日産 シーマ ▲日産のフラッグシップドライバーズセダンとして、高い快適性と胸のすくような走りを両立してきた歴代シーマ

日産 シーマの中古車は今

1988年1月に登場した日産シーマは、セドリック/グロリアの上に位置する最高級オーナーカーとして誕生した。

当時はバブル真っただ中だったということもあって瞬く間に大ヒット車種となり、「シーマ現象」という言葉が生まれたほどだ。

1991年には2代目が登場。初代では上級グレードにターボモデルが設定されていたが、2代目では新たにV8 4.1Lエンジンが上級グレードに設定された。

続く3代目モデルは1996年に登場。2代目までは和風なルックスとなっていたが、この世代からは日本国外でも「インフィニティ Q45」として販売された兼ね合いもあってか、一気にドイツ車風のルックスとなっている。

そして、2001年1月には4代目となるシーマが登場。V6 3Lターボは継続設定されたが、V8エンジンは新たに4.5Lへと排気量が拡大された。

装備面では日本車として初となるドアミラーウインカーを設定した他、車線逸脱防止支援システムを世界初採用。先代に設定されていたレーダークルーズコントロールと合わせて高度な運転支援システムを構築している。

4代目モデルは2010年8月をもって生産終了となり、しばらくシーマの名前は途絶えてしまっていたが、2012年4月に5代目モデルが登場。

この5代目モデルは2代目フーガをベースとしており、パワートレインはV6 3.5Lのハイブリッドとなっている。

ここからはシーマの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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シーマ(初代)の特徴と中古車相場

■シーマ(初代) DATA
生産期間:1988年1月~1991年7月
中古車流通量:約50台
中古車価格帯:70万~290万円
全長:4890mm × 全幅:1770mm × 全高:1380~1400mm
 

日産 シーマ ▲今日では、バブルの象徴としても取り上げられることも多い初代シーマ

■シーマ(初代)の特徴
当時のフラッグシップオーナーカーとして、1988年1月に登場した初代シーマ。

プラットフォームはセドリック/グロリアのものを使用しているが、3ナンバーボディを前提としたサイズに制約のないデザインによって伸びやか、かつクリーンなデザインをまとっている。

搭載されるエンジンはV6 3LのVG30型で、NA(自然吸気)とターボを設定。特にターボエンジンは暴力的とも評されるほどのパワーを発生するもので、フル加速でリアを派手に沈ませながら走り去る姿に憧れを抱いた人も多くいたほど。

なお、初代モデルは販売店の関係もあって「セドリック・シーマ」と「グロリア・シーマ」に分かれていたが、エンブレムが異なる程度の差異しかない。
 

日産 シーマ ▲初代シーマに搭載されたVG30DET型エンジンは、255ps/35.0kg・mというスペックを誇った

■シーマ(初代)の中古車相場
最終型でもすでに30年が経過したモデルということもあり、ネオクラシックカーとして価格が上昇傾向にある。

平均価格は180万円を超えており、状態の良いものでは200万円台後半のプライスタグを掲げる物件も珍しくない。

当時はターボモデルに人気が集中しており、現在流通している物件もターボモデルが優勢ではあるが、ターボモデルだから高額というわけではなく、状態が良ければNAモデルでも高値となっているのが現状だ。

また、一部のグレードに採用されたエアサスペンションは快適な乗り心地を提供してくれる一方で、トラブルが発生すると高額な費用がかかるので、エアサスペンション装着車は注意が必要と言える。
 

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シーマ(2代目)の特徴と中古車相場

■シーマ(2代目) DATA
生産期間:1991年8月~1996年5月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:40万~350万円
全長:4930mm × 全幅:1780mm × 全高:1420~1435mm
 

