スズキ スペーシア|ニューモデル試乗

子育て世代をターゲットにしたハイトワゴン。実質的なパレットの後継車という位置づけだ。新技術と徹底的な軽量化で快適性と低燃費を両立している

エネルギーロスを回収するエネチャージを採用

ターボの走りは普通車並の快適さ

エンジンはNAとターボ。どちらも13km/h以下でアイドリングストップを作動させ燃料消費を抑える。発電機に取られるエネルギーロスを回収する「エネチャージ」 の採用とエンジンの軽量化を主眼に置いた見直しによって、NAのワゴンRよりも60kg重いが29km/Lの燃費を実現した(JC08モード)。

乗ってみると振動が小さくエンジン再スタート時も気にならない。強風で車が左右に振られるような状況でも安心感を与えるサスペンション設定はスズキならではだ。NAはCVTの恩恵もありトルクをうまく引き出しながら走らせるが、ここ一番でパワーが欲しいときは、やや苦しさを感じる。

一方ターボは、燃費ではNAより3km/L落ちるがドライバビリティは良好。走り出しから普通車並に快適である。パワーがない分踏み込んで走らせるものの、NAと違ってゆとりの走行が可能だ。

新技術と徹底的な軽量化で快適性と低燃費を両立

ハイトワゴンは、パネルの面積と空気抵抗、グラスエリアが大きいことなどから、燃費の向上が非常に困難だ。にもかかわらずこの燃費を実現できたということは、並々ならぬ技術の積み重ねが読み取れる。特に注目なのは軽量化だ。

ここ数年、日本でも超高張力鋼板を骨格の弱点に用いてボディ剛性を向上させながら軽量化を図る方式が主流となっているが、このスペーシアもそれに倣っている。室内空間を広くしながら軽量化を図るには、ボディの骨格とサスペンションの設定という根本的な解決が必要になる。これは1年や2年の経験でできることではない。

最大級に広くなりボディ剛性も向上したが、人が感じるキャビンの歪みだけは無くなっていない。それをクリアすれば向かうところ敵無しだ。価格を抑えながら積極的に新技術を投入するスズキだけに、今後に期待したい。

後席は両側スライドドアを採用。リアステップはパレット同様340mmの低さをキープ

後席は両側スライドドアを採用。リアステップはパレット同様340mmの低さをキープ

新型ワゴンRに採用された低燃費技術を採用し、全高1700mm以上の軽ハイトワゴンでトップとなるJC08モード燃費29.0km/Lを実現

新型ワゴンRに採用された低燃費技術を採用し、全高1700mm以上の軽ハイトワゴンでトップとなるJC08モード燃費29.0km/Lを実現

インテリアは明るいベージュを基調に、インパネ部分に濃い茶色を使う2トーンとなる

インテリアは明るいベージュを基調に、インパネ部分に濃い茶色を使う2トーンとなる

SPECIFICATIONS

グレード G X T
駆動方式 FF 4WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3395×1475×1735 3395×1475×1740
ホイールベース(mm) 2425
車両重量(kg) 840 900 920
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC 直3DOHC+ターボ
総排気量(cc) 658
最高出力[kW(ps)rpm] 38(52)/6000 47(64)/6000
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 63(6.4)/4000 95(9.7)/3000
JC08モード燃費(km/L) 29.0 26.8 25.0
ガソリン種類/容量(L) レギュラー/27
車両本体価格(万円) 122.85 144.06 153.51
Tester/松本英雄 Photo/尾形和美