Q.アルバイトと交わした約束が守られない!!

カーナビをサービスで付けると言われたので購入を決めました。しかし、契約の時になって別の社員に「あれは決裁権のないアルバイトが勝手に言ったことなので、カーナビをサービスで付けることはできない」と言われました。納得がいかないのですが、どうにかなりませんか?

A.勝手に契約した場合には「使用者責任」を問えることがあります

決裁権のないアルバイトが勝手に言ったことならば、店側にそれを実行させるのは難しいでしょう。この場合、現実的な落しどころとしては、契約内容の不一致ということで契約を結ばずに白紙に戻すことだと考えられます。もちろん、その際に客側にはキャンセル料などは発生しません。

ただし、アルバイトが契約まで行ってしまった場合は別です。普通は、アルバイトは契約にまでタッチしません。勝手に条件を定めて契約をして、あとから正社員が無効の申し出をするのは「使用者責任」の問題が問われます。アルバイトが勝手に決裁をするのは明らかに適切な指揮命令がされていない状態です。この場合、会社は被用者に対する注意を怠ったということで責任を負って、カーナビを付けるか、相応の値引きをするなどの対応をすることになります。また、約束をしたのが社員なら、会社としてその約束を守る義務があります

基本的には、契約時や交渉時、言った言わないの水掛け論をなくすためにサービスなどの特約を結んだときに見積書や契約書にその旨を一筆書いてもらうことをオススメします。 そのときに、交渉していた相手がアルバイトだとわかったら、決裁権のある人間に変わってもらうなどしたほうがいいでしょう。そもそも、決裁権のないアルバイトが勝手にサービスの交渉などをする販売店は、社員教育がしっかりしていないことが考えられるので、避けたほうが無難かもしれません。
第83回:アルバイトの店員と交わした約束が守られなかったら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

使用者責任(しようしゃせきにん)
民法715条に規定されている。事業のために他人を使用する場合、被用者がその事業を行うにあたって第三者に加えた損害は使用者が賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者を採用したり監督したりするときに、相当の注意をしたことなどを証明すれば免責される