日産 シーマ ▲2代目には初代の3Lターボに匹敵する出力をもつV8 4.1Lエンジンが追加された

■シーマ(2代目)の特徴
2代目は、デザインテイストこそ初代のものを継承しつつも、ボディ剛性で有利なセンターピラーとサッシの付いた一般的なセダンボディとなった。

搭載エンジンは新たにV8 4.1LのVH41型エンジンをラインナップ。これは、先代の3Lターボ並みの加速力をNA(自然吸気)エンジンで実現するために設定された排気量であり、実際に先代のターボモデルよりもパワーもトルクも上回る数値をマークしていた。

1992年4月には、アテーサE-TSを採用したフルタイム4WDの「S-four」を追加。

さらに、93年9月に実施されたマイナーチェンジ時には、先代に設定されていたV6 3Lターボエンジンを搭載する「ツーリング」系が新たに追加されている。
 

日産 シーマ ▲後席の狭さが指摘された初代の反省を生かして広くなった室内空間

■シーマ(2代目)の中古車相場
2代目シーマは一時期の完全な底値の状態は脱した感があるが、掲載台数が10台程度と少なく、相場価格の割り出しが難しいところ。

ただ、状態の良いワンオーナー車などは、70万~100万円超の物件も珍しくない。そのため、良質な物件を狙うのであれば100万円程度の予算は確保しておきたい。

3L車と4.1L車の比率は半々。エンジンタイプよりも物件のコンディションで価格が左右されるという相場になっている。
 

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シーマ(3代目)の特徴と中古車相場

■シーマ(3代目) DATA
生産期間:1996年6月~2000年12月
中古車流通量:約60台
中古車価格帯:30万~200万円
全長:4970mm × 全幅:1820mm × 全高:1430~1460mm
 

日産 シーマ ▲北米市場も視野に入れたからか、和風から一気に欧州風のルックスに変貌した3代目モデル

■シーマ(3代目)の特徴
先代モデルよりもさらに大型化がなされた3代目のシーマ。

先代ではV8 4.1Lが先にリリースされ、V6 3Lターボはマイナーチェンジ時に追加されていたが、3代目では当初から2種類のエンジンをラインナップ。

グレード体系はラグジュアリーなリミテッドシリーズ(グレード名にリミテッドの頭文字、Lが付くもの)と、スポーティなグランドツーリングシリーズ(グレード名にツーリングの頭文字、Tが付くもの)に分けられた。

両グレードは、エアロパーツの装着やサスペンションの味付けも差別化されている。

デビュー当初は4WDモデルが設定されなかったが、1997年9月のマイナーチェンジ時にV8モデルに再び4WDモデルの「S-four」を設定。

99年7月にはミリ波レーダーセンサーを用いた車間距離自動制御システム(自動ブレーキング機能付き)を日本車で初めて搭載した「41LV-Z」が追加導入された。
 

■シーマ(3代目)の中古車相場
3代目シーマの価格は比較的底値に近い状態となっており、最安値帯は総額70万円以下のゾーン。

この価格帯の物件でも比較的走行距離が少ないものもあり、価格と状態のバランスが良い物件を見つけやすいのが3代目シーマの特徴と言えるだろう。

また、中にはカスタイマイズ済の物件も存在している。

エアロパーツやアルミホイール、ローダウンといった定番のものが中心となっているが、もしカスタイマイズ前提で3代目シーマを狙うのであれば、こういった物件に的を絞ってみるのもいいかもしれない。

ただし、パーツによって好みが分かれる部分もあるので、実車を確認したうえで吟味が必要だろう。
 

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シーマ(4代目)の特徴と中古車相場

■シーマ(4代目) DATA
生産期間:2001年1月~2010年7月
中古車流通量:約90台
中古車価格帯:20万~150万円
全長:4995~5120mm × 全幅:1845mm × 全高:1490~1505mm
 

