ちっちゃいだけじゃない、「新しい魅力」を備えたSUV

  • BMW X1 走り|ニューモデル試乗
  • BMW X1 インパネ|ニューモデル試乗
↑日本市場を意識したサイズは、全幅1800mm×全高1545mm。一般的な機械式駐車場にも収まる大きさ(左) メーターパネルには燃費計を標準採用(右)
X1はBMWの単にちっちゃなSUVではない。上級モデル&スペシャリティのダウンサイジング・オルタナティブとして振る舞うのみならず、BMWの“魅力的なエントリーモデル”という役割も十分に期待できるため、結果、ブランドとして新しいユーザーを獲得すると予想されるからだ。

サイズ的にはVWティグアンあたりと同じだが、全高が断然低い。SUVの中では異例とも言える低さで、なんとレガシィアウトバックよりも低い。ルーフレールやナビアンテナの有無で若干センチ上下するとはいうものの、日本の立体駐車場を考慮したカタログ寸法は、“SUVは欲しいが駐車場事情で買えない”派には朗報である。

それゆえ、実車を目の前にしてみれば、寸詰まりがある種の魅力だったSUVというよりも、“ 3ツーリングの全高を思い切って上げてみました”的グランドワゴンに思えた。背が高いゆえの威圧感もない。威張り散らさないその態度は、だからこそより多くの人にウケる可能性を秘めている。

価格もうれしい!普段使いビーエム!

  • BMW X1 エンジン|ニューモデル試乗
  • BMW X1 リアシート|ニューモデル試乗
↑3L直6の4WD「xDrive25i」と、Xモデルでは初となる2WDを採用した2L直4の「sDrive18i」を設定(左) 大人3人が座れる後席は、最大31°まで倒すことができる40:20:40の3分割可倒式で、バックレストも3個装備(右)
FRの18i(2L直4)で363万円という値付けは立派だ。これまでの1シリーズ5ドアじゃいかにもビーエム入門車っぽくって嫌だ、と躊ためら躇っていた人でも、新しいX1なら入っていけるはず。セダン系に比べればまだそれほど街で見かけないXシリーズだからこそ、脱ヒエラルキーの魅力はある。

4WDは25iという名称だが、実は3L直6エンジンを積む。性能と効率の点で2.5L級ということだろうか。ミッションタイプはいずれのエンジンも6速AT。

乗った印象を言うと、さすがにパッケージ上手のBMWだけあって、ほぼ予想どおりの仕上がりだった。FRの素モデルは軽快にして洒脱、一方4WDといえば重厚かつ緻密である。18iが適度にハンドリングマシンなのに対して、25iはGTカー的要素が強い。街中を軽やかに走りたいなら前者、高速道路をカッ飛ぶというなら後者である。

とはいうものの、間違ってほしくないのは、FRの18iといえども決してBMWのスポーツグレードよろしくアジリティ豊かなモデルではないということ。ノンアクティブ系の3シリーズ同様に、しっとりと重めのステアリングフィールに終始するから、普段は意外にスポーティさを感じない。

そのぶん、背の高さと相まって、普段使いにやさしいビーエム、というわけで、人気者になることは間違いない。

SPECIFICATIONS

 
主要諸元のグレード sDrive18i
全長×全幅×全高(mm) 4470×1800×1545
車両重量(kg) 1560
エンジン種類直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1995
最高出力[ps/rpm] 150ps/6400rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 20.4kg-m/3600rpm
車両本体価格 363万~480万円
Tester/西川 淳 Photo/向後一宏