取りに行ったところ、自分が買った車と同グレード、同色で年式が新しく、走行距離が少ない一台がほぼ同じ価格で売ってありました。なんだか、売れ残りやすい車を売りつけられたようで、気分がよくありません。交換、またはキャンセルはできないでしょうか

A.基本的に交換もキャンセルも難しいでしょう

結論からいうと、交換もキャンセルもできないでしょう。そもそも、その車は、あなたが契約した後に入荷した一台かもしれません。もしかしたら、修復歴などのマイナス要因があるかもしれません。走行距離や年式は、中古車の価格に大きく影響しますが、それだけで価格が決定するわけではありません。同グレード、同年式だからといって、単純に比較して交換してもらうのは難しいと考えられます。

また、キャンセルに関しても、車という商品の性質上、家電を返品するようにはいきません。中古車は家電などと違い、運輸支局に登録が必要なものです。中販連の規約にも「登録がなされた日、もしくは注文者の依頼によって車両の修理、改造、架装などをする場合には販売者がこれに着手した日、または車両の引き渡しが成された日のいずれか早い日を持って契約成立の日とする」と明記されています。一度登録をした車を、買い主の都合でキャンセルすることはできません少しでも納得ができない場合には、契約申込みには慎重になるべきでしょう。

それでは、キャンセルが認められるのはどういったケースでしょうか。これは、ほかに在庫があるにもかかわらず「これしかない」などと嘘をついたり、修復歴があるなどの不利益を隠したまま、価格の安さだけを伝えるなどした場合です。この場合は、「不利益事実の不告知」となり消費者契約法に違反します

今回のケースは、購入した車と同車種、同グレード、装備や程度もほぼ同じ状態の車が、買った直後に大幅に値下げされて売り出されたというものです。上記の「不利益事実の不告知」に当てはまらない場合、やはり値引きは難しいでしょうが、販売店と交渉してみることはできます。ただし、その場合でも目安としては購入から1週間くらいそれ以上経過していたら、特別な事情がない限り値下げ交渉をすること自体難しいと思われます。さらに交渉したからといって値引きをしてもらえる可能性は限りなく低いこともあわせて覚えておいてください
第95回:売れにくいと思われる車を購入してしまったら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不利益事実の不告知(ふりえきじじつのふこくち)
ある重要事項またはそれに関連する事項について、事業者が消費者にとって利益となる旨を告げ、デメリットとなる事実を故意に消費者に説明しないこと。それによって誤認して結んだ契約は取り消すことができる