日産 シーマ ▲フラッグシップモデルらしい堂々としたデザインと最先端の装備をもって登場した4代目シーマ

■シーマ(4代目)の特徴
新開発のプラットフォームを採用した4代目のシーマ。

登場前のティザー広告でもアピールされていた特徴的なヘッドライトには、マルチプロジェクターキセノンランプを採用した通称「バルカンヘッドライト」を採用(当初はV8モデルのみ)。

エンジンは先代から継続設定されたV6 3Lターボに加え、V8モデルは排気量を4.5Lにアップ。組み合わされるミッションも5速ATへと多段化された(4WDモデルは4速AT)。

また、オプション設定ながら、車線逸脱防止支援システムを世界初採用。2003年のマイナーチェンジではインテリジェントブレーキアシスト(衝突被害軽減ブレーキ)やアクティブAFSなどの安全装備が採用され、フラッグシップモデルにふさわしい装備内容となっている。

2007年7月には排出ガス規制の兼ね合いでV6 3Lターボが廃止され、V8 4.5Lのみのラインナップとなった。

2008年2月のマイナーチェンジでは内外装にも手が加えられ、ついに全長が5m超の5120mmとなった。
 

 

日産 シーマ ▲特徴的なヘッドライトはカスタマイズのベースとして他車種に加工流用されたこともあった

■シーマ(4代目)の中古車相場
およそ9年という、歴代の中では長いモデルライフを誇る4代目シーマ。

中古車では約90台が流通しており、予算50万円で狙える物件もある。走行距離が少なめの物件も総額150万円で見つけることができる。

新車時価格が500万~800万円弱の価格帯のモデルとしては、かなりお得な状況と言えるだろう。

低価格帯の物件は初期型のものが中心となっており、走行距離10万km超のものも多いが、中には7万km以下というものもあり、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれない。

一方の高値圏は後期型が中心となるが、中には3代目と同じくカスタイマイズ済のものもあり、このあたりは好みでチョイスしたいところ。

また、高年式車両ではディーラー系中古車販売店の物件もあるため、安心して乗りたいのであれば選択肢のひとつにしても良さそうだ。
 

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シーマハイブリッド(初代)の特徴と中古車相場

■シーマハイブリッド(初代) DATA
生産期間:2012年5月~
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:60万~610万円
全長: 5120mm × 全幅:1845mm × 全高:1510mm
 

日産 シーマ ▲ハイブリッド専用車として復活した5代目シーマ

■シーマハイブリッド(初代)の特徴
2010年7月に4代目が生産を終了してから、しばらく絶版となっていたシーマだが、2012年5月に復活。

新型は2代目フーガがベースとなっているが、ホイールベースが150mm延長された専用ボディとなっており、延長された分はすべて後席空間の拡大に充てられている。

また、ショーファードリブンカーであったプレジデントが絶版となったことで、シーマはその役割も担うことになった。

パワートレインはV6 3.5Lエンジンに1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステムを組み込んだもの1種類となり、2代目モデルからラインナップされていたV8エンジンは消滅した。

2017年6月にマイナーチェンジを行い、インテリジェントエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)やインテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)などが標準装備化。

2019年12月には、インテリジェントクルーズコントロールなどが標準装備となっている。
 

日産 シーマ ▲「ニッサンインテリジェントモビリティ」として先進装備のアップデートが重ねられている5代目シーマ

■シーマハイブリッド(初代)の中古車相場
現行型モデルではあるが、登場が2012年ということで、初期のモデルであれば総額140万円から選択肢を確保できる。

その一方で、高年式の物件は少ない。これはもともと法人ユーザーの多いため、短期間で手放すケースが少ないからだと思われる。そのため、高年式低走行な物件を狙うのであれば、ある程度気長に探す覚悟が必要だろう。

法人ユーザーが多いモデルでは、定期的なメンテナンスがしっかりなされてきた物件が多いという傾向がある。そういった点で、新車価格の半額の400万円付近の物件はお買い得感が高いと言えそうだ。
 

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※記事内の情報は2021年10月25日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。