通勤や通学、買い物などの日常生活で自転車を利用する人は多い。国土交通省がまとめた「都市交通としての自転車の利用について」という資料によると、日本国民の自転車保有台数は1970年は3000万台ほどだったが、2008年には約6900万台と倍以上も増えている。そんな中、一般社団法人日本自動車連盟が運営する総合観光情報サイト「JAFナビ」では、自転車保険の紹介をスタートした。

道路交通法で「軽車両」となる自転車は、車両通行帯の設けられた道路では、一番左の車両通行帯を走るよう定められている(例外あり)。しかしこれまで自転車の通行方法はあいまいなまま運用されており、実際歩道を猛スピードで走る自転車をしばしば見かけた。

自転車の台数が少ないときはそれでもまだなんとかなっていたが、台数の増加とともに自転車事故も急増。「都市交通としての自転車の利用について」によれば、日本の交通事故総件数が減少傾向(10年間で約2割減少)にある中で、自転車対歩行者の事故は約1.5倍も増えている。しかも自転車との事故を経験した人のうち警察に届けた人は約2割にとどまっており、統計に表れているのは自転車事故のごく一部でしかないという見方がされているのだ。

各自治体は歩道を走行する自転車の取り締まりなど、自転車の交通ルール遵守とマナーアップを図ると同時に、自転車利用者に対する保険加入の努力義務を課している。JAFが自転車保険を紹介するのはこのような背景があるからだ。

近年では自転車への損害賠償請求による事故判例も増えているという。自動車は自賠責保険加入が義務付けられていると同時に多くのドライバーが任意保険に加入しているが、自転車保険に加入している人はまだ少なく、加入率は10~20%程度と言われている。

万が一事故が発生したときの賠償額は自動車事故並みになる可能性もある自転車での事故。現在ではJAFが扱う三井住友海上火災保険の自転車保険以外にも多くの自転車保険が登場している。自分ひとりだけでなく家族で入れるものなどいろいろな種類があるのも特徴だ。自動車保険に加入するモラルを持ったドライバーはぜひ自転車保険への加入も検討し、万が一の際、相手にしっかり補償できる状態にしたい。

自転車事故で怖いのは大人はもちろん小さな子供も“加害者”になる可能性があること。ぜひ家族での自転車保険加入を検討してほしい

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増加傾向にある自転車事故。事故を起こした少年の親と保険会社に計9500万円を賠償するよう命じられた判決例もある

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