トヨタ スープラ ▲「GRカンパニーがカーボンニュートラル時代にふさわしいスポーツカーを作ったら」とのコンセプトで製作されたスタディモデルは、次期スープラのあり方を模索する狙いでジャパンモビリティショーに出展された。市販化されたらこのような姿になるのではないだろうか

※当記事はムックハウス社の発行する雑誌「マガジンX」編集部より寄稿いただたものです。内容は雑誌の内容をWEB用に一部再編成しています。マガジンXの詳細は記事末のリンクをご確認ください

BEVスポーツカーは断念か

2023年ジャパンモビリティショー出品のFT-Se。同車はGRカンパニーが模索する「カーボンニュートラル時代におけるスポーツカーの将来像」としてお披露目された。

ショー閉幕後も取材を続けたマガジンXスクープ班は、次期スープラとして開発が始まっていることを突き止めていた。

BEVに生まれ変わる次期モデルは2026年頃に発売される前提で取り組みが行われてきた。しかし、そのプロジェクトが止まってしまった模様だ。
 

トヨタ スープラ▲BMWと手を組んで開発されたGRスープラは2019年5月から国内販売されている。2025年をメドに生産は終わる見通しで、ファイナルエディションとしてGRMNを準備中

バッテリー搭載量がモノを言う電気自動車

プロジェクト中止の原因はどこにあるのか。「性能が目標値に遠く及ばないため」と開発関係者は証言している。

当然ながらスポーツカーは、運動性能と空力特性を向上させるために低く設計することが求められる。しかし、いま市販化されているBEVは一般的に床下にバッテリーを敷き詰める構造に仕立てられている。

低く仕上げたいスポーツカーの鉄則に相反する。バッテリー搭載量を増やせなければ、航続距離を稼ぐことも、瞬発的に大きな電力を使うことも難しい。
 

果たして次期スープラはどうなる?

BEV化の断念で白紙に戻された次期スープラは、内燃機関を有するスポーツカーとして開発し直される模様だ。

だが、改めてコンセプトづくりから始めていては、発売は2028年頃にズレ込む可能性もある。関係者は「仕切り直して再スタートを切っても結局は断念してしまうのではないか?」と悲観的だ。

せっかく復活したスープラのブランドは、約6年の夢で終わってしまうのか。

※2024年3月26日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

文/マガジンX編集部
写真/マガジンX編集部、トヨタ